プロジェクト担当の吉田です。 4月8日に名取では 「最大瞬間風速33.4m」と、県内で最も強い風が観測されました。 名取事務所には、いつも以上に砂が入り「雑巾がけばかりしていた」と佐々木統括。 3月は雨が0.5mmしか降らず、4月に入り大雨が続き、農家全体は作業が遅れ気味と。 昨年は4月4日に大風が吹きました。 暴風が日本全国各地を襲う日の4月7日、読売新聞朝刊に「風速」と「瞬間風速」の違いが 掲載されていました。 それによれば、 風速:1秒間に空気が何m動いたか。 瞬間風速:3秒間の平均値。その最大値が最大瞬間風速。 また、気象庁は 風速15~20m:「強い」 風速20~30m:「非常に強い」 風速30m以上:「猛烈な」 と表現。 20m以上:何かにつかまっていないと立っていられない。木の幹が折れる。道路標識が傾く。 35m以上:電柱が倒れる。 40m以上:住宅が倒壊することがある。 *林業では、風速10m以上では伐採などの作業をしないことになっています。一応。 工事現場の吹き流しが真横にピンと張るのが風速10mです。 年に1・2度、気象庁仙台管区気象台仙台空港測候所にお邪魔してお話を伺っております。 今回は、震災前後で霧発生日数に変化があったか、確認しましたが、特筆すべき変化はないようです。 ちなみに平成24年度の気温に関しては 3月:平均気温4.1度 4月:平均気温9.2度 5月:平均気温15.3度 この数日の滞在では4度~13度という気温だったと思います。 風が加わるとちょっと寒いですね。(少し動けば何ともありません) 林業会社勤務時代は、平地の気温が15度だったらHeatec(=タイツ、すててこ)履いてました。 すなわち、山では15度を下回りますから。 昨年の名取では、4月中はHeatecだったことを覚えています。 「今年は寒い」「風が冷たい」という声を、地元の人からよく聞きました。 ですが、「播種は間もなく」という感じです。 名取市役所でも、ソメイヨシノが開花しましたから。
(参考) 仙台管区気象台HP http://www.jma-net.go.jp/sendai/index.html
4月8日の「猛烈低気圧」被害
来年は本格的な植栽が始まると予想していることもあり、
昨年感じた以上に、3月~4月の寒風害の猛威が気になっています。
4月6日は全国各地で暴風雨による被害が出ましたが、
宮城では8日に様々な被害が出ました。奥羽山脈を越え、更に風速を増し、
冷たくなって吹き付けます。なかでも名取の仙台航空測候所では、
最大瞬間風速33.4mと県内で最も強い風が観測されました。
これが地元で呼ばれる「蔵王降ろし」です。
オイスカ第2育苗場に新設したばかりのビニールハウスも、骨組みは無事なものの
ビニールがはがされ、保険対象外と判断され、数万円の被害となる見込みです。
県内の主な被害は
・屋根から転落で重傷1名、バイク・自転車転倒などによる軽傷28名
・住宅全壊1棟(白石市)、半壊2棟(岩沼市)、一部損壊など102棟(19市町)
・漁港で作業船が沈没(亘里町)
・4tトラック数台横転
・複数の高校で臨時休校
もちろん、交通機関は大きな乱れ。
この他、最近時々聞くのは、緊急雇用で、農地などで細かいガレキ拾い
(日給8,000円)をする被災地の方が、砂で目を怪我したという話。
林業関係者からは、植栽し枯れた木を顕微鏡で見たら、傷だらけだったと。
砂が当たったのですね。
参考:日本気象協会HP
「春の嵐が今年も襲来、“猛烈低気圧”に注意!!」
http://www.jwa.or.jp/content/view/full/4924/
オイスカ緑化技術参事の清藤です。
海岸林再生プロジェクトには当初から関わっていますが、ブログは初めてです。
3月末、吉田君とともに現場に足を運びました。
現場は一冬ぶりです。
国の計画は予想以上に早められて進んでいました。
植栽基盤になる盛土造成工事も急ピッチで進められている現場をみるに、
いよいよ来年度は植栽が開始されるのでは?と期待し胸が躍りました。
もし、話がまとまると、少なくとも一年後に20ha規模で植栽を実施することになります。
オイスカが「富士山の森づくり」で経験している1年間の植林面積の2~3倍
植栽本数では10倍近い苗を植えなければなりません。
富士山では、シカ害の対策に時間も経費も費やしています。
海岸では土壌改良剤や固形肥料の投入、寒風対策の手間などが必要になります。
植栽が始まったら、
①10万本に近い苗の掘り取り・運搬(山出し)
②植栽とその準備
③次の播種
④前年播種の苗の床替移植
⑤植樹キックオフイベント・3・4月全体のボランティア募集対応
⑥募金活動・・・20haの植栽下刈り費用だけで、少なくとも毎年ざっと2000万円
以上の支出増加が見込まれ、資金調達が生命線となります。
通常、植栽時期は春と秋ですが、確実性を考えると春植えが望ましいでしょう。
秋に植えたばかりの小さな苗を冬の寒風にさらすのは賢明ではないように感じます。
3月下旬から4月に集中して20haをこなすためには、相当な計画性が必要となります。
富士山での活動には、多くのボランティアが参加していますが、本プロジェクトにおいても
植栽活動への参加希望者が多いことが想像されます。
活動をボランティアに担ってもらうための準備、受け入れ体制づくりは並大抵の事ではありません。
まさに今年が正念場と感じた出張でした。
ブログをご覧のみなさん、ぜひ募金、寄附にもご協力をお願いします。
植えるだけでは木は育ちません。20年程度の育林まで行って初めて森に育つのです。
オイスカに寄せられた寄附金で、その段階まで責任をもって行うのが私たちの計画です。
名取市の海から約9kmのところに第2育苗場がありますが、
種苗生産事業拡大に伴い、圃場が手狭になり、新たに2ヵ所の圃場確保を計画中。
①これから播種するコンテナ苗用(早く苗を育てる方式)ビニールハウス
*第2育苗場より200m西。Tさんの自宅前。水遣りが必須のため安心。
近々、看板も立てます。
②昨年播種した1年生苗の床替移植用の畑
*さらに車で10分西のまさに里山。行くには軽自動車サイズでないと。


↑ 根切りした1年生普通クロマツ(左)をこの圃場に床替移植する予定(全部使うわけではありません)
育苗に従事する「名取市海岸林再生の会」メンバーが「働きやすい」ことは重要な要素です。
その一方、集約型圃場が良いに越したことはないと、皆が承知しています。
復興計画の方針や計画も微妙な変動はつきものです。
状況変化は、種苗生産に関する我々への期待の裏返しの時もあります。
それに応える上でも、精度の高い情報を先取りすることが大事だと
しばしば思います。
宮城県庁HPに名文あり!
