スギ・ヒノキ・マツなどの針葉樹は、経済林として日本の経済を支えてきた。それらの種子「林業種苗法」の規定のもと、各県によって採種され、種苗組合など定められた林業事業体に加盟している人に県から払い下げられ、そして2年~3年はかかる育苗が先を見通して計画的に実施される。採種先が管理され、遺伝子攪乱などの諸問題の歯止めにもなっている。
「そういう法律は取っ払えば良い」、「既得権益保護だ」という意見をよく聞いた。非常に複雑な心境だった。知られざる世界とはいえ、その分野を支えてきたプロを「ないがしろ」にすることではないだろうかとも心の中で思った。森林・林業の分野で生きる人の生活、プロ軽視の傾向の最たるものだと感じた。しかし、知られていないことに起因しているため、説明すれば多くの人が納得してくれた。
2011年5月、行政当局との初協議の折、林業種苗法に則った育苗への参画を表明し、宮城では新規参入希望者がないが為、数年開催されていない「登録講習会」開催を宮城県に申し入れた。当時は震災直後。宮城県も当然、半信半疑であった。         
また、種苗組合にとっては、我々が組合員として受け入れ難い存在であれば、理事会で加入を否決すれば、講習会を修了しても意味のない存在になる。従って、オイスカにとっては①講習会の開催、②組合への加入が我々の折衝のポイントであった。
しかし、既存農家を圧迫する存在ではないことと、被災地の雇用とするという我々の趣旨に共鳴いただいたこと、そしておそらくは、宮城中央森林組合や、国や県のご担当などの目に見えない後押しのおかげで、「肩を組んで、ともに海岸林を再生しよう」との種苗組合組合長の言葉を頂き、8月には、今秋の講習会開催を県が決定した。既に育苗をしたいという問い合わせは、国・県にも、オイスカにも多く寄せられていた。県との折衝では常に、「講習会開催を広く公示してほしい」と申し上げた。

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