12回目の3.11 ~手応え~
吉田です。震災後の12年、常に次世代を意識して仕事してきました。名取の現場は、森林組合のプロの若手の育成の場にもなっていて、新人時代から植付、施肥、下刈、除伐、そして本数調整伐の一貫施業をすべて経験している人が3人います。
ボランティアに関しては、コロナ禍の3年は、順調に増えていたはずの若い世代の参加が激減しましたが、来てくれた数少ない人たちとは濃い目に過ごせたとも言えます。
アフターコロナに向け、種まきも続けてきました。とくに昨年からは、IBEX Airlinesとサントリーみらい基金の協力を得て、宮城県内の高校生・大学生に対し「読書感想文コンクール」(「松がつなぐあした」著者:小林省太 元日本経済新聞論説委員)の取り組みを開始しました。しかし、文字通りの「大苦戦」でした。運を引き寄せるつもりで必死に取り組んだつもりですが、応募者が非常に少なく、苦しい日々でした。これでもまだ何かが足らないのかと思い知らされることが続きましたが、もしやっていなければ、出会うことはなかっただろう人たちと縁が出来ました。苦戦の過程で、押すべきボタン、押しても仕方ないボタンも多少は学習できました。(例えばその一つとして、そもそも「読書感想文」自体、われわれと違い若い人たちは馴染みがないのだと知りました。)
今冬は、参加回数数十回レベルのベテランボランティア対象に、本数調整伐指導者講習会を初めて実施し、安全を意識しながら指導できる体制を目指しています。厳冬期でも伐採作業を志願するような地元の人が増えるよう、とくに若者にも来てもらえるよう努力します。
振り返ると、2011年にプロジェクトを立ち上げて以降ずっと、どうしてこうなるのかわからないほどの幸運に、立て続けに恵まれたと思います。運とか縁などを考えさせられることが幾度もありました。
そしてとうとう、片想いが3年続いた県立名取北高校からボランティア参加のオファーがありました。2018年3月以来、久々の野球部です。待ち焦がれていました。次世代への取り組みに苦戦し続けていたので、本当のサプライズ。正直なところ「私たちにはまだ運もツキもある」と思いました。そして12回目の3.11は、今までと違う時間を過ごすことができました。これまでの北高とのご縁の数々を振り返ると、海岸林再生プロジェクトにとっては「苦しいときの北高」「風穴を開けるのはいつも北高」という存在なのかもしれません。北高野球部にとっても、「海岸林ボランティアに行くと勝ち進む」という存在になればとイイのですが。(前回のチームは夏の県大会ベスト16!)
*当日の様子は、サポートに来てくれた和泉君(宮城大3年)がブログで報告してくれます。
年末には宮城のラジオ局が2回チャンスをくださり、3月2日には日経新聞が全国版で、3月10日にはRKB毎日放送(福岡)がTV放送と1週間限定でYoutube配信で、わたしたちの「次世代への取り組み」を紹介くださりました。夜には仙台東ロータリークラブ創立60周年式典で寄付金贈呈と、ロータリアン150人にプレゼンの機会をいただきました。今回の3.11を通じて、「いま海岸林再生プロジェクトは何に取り組んでいるのか」、世の中に発信できました。
次世代への継承は、私たちにとって最も重要で、最も時間がかかる、極めて難しい仕事だと思っています。一朝一夕にできるわけのない、長い長い道のりとなります。尊敬しているオイスカタイの見原アイサ事務局長(故人)は「人の心に木を植える」と何度も言っていました。種まきは延々続きます。着実に布石も打ち続けようと思います。
まっすぐ前進している「手応え」を感じた3.11でした。