2023年7月10日

海岸林 出張報告① マツとの距離が少しだけ縮まったように感じます!

  • 海岸林再生プロジェクト
  • ECO-DRR
  • 本部スタッフ
  • こんにちは。
    海外事業部の山本です。

    6月22日(木)~24日(土)まで、宮城県名取市へ出張にいってきました。
    目的は、「 海岸林 」の作業に参加するためです。

    オイスカでは東日本大震災による津波で被害を受けた、宮城県名取市の海岸林約100haを再生するプロジェクトに取り組み続けています。

    防波堤沿いに広がる海岸林

    本ブログでは、初めて海岸林を訪れ、マツについて新たに知ったことやボランティアの方々と一緒に作業をして感じたことを2回に分けてご報告します。

    今回はマツなどの植物についてです。

    海岸林を訪れて、まず感じたのはその広さです。海岸林一帯には車で入っていくのですが、一旦中に入ると、どこにいるのかわからなくなるくらい、一面マツ林が広がっています。マツの木の成長具合は場所によって異なりますが、多くは人の背丈をゆうに超え、少し高いところに上らないと周りがみえません。

    柵にのぼって見渡しても、どこまでも広がっているように感じました。

    事前に話を聞いても、写真をみても、やはり、想像では現実におよびません。これは行かないと実感できないことだなぁと感じました。まさに「百聞は一見に如かず」でした。

    この広さとは反対に、マツの木そのものについても、間近で触れてわかったことがあります。
    海岸林から少し内陸側のところに、プロジェクトの拠点となるオイスカ名取事務所があります。ここではマツの苗を育てており、「クロマツ」と「アカマツ」がありました。どんな違いがあるのか聞いてみると、クロマツは固く、アカマツは柔らかいと教えてもらいました。触ってみると、違いはハッキリとわかりました。クロマツはチクチクと刺さるような感触でした。

    「クロマツ」と「アカマツ」の苗の写真は撮り忘れましたが、こちらが苗のある名取事務所。

    マツの木についてはもうひとつ「なるほど!」と思ったことがあります。今回行なった作業のなかで「石灰まき」がありました。マツは酸性に強いそうですが、育ちの悪いエリアでは酸性が強すぎるため、弱めるために石灰をまくというものです。マツの根のある部分にまく必要がありますが、どこまで根が伸びているのか? それは、「力枝」の下まで伸びているということでした。

    石灰まきをしたエリアの一部。

    力枝とは、最も大きく伸びている枝のことだそうです。その下まで根が張っているので、石灰をまくときは、そこにまくよう教えていただきました。とてもわかりやすい目安になるなぁと思ったのと同時に、植物ってうまくできているなぁ、そしてこうした知恵があることって大切だなと感じたできごとでした。

    マツのことではありませんが、もう一つ、植物のことで認識が新たになったことがあります。
    それは「クズ(葛)」です。海岸林での作業の中で「クズ」は常に出てきます。

    出張前に、海岸林での作業について説明をしていただきましたが、その際に「クズ取りやります」と言われたときには、「クズってなんだ?」「どういうことをやるんだろう?」と思いました。しかし、海岸林に行ったら、すぐにその意味がわかりました。

    マツに絡みついているクズ

    クズはつるを伸ばす植物で、マツに絡みつきます。そのため、マツの成長を妨害してしまうので、刈り取りをおこないます。実際に絡まっている状態を見ると、「たしかにこれでは、マツはうまく伸びることができないだろうな」と思うほど、クズがどんどんはびこってしまう様子がみてとれました。「これは絡まっているのをとらなければ」と自然と思い、どんな作業をなぜするのかということがすんなりとわかりました。

    クズはとても身近なものでした。ハートに似たような形で、ちょうど朝顔のように、少し毛が生えた葉をしていて、見たことのある植物でした。これまでは気づきませんでしたが、車で走っていると、いたるところでくずを見かけました。道路の脇で草が茂っているところには、だいたいクズが生えていました。

    クズ取りをしているときのマツとの距離感はこんな感じ。マツの間に分け入って刈り取ります。ちなみに、真ん中に小さく写っているのはカニです。

    これまで、漠然としたイメージしか持っていなかった海岸林での活動ですが、マツについて話を聞き、実際に触れ、作業をしたことで、マツがどんな植物なのか、そして、海岸林がどうやってできているのか、ほんの少しではありますが、理解が深まったと思います。

    今回は初めての訪問でしたので、今後回数を重ねて、より「実体験からわかること」を増やしていきたいと思います。

    次回はボランティアの方々と一緒に作業をして感じたことをご報告します!

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