徳島の海岸林の特徴
2016年4月9日( カテゴリー: Post2020年に向けて~海岸林と地域の将来ビジョン形成調査~, 海岸林あれこれ )
徳島県庁から復興の応援職員として来られた方に、仕事でお世話になった。
その方の顔を思い浮かべながら徳島に行きました。
まず、海沿いの徳島空港(松茂町)の滑走路を直交するように防風林がある。
米軍撮影の航空写真では、1947年時点で幅は狭いながらも海岸林が存在していたのが分かった。
空港に実際に行ってみて、高さ5・6mの均一な土堤上に、松の巨木が延々と列を成していた。
あの場所でこの太さ。樹齢200年を遥かに超えるのでは。
想像するに相当昔の人が、自然砂丘に人の手を加えて盛土を造成してから、松を植えたのだろう。
後背地には、空港の他、水田が松林の後ろまで迫る。
ネットで公開されている徳島の海岸林の文献は少なく、航空写真でも解かりかね、
正直なところ、あまり期待してなかったが、行ってみると幾つもの小さな名もなき松原があり、
「防潮林」として予想を超えた高機能なものが多く、弱い部分には手を入れて強化されていた。
名もなき海岸林の存在と、目に見えた努力が成されていることがよく分かった。
大地震が起こったら、すぐに津波第一波が来る高知県東洋町の生見海岸や徳島県海陽町の大里松原
(白砂青松100選)、また、すぐには来ないとしても津波水位10mに迫るような阿南市の北の脇海岸、
中林海岸などすべてで、2階建て家屋2つ分以上の高さの、もはや砂山と言うべき自然砂丘を利用していた。
砂山前面を利用した数mの防潮堤もあったが、それを砂が飛び越えてくるのも分かった。
かつては深刻な砂の害もあったのだろう。後背地には開拓記念碑もあった。松林は開拓の一環だろう。
マツの深根性を活かした津波防御に大いに期待できる。実際に後背地の浸水予想は極めて低い。
内陸側にはクスノキの積極的導入も特徴。実生で育ったものは太いが、植栽と思われるものは
クスノキと思えないような細さ。しかし全般的に、クロマツ中心の森を目指そうと、
掻き起こし・天地替えをして篠竹や広葉樹を根絶やししてからのクロマツ林への樹種転換や、
林間植栽を地道に進めているのも共通点。ついこの前植えたような場所が驚くほど多かった。
最前列でも樹齢200年を遥かに超える、文化財クラスの巨木マツも目立った。
松原と集落の共同墓地が隣接している、もしくは林内に墓地があるケースも多かった。
人が松原と接し、利用すると言う面でも、考え方として好感を持った。
お参りする人もいれば、ゲートボールする人もいる。
神社もあり、村祭りの会場でもあり、花火大会もする。
「ふるさと」の中に松林があるのだろう。