吉田です。3月16日の地震の爪痕は、いまだ宮城・福島の沿岸部県境に残っています。大きな被害を受けた東北新幹線は、4月14日に1週間前倒しで全線復旧しましたが、宮城南部では徐行運転していました。名取市内から1時間かからない秋保温泉の「緑水亭」をはじめ、福島・相馬港の旅館街なども大変なことになっていました。あの3.11から10年余りで、3度も大きな地震。

 宮城の山は、若葉の薄緑色に芽吹いていません。今年の冬は寒かったのでしょう。里では、サクラが散り始めるなか、鯉のぼりの準備をする姿を見かけるなど、少し寒いながらも、春到来を感じました。毎年4月の寒い日は、2012年4月20日の白銀の世界になったクロマツ育苗場を思い出します。

 名取は2日連続で雨が降り続け、現場は水浸し。でもボランティアの日は、天気が回復するとの予報。しかも、大排水口を作った経験のある鹿島建設東北支店の「あの2人」が、若い社員さんと来てくれる。工事で作られた排水口が機能するように、予定通り「カイゼン」させていただこう。これで梅雨入り前に、閖上の2018年植栽地3.81haの多湿地対策は大前進する。そんな風に考えていました。

 海岸林ボランティアの申し込みは、その地震とコロナ禍の影響もあり、集まってもらえるか心配しましたが、最終的にほぼ宮城県民、32人が参加くださりました。地元だけでこれだけ安定して集まってもらえることは何よりありがたいです。さらに嬉しいことに、社会人の顔ぶれも若い人がこれまでと同様に多く、小学生・高校生・大学生に始まり、80歳の大槻さんまでバランスの良い年齢構成。超リピーターから初参加まで偏りのない参加者構成でした。勝手連的参加としては、IBEX Airlines、矢崎エナジーシステム東北支店と鹿島建設東北支店。そして、2016年以降「動員なし。一切自主申込」でお願いしてきた県立名取北高校からはコロナ禍以来2年ぶりに、弓道部の女子高校生3人が参加。別の高校生と「中学校以来3年ぶりに偶然再会」してビックリしていました。また、同じくコロナ禍を経て、久々に予定しているANAグループ労組ボランティアの若いご担当が下見かねて参加。彼は名取北高校出身でした。

 作業は終日「溝切り」。3月~6月中旬まではこれに尽きます。今日は、90m×40m(0.36ha)内の排水溝と、排水口3ヵ所を整えたいと思っていましたが、やはり、うちのボランティアの人たちですから、思っていた以上の仕事ができ、120m×40m(0.48ha)と排水口5ヵ所、つまり2018年植栽クロマツ約5,000本の直接的改善に繋がりました。

 それだけではありません。排水口のうちの1つは、2018年植栽地で、去年10月から続けてきた約1haの排水溝のゴール。この一つだけで、別の5,000本の抜本的改善です。楽しみにしていました。(*完全完了には、さらに手をかけなければなりませんが。)鹿島建設の親分を筆頭に、IBEXのベテラン社員のKさんなど慣れた人が、つるはしを初めて持つ若い人を指揮しながら、大排水口を予想以上にあっさり。短時間で完成させてしまいました。

 ですので、昨日の仕事は少なくとも1.5ha、15,000本への効果が望めるんです。ここ3.81haでの、2018年夏からの溝切りバトンリレーの大きな節目の一つだったと思います。作業の一番最後、恒例の「通水式」をしました。いつもたまっている水と、2日間の雨の翌日。これまでで一番ひどい場所の大排水口ですので、かつてない量の水が遊水地に流れました。快感です。

 2015年以降、常に滞水する場所の「応急処置的な溝切り」に取り組んでいます。ですが、今回の2018年植栽地滞水箇所3.81haでは、少なくとも今年いっぱい続くでしょう。補修・新設したい場所は、一番初めに植えた2014年植栽地の中なども含め、まだまだ点在します。溝切り自体は徐々に少なくなると言っても、10年続くのかもしれません。

 今月から来月にかけて、2017年植栽地「西側大遊水地」(全長1,000m×幅4m×深1.5m)から広浦に排水する「管渠」工事(かんきょ:土管を埋める)を自己資金で実施します。8.55ha、42,750本のクロマツに力を与える念願の工事です。去年は2017年植栽地「東側大遊水地」の管渠工事を、名取市農林水産課をはじめ国・県のご尽力で実現し、一切滞水することが無くなりました。これは7.11ha、35,550本の改善に繋がります。

 マニアックな話ですが、管渠は全長1㎞の北端。水を1㎞先まで流す工事って、我々から見れば簡単ではないです。勾配をつけなくてはなりませんから。地元の若生技研さん、どうぞよろしくお願いします。

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