2011年7月のシンポジウムを開催した頃から、日々問い合わせが相次いだ。
実に様々なお相手、内容であった。中でも圧倒的に多かったのが
「自ら苗木を育てたい」というお申し出。
今も断続的に続いている。る。皆様の考え方は、一般市民からすれば至極もっともなことだと思う。
手帳をもとに少し振り返ってみた。
「キャンペーンでドングリを配布し、お客さんに育ててもらい、植えさせてもらえないか」(都内)
「工場の空き地で労組組合員に苗を育てる指導をしてもらえば協力できる。」(都内)
「息子がクロマツ種苗農家を営んでいる。買ってもらえないか。」(東北日本海側)
「常緑広葉樹を4万本育てている。買いませんか。」(四国)
「子どもたちに苗木を育てさせ、一本●円の寄付を募る手伝いをしたい」(都内)
「限界集落の耕作放棄地を使って、地元の老人で育苗したい」(中部)
「潜在植生である木々を植える趣旨で是非一緒に」(関東)
「費用の支援と、広葉樹を育てる指導にきてくれれば有志で」(中部)
個人的な感想を言えば、種苗生産の現実や、海岸林の復旧計画など
知られざる状況は、一般の方には 理解しようにも、無理がある。
できるだけ丁寧に答える努力をしたつもりだ。
震災前から苗木を育てて生計を立ててきた種苗農家の人たちの顔を思い浮かべながら。
私たちも2011年5月頃までは、クロマツ・広葉樹の育苗シュミレーションを一応検討した。
しかし、「海岸林」はクロマツが主林木となろうこと、林業種苗法の存在、
担い手は誰が相応しいか、支援者側への技術指導や諸費用、ロジスティックなど総合的に考えた。
対象地は「保安林」に指定されている場所でもある。苗木は仕様書に沿うことが求められる。
従って、あくまでも行政が立てる復興計画への協力を大原則とし、担い手としては
被災地農家の有志に対し、雇用を通じて生計支援しながら実施することを5月末には決めた。
お問い合わせには応じることはできなくても、精一杯説明する努力をするのも
先陣を切るものの責務と考えた。このお問い合わせがきっかけで、大変熱心に協力して下さる方もいる。
ブログでたびたび登場する神奈川のIさんはその代表の一人。
しかし、それは稀なこと。やっぱり皆さん自分がやりたいのだから、仕方ないことだと思う。
今後長期間にわたり、行政・種苗農家は総力を挙げて海岸林再生に対処することになる。
我々はその一員として努力する道を選んでいる。
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