コチラの盛土
2016年10月4日( カテゴリー: 現場レポート )
最近、豊洲市場の絡みで、「盛土」という、東北の海岸林再生にとっては馴染みの
深い言葉が、新聞の一面トップの見出しにまで連日登場する。
10月1日、朝日新聞朝刊2面に「盛土」は「もりど」と読むか、「もりつち」かと、
小泉純一郎元首相から質問が届いたと載っていた。
「広辞苑には<もりつち>しかないのに、<もりど>と言うのは不思議だ」と元首相。
たしかにどちらも聞く。「もりど」は記事の結論の通り、業界用語という気がする。
それはさておき、名取の「盛土」を担当している建設会社の現場責任者の方に
2017年度植栽予定地の滞水・排水対策工事のココロを伺いに行った。
大まかに言って、
・作業道を南北の排水溝とすべく、切り下げる。
・貴重な水辺である広浦に配慮し、その反対側に排水すべく、東西にも暗渠をつくる。
ただし、なにかを埋め込むのではなく、盛土の山砂を掻き出し、透水性のよい
海砂を入れて、フラットな状態を完成形とする。
・掻き出した山砂は、盛土の低い箇所に運び、盛土高を上げるのに使う。
改善の訴えに耳を傾け、尽力くださった皆様に感謝すると当時に、
現状打破を信じたい。
名取は他の例にもれず、9月がもっとも雨が多い。
だいたい230㎜が平均だと思っているが、今年は279㎜だった。
過去6年では、72㎜という年もあれば、335㎜降った年もあった。
林野庁の盛土工事とは別発注で先に造ってしまった、市のサイクリング道の絡みで、
完全な排水不全となり湿地性植物まで生えている個所のクロマツを、いつも真っ先に見に行く。
幸いなことに、いまのところ、まったく枯れずに持ちこたえていた。
被災地復興の現場では、発注者として、さまざまな主体が入り乱れて当然。
人間のすることだから、悪意なきミス、連携ミスはいつ起きてもおかしくない。
しかし、アチラの盛土では、「だれの責任でいつ決めたかわからない」という結論だった。
コチラの盛土も、県と市の2つのサイクリング道がある。
「当局内でも課毎でバラバラに行動している」「自分の工事しか考えていない」とよく聞く。
保安林を解除して拡幅し、植えたクロマツが無駄になる可能性もあると聞いている。
「わからなかった」で手痛い被害を受けるのは我々。
たとえ悪意がなかろうと、飛んでくる火の粉は、振り払わねば自分が焼けてしまう。
自分たちで集めた寄附金を無駄にしたくない。
だから、これまで同様、情報は自ら取りに行かねばならない。