第三回植樹祭の500名以上の参加者の中には、
日本の海岸林再生を学んでもらおうと招いたフィリピンの海岸林再生担当者3名もいました。
記憶にある方も多いと思いますが、2013年11月8日に大型台風ヨランダが平均風速65㎞以上で
フィリピン・レイテ島、セブ島、パナイ島など中部ヴィサヤ諸島を横断、住宅・構造物の
全半壊の被害は80%に及び、多くの被災者と犠牲者を出しています。そうした中で、
海岸線に林のあったところでは、災害の減災効果がみられ、海岸林再生が叫ばれるようになりました。
オイスカは現在、ODAによる日本のNGO支援策を強化する「NGO連携無償資金協力援助」を受け、
「災害に強い、森に守られた地域づくりプロジェクト」を立ち上げ、レイテ島のレイテ州と
パナイ島のイロイロ州において台風からの復興森づくりに取り組んでいます。
熱帯の海岸林と言えばマングローブ林をイメージされる方が多いかもしれません。
マングローブは熱帯の海岸沿いの海水と淡水が混じりあう場所に生息するので、
当プロジェクトもそうした場所を探して盛んにフタバヒルギ、ヒルギダマシなどの
マングローブを写真のように村人の手で植栽しています。
しかし、沿岸は海水と淡水がまじりあう所ばかりではありませんので
マングローブ種以外の樹種を植えることになります。
今フィリピン政府が力を入れようとしている樹種は「タリサイ」です。
写真のように傘を広げたように横に樹冠を広げ単木で生えています。
実がアーモンドに似ていることから、Sea almondともよばれています。
当プロジェクトでも写真のように海岸沿いにタリサイの植栽を実施しておりますが、
枯損が多く活着させるのに苦労しています。「タリサイ」については、海岸の分布に適している樹種として
どの文献にも書かれていますが、具体的な植栽については書かれていないようです。
乾燥に強い樹種となっていますが、植栽地を見ると枯損木は乾燥で枯れていると
判断されるものがほとんどでした。
ツル性匍匐状(ほふくじょう)のヒルガオ科のグンバイヒルガオ、マメ科のタンキリマメ?で
植栽木が覆われているところは、それが逆に吸水の妨げになると同時に草負け状態をきたしているのです。
植栽木の周りは日本と同じように草刈が必要なのです。
周りを刈り取って、それを植栽木の根元を被覆するマルチングにし、土壌の蒸散を抑えればよいのです。
また、植栽穴には有機堆肥をいれて、土壌の保水性と栄養を高めればよいのです。
現実に水をまくことは不可能でしょうから、植栽時に吸水ポリマー(おむつの材料)に漬けて植えれば、
最低1週間は水分を保てるのです。
今述べたようなことはすでにプロジェクトに伝えておりました。