本数調整伐までやってこそ及第点

本数調整伐遅れの海岸林は、まったく珍しくありません。
慣習がないことも、予算がないことも大きな要因です。
しかし今や、「本数調整伐は当然実施すべき」というのが潮流だと考えています。
伐り焦ってもいけない。しかし伐り時を逃して遅れると、あとは悪循環が待っている。
一方、「今こそ、または、今こそ伐り時」という現場情報を探し当てること、
訪ねることは、我々の限られた時間では限界があるのが、正直なところです。
しかし、それでも見る目を訓練しようとコツコツ探してきました。
副次的に、植えて数年で松くい虫被害に会った場所にも出くわしました。

最前列の特殊な施業事例。津波被害を免れた優良木を、一定比率のみ残して伐り、自然に生えてきたマツを育てる。日光を導くため、敢えて枝打ちも実施。伐採したマツは搬出せず、林内にきれいに集積・据置

最前列の特殊な施業事例。津波被害を免れた優良木を、一定比率のみ残して伐り、自然に生えてきたマツを育てる。日光を導くため、敢えて枝打ちも実施。伐採したマツは搬出せず、林内にきれいに集積・据置


本数調整伐は歴史的蓄積がない技術。
試験は元より、事業規模の実践事例は極めて稀。
宮城県では前例もなく、今後の基本方針も検討途上です。
伐ったら伐ったで、その膨大な材ををどう処分するのか。
我々だけで出来ない大仕事が将来待っています。
それでも我々は、色々な人の協力を得ながら、やってのけなければならない立場。
名取ではいつ頃、伐ることになるのか、薄っすらしか見えません。しかし案外早いはず。
本数調整伐まで辿り着いて初めて、このプロジェクトに及第点を出すつもりです。
同じ手掛けるなら、最強の海岸防災林を作るのが我々のミッション。
全国にも地元にも知己は増え、アドバンテージはありますが、
関係者一同、一層研鑽に努めなければなりません。
十年以上手入れなしの最前列。枯損寸前。樹高に対して葉のない枝下の比率は9割。すべて伐ってやり直すしかない

十年以上手入れなしの最前列。枯損寸前。樹高に対して葉のない枝下の比率は9割。すべて伐ってやり直すしかない


個人的には、最前列こそ最強にするため例外なく伐りたい

個人的には、最前列こそ最強にするため例外なく伐りたい

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