徳島県「大里松原」の見事さ
2016年4月10日( カテゴリー: Post2020年に向けて~海岸林と地域の将来ビジョン形成調査~, 海岸林あれこれ )
徳島県最南東地域、海陽町の「大里松原」
「白砂青松100選」に名を連ねます。ですが、事前予習で調べてみると殊の外、
情報が少ない。専門家もあまり訪ねていないのだろう。
少ない情報ながら興味深かったのは、
・中学生がプロの指導のもと、卒業記念に1mの大苗を植えている
・不届き者が、門松やお供え物用に伐って、30円~70円ぐらいで売ってしまい、
地元の方が徳島新聞の記事にまでして、非常に怒っている
・江戸時代中期、後背地の荒れ野原「四方原」を開拓するのに伴って松原を造成
南端の後背地から見て、目を見張った。
延々たる砂山の上の松群。徳島県が最新情報として出した浸水予想で、
ここの後背地に津波が侵入しないのがよく分かった。
しかも、松枯れが視界の中に見当たらない。
地元の方の巡視、発見、即通報、行政の速やかな伐倒駆除が徹底されている。
佐賀の虹ノ松原の関係者の誇らしげな一言を思い出した。
「松くい虫被害はhaあたり年間1本以下」。ここもそうだろう。
同行の四国支部池田次長も目が肥えている。一人の目よりも二人の目。
「マツ林と墓地というのは面白いね」と。うん、確かに見たことない。
墓地は内陸側にあり、もちろん綺麗にされているが、松林に入ると、下草で青々しているが、
墓地と同様の見事に人の手が入っている。地元の人の想いや協力体制を見て取った。
徳島ではかつて内陸側にはクスノキを積極的に植えたようだ。
この理由はわからなかったが、クスノキとは思えない細さだが、高さだけは十分。
クスノキの特徴として、下草も生えにくい。
「地元の方は、明るくて見通しの良い海岸林であってほしいと考えてるのではないか」
と池田次長。内陸側にこれも非常に整えられたお社が接していて、掲示されている
写真などからして、村のお祭りは松林とともにあることが分かった。
極めつけは、充実した林内ゲートボールコース。
参加費300円の大会通知が貼り出され、次々と予告されている。
潮害防備保安林でも、ここまで利活用できるのか。
今も昔も人とともに生き、愛されている松原を見ることができた。
名取の松原は、集落と接することはない。
そうだったとしても、名取の条件なりに、愛され続けるような展開にしてゆきたい。