松苗に目いっぱい菌根菌が付いていました。

津波後に自然に発芽したクロマツを、海岸林跡地でたくさん見ています。
140422 掘り取り仮植DSC_0001 (9)
これまで津波を被り、あまり良い土ではない第一育苗場でも、十分マツ苗を育ててきました。 「菌根菌」は死滅せず、必ずここにいると思っていました。 植栽目前の今、育苗場で掘り取り作業をして私がまず注目したのは、十分な根があることと、「菌根菌の付着」。 結果は十分。白い菌がびっしり。掘り取るときに土が落ちても、菌は根から着いたまま落ちないんですね。
菌根菌とは、菌根を作って植物と共生する菌類のことです。 土壌中の糸状菌が、植物の根の表面または内部に着生したものを菌根と言います。
「月面に植栽するようなもの」と太田猛彦顧問が例え、土壌の三要素(窒素・リン・カリウム)がまるで欠けているような土壌でも、 この菌根菌の存在と、マツとの共存関係があれば・・・・・・。「昔の人はマツは岩場でも生きてゆけるのは、マツの根が岩をも溶かすからと言っていたようだけど、菌根菌がマツを助けているからなんだよね」と佐々木統括は話しました。
マツが劣悪な土壌に強いとしても、それにしても厳しい現場と思っていたので、 とても明るい材料です。菌根菌を見て、心の霧が晴れたような気持ちになりました。
(マニアックな話でいつもすみません)
以下、引用です。
マツと菌根菌は
「マツ類は代表的な菌根性樹種で、その吸収根のほとんどは菌根化し、土壌養分の吸収は事実上すべて菌根菌を介して行っています。
(中略)
菌根菌は、土壌中に張り巡らした菌糸から、主にリン酸や窒素を吸収して宿主植物に供給し、 代わりにエネルギー源として共生主となる植物が光合成により生産した炭素化合物を得ることで、菌自身が成長する。 多くの菌根菌は共生植物に対し明確な成長促進効果があり、実際に、菌根菌を取り除いた土壌で栽培した植物は生育が悪くなる傾向にある。
(中略)
また、一つは土壌病害に対する防御、もう一つは養分や水分の吸収促進など根の機能拡張である。 根の滲出物を吸収しまたは変質させて病原菌を呼び寄せるのを防ぐ。 また、菌根では共生菌といえど菌が根の組織に侵入するため根の細胞ではある程度の防御反応が起きており、 万一病原菌の侵入を受けても直ちに防御反応を完成させて封じ込めることができる。 さらに、マツタケでは菌根化することでマツも菌も単独では持たない抗菌物質を生産することが知られているし、 何種類かの菌根菌では根に接触して形態の変化が起こる前から土壌病害抵抗性が向上する例が知られている。
(中略)
森林の地上に発生するキノコは、多くが菌根菌である。主なものは、マツタケ、アミタケ、ショウロ等がある。 これらの例は宿主がすべてマツだが、コナラやシラカバが宿主のものもいるし、様々な木と菌根を作るものもある。」
Fig
引用文献: 財団法人日本緑化センター刊 グリーン・エージ 第32巻第3号(痛感375号)
8-10ページに掲載 「松林と菌根菌」森林総合研究所九州支所 森林微生物管理研究グループ 主任研究官 明間民央
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