2011年4月21日、航空調査の朝、新木場の東京ヘリポートに着いた。
スウェーデン人のパイロット、整備士に搭乗の目的と希望する経路に加え、どのように飛んで欲しいか伝えなければならなかった。
私は英語を話せない。オイスカで一番駄目なのは間違いない。前の日に『海岸林』だけは何と言うかだけは調べた。でも何故か通じた。
最も強調し、希望したのは、波打際に沿って、その外側を飛んで欲しいこと。名取市上空を低空、スローで飛んで欲しいことと、その際ドアを開けて撮影すること。我々が何をしようとしているか、最後までしっかり聞いてくれた。
ミッションを伝え切れた手応えがあった。多分エリクソンのご担当には、飛び方や撮り方は別として、目的を伝えてあったので、会社として予め指示してくれたのだろう。

給油のため一度福島のヘリポートに降りる。東北の寒さを感じた。普段ビデオなど使わない。この時間も撮影の練習をした。
まさに千載一遇。ワンチャンスをモノにしなければならない。現地入りは目前。絶対に使える画像を撮る。パイロットが気合いを入れてくれた。
太平洋が見えてきた。地図は頭に叩き込んでいた。操縦席のモニターも見ながら、宮城最南端の山元町に入ろうとしている事がわかった。狂いなくリクエスト通り。

眼下には津波で壊滅した荒野。あっという間に海岸に出て機首を北に向けた。ほぼ全ての松が西に向かって倒れている。観察は度外視した。役に立つ画像を収める事に専念した。

ヘリコプターは速い。すぐに仙台空港が見えた。段取り通り150mの低空。撮影を動画に切り替える。ドアが開く。昔もやった。怖くない。プロカメラマンの塚本さんに教わったコツを頭の片方で唱えた。
しかし、倒れていない森の一群が時折見られる。何故残っているのだろう?誰でもわかる事なのだが、その場所を地図で探し、初陸上踏査を行ったことで、極く短時間での大きな発見に繋がる。我々のスピードダッシュは更に加速した。鳥の目で見ることの大切さを身を持って感じた。
ヘリは最大限、海岸林に沿って飛行した。気仙沼市大島で引き換えし、再び宮城南部を往路同様に飛び、二度目は少し観察の目を持ちながら撮影した。もう陸上踏査のポイントは決まった。
この動画はホームページで見ていただくことができる。

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