夕日の松原(秋田県)
2018年9月14日( カテゴリー: Post2020年に向けて~海岸林と地域の将来ビジョン形成調査~, 海岸林あれこれ )
「あきたこまち」の産地に来た。
9月8日付秋田魁新報に「今年のコメ自給率は秋田が全国1位」との記事。
初めて見た八郎潟干拓地には、立派な内陸防風林があることを知った。
男鹿半島の付け根、干拓地南端から秋田の港まで松林が14㎞続く。
その多くを占める潟上市は、宅地も水田も海岸林に寄り添っていた。
秋田火力発電所も周囲は松。金足農業高校も恩恵を預かる後背地にある。
幅800m~1,500m、面積860haの壮大な規模の「夕日の松原」。
後背地から幾重の砂丘上にある保安林を越え、浜に出ると海岸浸食防止の離岸堤があり、
平成16年の台風で被害を受けた最前列にはクロマツが再び植えられていた。
日本海の海風が吹き付ける。ここに来れば、生活を守るために松があることが一目瞭然。
2日間の松くい防除講習と週末の時間を使い、現場を歩いた。
最前列は下刈・つる切り・除伐が徹底されているクロマツ純林。
海沿いの国道を完全に守る設計となっている。
第2列以降は下層に自然に侵入したクロマツと広葉樹を活かし、
上層のクロマツがダメージを受けた場合に備えた長期を見据えた設計。
第3列以降はアカマツが占めて、広葉樹林に遷移している箇所も多い。
これは人の手で成したこと。秋田県立大学や行政と市民の協働による保育。
その気になれば、ここまで整然とできるものか。
見事としか言いようがない。