先日ある方から、「海岸林の盛土植栽地では水はけが悪く、
その対策に苦労されておられますが、水はけが悪いと根腐れをおこして枯れてしまうのに、
水耕栽培では問題なく生育するのはどうしてでしょうか?」と実に素朴な疑問を投げかけられました。
なぜ根腐れがおこすのかについて少し解説します。
人間も動物も呼吸するために、空気・酸素がなければ生きていけません。
植物は二酸化炭素を吸って酸素を出すのですから、
酸素はいらないのか・・・といいますとそうではありません。
「植物の根」は人間・動物同様に「呼吸」をしているのです。
呼吸ですから酸素を含む空気が必要なのです。
根腐れは、根の周りの空気・酸素が不足し(嫌気性・けんきせい)、
根が呼吸できずに窒息するのです。その後、嫌気性菌が根を分解し、
根が腐った状態に至り、根腐れということになります。
雨が降り土壌中に水溜まりが出来て何日も抜けないということは、窒息で枯れ根腐れに至るということになります。沢筋で水につかっている樹木が枯れないのは、流れる水には酸素が溶け込んでいる(エアレーション)ためです。ですから流水だという条件が大事です。
樹木で水耕栽培しても基本的にはエアレーションしないといずれ水の酸素不足で窒息死となります。
草花が水耕栽培で生きられる例が多いのは、茎の中の空洞を通し地上から地中の根に酸素を供給しているためです。また根の一部が空中に出ていて気根となって空気を取り込んでいるからです。