6月6・7日の大雨。そして、念願の管渠工事完成のこと

 吉田です。「名取は警報が出てるぞ」と知人からメールが来ました。予報では100㎜の雨が降ると。私は東京に帰っていたので、翌日に、海岸林背後で農業をしている再生の会の櫻井さんに電話すると、「風は強かったけどな」と慌てた様子が一つもなかったのでホッとしました。正直なところ心配したのは、海岸林というより、最寄りの畑の最もクロマツ寄り。今までも何度も水に浸かっているので。

 ちょうど森林総研、秋田林業研究研修センター、名古屋大学院の先生たちが地中レーダを使ってクロマツの根系調査に入った時でしたので、現場の状況を電話で聞いてみました。「今日はさすがに調査は出来ないけど、作業道は通れる」と教えてくれました。

 いつも雨量や風速などは、気象庁HPの過去の気象データで、数値を見ています。https://www.data.jma.go.jp/obd/stats/etrn/index.php

 6月6日は降水量67㎜、最大瞬間風速18m(東北東)、7日は44.5㎜、17m(北)。3日も20㎜が降っているので、6月最初の7日間で131.5㎜降ったことになります。この時期では、過去10年で最多。

 話は変わりますが、海岸林の現場として100㎜ぐらいでは、もう慌てる必要はありません。これまで官民の力で最善を尽くしてきました。そして、今回の雨に合わせたかのように、念願の「管渠および排水溝修繕(整地)工事」が完成しました。ここに至るまでいくつもの段階がありました。

 初植栽の2014年5月、植えたばかりの現場に滞水するのを見て、宮城中央森林組合の現場代理人の佐々木秀義君と二人で、唐鍬で簡単な溝を作ってみました。「これはいいかもしれないな」と話した記憶があります。

 2015年、「溝切り」と呼ぶ排水路づくりをボランティアで始めてみました。それが徐々に本格的な仕事になっていまに至り、今年も3月から、118人(4回)がこの仕事に当たっています。防風垣を数人がかりで持ち上げてでも、大小さまざまな溝を各所で縦横に作りました。総延長距離は数㎞では済まないと思います。一言で言って、「オイスカならでは」、「力づく」で。

 2016年には、林野庁仙台森林管理署が動いてくれました。ます、深さ3mの大きな礫を入れた「縦暗渠」(竪穴で海砂の地山まで掘って浸透させる)を30m間隔で掘りました。しかし、残念ながらその工事は、砂で目詰まりして効果がありませんでしたが、工事業者の三和建設の現場代理人の吉田さんも含めて、官民で知恵を出したことが印象に残ります。

 そして2017年、広浦沿いの2016年・17年植栽地のうち、多湿で悩んだ約20haに対して、国のご理解とご尽力で、植栽面と同じ高さにあった幅4mの直線作業道約1,000m×2本を1.5m掘り下げ、「遊水地」化しました。下の写真は、その「遊水地」の月間降水量355㎜の12日後の写真です。

 しかし、この遊水地は諸事情によって広浦への排水口がなく、ただ浸透を待つしかないという課題がありました。

 震災から10年を前にした2020年10月、国・県・市のご尽力、諸関係者のご理解により、遊水地の最北から広浦への「管渠」(地中に土管を通す)排水が認められ、まず東側遊水地のみの「管渠および1㎞の整地工事」が完成しました。とくに、ご自身も農業をされている名取市農林水産課の新しい課長さんが、「瞬殺」的に解決へと動いてくださったことが印象に残ります。

 そして2022年6月、今度はオイスカの発注で、西側遊水地全長1㎞で同様の工事が完成しました。これまでご尽力いただいた各行政の皆様、今回の工事に当たっていただいた地元の若生技研㈱の皆様、そして、ボランティアを始め、多くの支援者の皆様に、あらためて御礼を申し上げます。

 巨大多湿地対策は、前進しましたが、依然として小規模かつ、斑状に広範囲に点在しており、まだまだ、ボランティアの手は必要です。「また溝切りか~」と言わず、お付き合いのほど、よろしくお願いします。2020年植栽地(約6ha)も気になっています。

2022年6月
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