測定から観察へ①

2016年9月22日( カテゴリー: 清藤先生の視点 )

緑化技術参事の清藤城宏です。
9月16日~17日の二日間、ボランティアの日の日程に合わせて、名取の海岸林再生現場に入りました。
前回7月15日の調査では、土壌の物理性を中心に土壌の硬度、Ph、水分状況、土性に着目して
調査を実施しました。しかし雨期のデータであったため、再度秋晴れの天気続きを狙ってのデータを
収集するつもりで今回現地入りしました。今回は晴れておりましたが、残念ながら連日雨が続いていて
前回よりもさらに土壌は湿った状態。そこで測定をあきらめ、調査プロット19ヵ所を見て回りました。
理系の研究では「定量的」に物事をとらえることがほとんどで、
文系では「定性的」な場合が多いのではないでしょうか?
「定量的」とは、物事を数値化して具体的に捉えることです。
モニタリングでいうと、植栽した苗の樹高や直径を測り、様々な条件における苗の成長を数値として
表すことを言います。例えば測定結果から、成長のよいAプロットでは20年後には樹高が7mに達した
閉鎖林分になることが予測される、とか。
一方「定性的」とは、対象の不連続な性質に着目してとらえる事。
簡単に言うと、物事を事象として抽象的に捉えることをいいます。
例えば、今回の観察した結果から、Aプロットは非常に伸びも良いので、20年後に樹冠も閉鎖して
立派な林分になることが予想されます、というように同じ場所でも表現が、定量的・定性的で変わってくるでしょう。
確かに数値で表すことは大事ですが、それによる評価の見落としはないか、という問題を感じる時もあります。
いつもなら調査プロットの測定に追われ全体を良く見ていないきらいもありますが、
今回は定量的測定調査ではなく、定性的な観察に徹して見て回りました。
植栽3年目・初年度2014年植栽地を見ても本当に様々な育ち方をしております。
植栽当年に良かった場所・苗とは逆転している場所もあります。すなわち植栽して
その秋の成長休止期の成長結果がそのまま持続するかというと、そうではないのです。
今回、「凄い、成長が違うぞ!」という目立った場所がありました。
海岸林再生地は、海岸線に平行に防風棚(ハードルフェンス)が設置され、また静砂垣(高さ1m)との
組み合わせで囲われておりますが、3年目にして静砂垣を軒並み超えている場所があるのです。

静砂垣1mの高さを超えている植栽木群

静砂垣1mの高さを超えている植栽木群


測定から観察へ②へ続く…

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