吉田です。1月17日から、晴れて本数調整伐を開始しました。概要をお伝えします。

 2012年3月に初めて播種して2年間育て、2014年4月に植えた約16haのうち、10.13haのクロマツを16,887本伐ります。伐採率は33%。1伐2残です。対象地の樹高はまちまちですが、平均4m程度と言えると思います。

 そもそも本数調整伐とは林業の正式用語ですから、一般には間伐でいいと思いますが、混みあった保安林などを災害に強い森林にするために、立木の本数を調整して伐採する作業です。正式用語的には、間伐の言葉は、主に材木にするための山、経済林で使います。

 海岸林を人の手でつくるようになって400年以上が経っています。以来、材木目的の森林ではなく、防災目的だったため、「伐採まかりならず」、事実上の「禁伐」が続いてきました。近年は海岸防災林の保育のあり方の研究も地道に進められてきました。東日本大震災による森林被害面積は、日本の森林史上、稀にみる規模(おそらく最大)です。それに対して、従来の10,000本/ha植えから、5,000本/ha植えに改められるなど積極果敢に進められています。そして林野庁による「海岸防災林の保育管理のためのガイドライン」が定められ、海岸林史上初めての伐採方針が採られることになりました。

 「最初から少なく植えればいいではないか?」「伐採される木が忍びない」とよく言われます。私は「最強の海岸林を仕立てる」ために仕事をしていますから、そういう一般感覚はマヒしていると思います。皆さんがそう思う気持ちはよく承知しているのですが。私自身は、絶好の伐採タイミングを逃さなかったこと、中途半端ではない伐採率が、嬉しくてたまらないのです。最強の海岸防災林への道が、一歩近づいた感があります。

 伐採の現場では、宮城中央森林組合のプロたちが、いちいち迷うことなく作業に当たれるよう、列状に(主風に対して直角に)に1伐2残で機械的に伐採します。経済林ではないので木々の優劣は問いません。今後の葛との闘いという点でも、林内が明るくなるため葛の繁茂は増えると思いますが、進入路が出来て、プロもボランティアも仕事しやすくなります。

 話したいことはまだたくさんありますので、すこしづつ。伐採自体は2月上旬には終わると思います。オイスカ広報誌3月号の同封物、小林省太さんによる「よみがえれ!海岸林」vol.15で本数調整伐をレポートします。3月中旬には、伐採木の林外搬出・再利用処理などすべての仕事が終わると思います。

 最後に個人的なことですが、本数調整伐でも東北の先陣を進めたことに満足しています。人の後ろを走るのは性分に合わないので。

2022年1月
 12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930
31  
月別アーカイブ

ページトップへ