1月17日朝、新たな仕事の始まりです。宮城中央森林組合の現場代理人、佐々木君と土井班5名。松島森林総合の佐々木勝義さんが、名取事務所に集まりました。みな、植栽、施肥、下刈、除伐・・・ベテランさんたちは2014年の初植栽から名取の現場でずっと一緒。現場を知り尽くしています。とうとう本数調整伐も共にすることが出来ました。同じ林業マンに植栽から保育まで一貫して仕事してもらえるのは誇りだし、醍醐味。老壮青のバランスもこのプロジェクトの持ち味。必ずこういう仕事にするんだと思っていました。せっかくオイスカで仕事をするのだから、入れ替わり立ち代わり、違う人が来て、バラバラな仕事をするスタイルにはしたくなかった。佐々木君は、2011年の津波の時のあと森林組合に入り、現場代理人としていきなり巨大現場を任されました。「一番若い彼と長く組みたい」という思いもあり、こちらから森林組合の組合長に何度も念を押してお願いしました。20歳代で5年目の千葉君、3年目の早坂Jr.は、新人として森林組合に入ったばかりの現場が名取でした。初めて会った日のことも覚えています。
毎年、新しい仕事が始まる節目では、打ち合わせを兼ねながら技術講習と安全衛生講習を必ず行います。オイスカからも、小林省太さんと浅野さん、私が加わりました。
まず、佐々木統括から、「海岸防災林の保育管理のためのガイドライン」(2020年3月)の要点や、技術面が書かれている資料や図面などをもとに一気に説明をします。「名取の100%近い生育率、生長の速さは想定外。海岸防災林は、「形状比(樹高÷胸高直径)70未満」が災害に強い森林の指標。また「樹冠は樹高の70%程度」あることが望ましく、「笠松」のように上にしか葉がない状態にしてはいけない。2014年植栽地は、過密状態を解消し、枝の枯れ上がり抑制するタイミングとして、いまが最適期。タイミングを逸すると、森林の状態はもちろん、作業効率、コスト面でも良いことは一つもない。これからはマツノマダラカミキリが飛来する。松くい虫予防のために、伐採は冬季限定」など、多角的にガッツリ説明がありました。
プロたちにとっても、海岸林の伐採は初めて。まだ大きくないマツと言っても数が数。段取りを現場で考えるべく、1伐2残を頭におき、これから伐る10haの無数のクロマツを見ると、なぜか急に1列増えていたり、曲がっていたり。「こういう場合はどうしようか?」という戸惑いや、「これ、終わるのか~」という不安の声もありました。「まずはやってみよう!」と佐々木君が声をかけ、私も作業に合流しながら、イレギュラーな配列になっている場合はどう伐るべきか、急に植栽列がずれた場合はどうするのか・・・その都度、質問に答えました。「海側最前列を基準にして伐採列を決める。風に配慮して林縁は伐らない。この原則をもとに、整えるのが伐り手の仕事」と言いながら。初日の午後半日を終えてみて、明日からはバンバン進むなあと思いました。
ただ、山と違うのは、海岸林のクロマツの根元には砂がついているし、後々の作業のために、地際すれすれで伐るため、どうしてもチェーンソーの刃が地面の石などに触れてしまいます。ですから、休憩のたび、時には作業中断してでも「目立て」(刃を研ぐこと)をすることになります。伐れない刃になるとチェーンソーの音も、リズムも違います。その刃で強引に続けると、疲れのもとと、林業会社時代のことを思い出しました。