海外事業部の森田です。少し前のことになりますが、昨年12月上旬にタイに出張しましたので報告します。
タイ北部チェンライ県の3つの村を対象に、外務省の日本NGO連携無償資金協力(以下、N連)の支援で、2016年6月から3年間、「チェンライ県の山岳地帯の貧困層を中心とした対象地域における森林保全・再生と生計向上プロジェクト」を実施しました。N連プロジェクト終了後の第三者評価調査に同行するため、2022年12月7日から8日までチェンライ県に滞在しました。
タイでは、木材利用のための無計画な伐採や農地化により、1961年には国土面積の53%だった森林面積が1991年に26.6%に減少しました。(森林総合研究所 REDD研究開発センターのサイトから引用)
貧困地域にあるプロジェクト実施地の3つの村は、はげ山が広がる地域でした。これらの村の貧困を断ち切るため、収入向上につながる森づくりと森の恵みを活かした産業を創るプロジェクトを村人と共に実施しました。
また、タイ北部では農地で草木や農場の廃棄物を燃やしたり、森林に火をつけたりする焼き畑で、3月から4月にかけて山火事が多く発生し、大気汚染が社会問題となっています。
プロジェクトでは、山火事を防ぐために防火帯の整備や村人を対象にした消火訓練をおこない、焼失を防ぐ対策をしていました。プロジェクト地の3村での森林火災の発生はなく、チェンライ県メースアイ郡にある森林火災防止センターのルンさんによると、同センターが管轄するチェンライ県とパヤオ県の中でも、森林火災の発生がないことは特筆すべきことと評価されました。村人との対話の中で、森を守ることの大切さを説き、消火訓練実施後もフォローを続けてきたことで意識が変化したことが森林火災ゼロを実現していると思われます。
「オイスカが伴走してくれて、プロジェクト終了後も気にかけてくれるので、安心して活動できる」という村人からの前向きなコメントが多く聞かれました。オイスカが活動の柱とする「長期継続」「住民の巻き込み」「技術と知見」が発揮された好事例で、村人たちの自信にあふれた笑顔がとても印象的でした。
外務省の担当者の方が「この支援はどこから来ているか知っていますか?」と村人に質問したところ、「あなたです!」と応えたことに一同爆笑しました。
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