クロマツを種から扱えることの幸せ
2017年6月12日( カテゴリー: 現場レポート )
毎年6月初旬は、一斉に発芽したばかりで、2年後に植える苗を、
時間を忘れて見惚れてしまう。誰もいないので腹這いで時間を忘れて。これは私の役得。
一番お世話するのは再生の会。
しかし、私自身も節目節目でいつも「苗半作」という言葉を肝に銘じる。
「良い苗ができれば、半分成功したようなもの。それほど苗は大事という意味。
稲作農家のみならず、農家の誰もが思っているはずだ。
これから海岸林再生は本格化。
宮城は年100ha植付。福島もそういう単位のはず。
大半は抵抗性クロマツの「コンテナ苗」。培養土付きだから活着はいい。
秋でも植えられるので、「復興進捗」という点には大きく貢献している。
これまで7年、クロマツ苗というものを、皆で凝視してきた。
森林組合は、「悪い苗なら突き返してもいい」と心の中では思っている。
再生の会は、種苗組合の年数回の研修で、他と比べる目も養い、
オイスカ東京本部海岸林女子はそもそもの素質を伸ばしている。
私自身、昨年11月は相馬以北、土曜日は山元町以北の、幾つもの現場を見た。
植えたての苗で、「この苗はイイ苗だ」と思うことはもちろんあった。
しかし、中には「植えたのが遅かったな」「出荷自体が遅かったな」
「妙に根元が細いな」「細くて背だけ高く、稲穂のようだ」と思うこともあった。
あと4年で750haを宮城で植え終わらねばならない、理屈抜きの事情がある。
怒涛のように海岸林再生を進めねばならない。私たちもその一端。
「何本植えました」という記事はこの時期本当に多い。今は国民運動的に植えねばならない。
でも、こうやっていくつもの現場に行ってみると、苗だけ見ても実にいろいろ。
また、苗を植えた後の保育の程度もわかる。
苗を育てる人、植える人、さらに育てる人。
再生の会、森林組合、オイスカという私たちは別組織だけど、分業する「一貫施業」チーム。
種から育て、植えて、育ててゆける一体化したコアチーム。この幸せは私たちだけのもの。
この無二の機会をいただいたありがたさを忘れずに、また粛々と頑張ろうと今日も思った。