担当の吉田です。
宮城県のホームページにある、このレポートぜひご一読ください!http://www.pref.miyagi.jp/uploaded/life/204992_255858_misc.pdf
「宮城県における海岸防災林の再生に向けた取り組み」
基本的な考え方が、端的に書かれております。
この春退職された宮城県農林水産部の前次長、河野裕様が執筆したものです。
河野前次長は、 震災を挟み、海岸林の再生にご尽力され、 昨年秋には
オイスカの海岸林シンポジウム(東京)にもパネリストとして加わってくださいました。
去る3月11日には、経済同友会の皆さまを、ともにご案内させていただきました。
河野前次長は、移動のバスの中で宮城県の海岸林再生にむけた説明の冒頭で、「オイスカと名取市海岸林再生の会が育苗に取り組み、さらに育林まで共にしてくれるとの申し出に勇気づけられました。皆さんも是非オイスカと我々をご支援ください」とおっしゃってくださいました。
このレポートは、その日、ご本人から直接いただいたもので、とても感激しました。
近々、オイスカHPからもリンクを張りたいと思います。
今後ずっと、一人でも多くの方に読んでいただきたい読み物です。
担当の吉田です。 思うところがあって、林政審議会施策部会を傍聴しました。 この会議の目的は、林野庁の年次報告と言える 「森林・林業白書」の作成です。 私が傍聴したのは、その作成最終段階です。 4月末の本会議の後、上程され、閣議決定を経て公開されます。 各省庁には、審議会と検討会がありますが、どちらも長い期間行われます。 震災後、2011年5月からの林野庁「東日本大震災に係る海岸防災林の 再生に関する検討会」は私も全5回傍聴し、議論の過程を聞きました。 この手の会議は、前半は議論・検討、後半は取りまとめ。 従って最後は「言葉」の使い方もポイントの一つになってくるんですね。 ・・・ということで、今日は思っていなかった収穫がありました。 白書は国民に読んでもらうためのもの。
『木材の利用が森林の整備になる』 という表現が一般市民、消費者に正しく伝わるか?
そもそも『森林整備』という言葉も正確にご理解いただけないのでは? という委員の先生の問いかけがそれでした。 ただでさえ分かりにくい長期復興の道のり。 「海岸林再生プロジェクト」も然りです。 どうすれば、もっと分かりやすい説明となるか。 クロマツおたくを鼻にかけて、難しい話ばかりしているようでは、 まだまだ修行が足らないと、目が覚めた気がします。 専門用語ばかり使われては、聴くのもしんどいですよね。
目下、宮城県内のH24年度のクロマツ種子生産結果や、 県の計画も更新された現状に照らし合わせ、 我々もクロマツ・広葉樹ともに、改めて見直しを行っています。 県幹部の方からも、「10年では終わらない」との見通しがありました。 後日、このHPに載せたいと思っています。 広葉樹の種子確保先を名取市内に求めようとしましたが、 開発で状況が不安定なため、別な場所を視察しました。
仙台駅から車で西に30分も走ると、 素朴な里山がたくさんあります。 名取にしても仙台にしても、山林は豊富です。 採りたい種子は、ヤマザクラ、クリ。 コナラも然りですが、 我々にはいつも「ナラ枯れ」への危惧があります。 ケヤキは種苗組合から購入しようかと。 海岸林の内陸部に、これらを配置することになるでしょう。 先方の好意もありますし、視察結果としても申し分ない場所なので、 これから許可申請を行い、種子採取先を明確にしたいと思います。
海側の国交省の防潮堤工事は部分的に完成してきています。 http://www.kahoku.co.jp/news/2013/03/20130324t15009.htm (河北新報社3月24日) その内陸側の林野庁が発注した盛土工事は形になってきており、 ダンプは土曜日でもひっきりなしです。 名取では被災し倒伏したクロマツの姿は少なくなってきています。
名取市では、平成25年度予算で、海岸林内陸側の 旧ビニールハウス団地、約50haの圃場再整備が始まると聞きました。 まずは除塩でしょうか。 閖上では、除塩が沿岸部まで進んでいます。 その内側はまだ零細がれきはもちろん、 大きながれきもまだ撤去されていない場所もあり、 我々の第一育苗場はその真ん中にあります。 零細がれきは手で拾います。日当8,000円と聞きましたが、人手が不足しているようです。 除塩が終わったとしても、農業から2年も離れた人が、 もう一度戻ろうとするのか。後継者自体も少なく、複雑な気持ちになります。 災害公営住宅は、美田園の駅のあたりに、平成25年度から着工し、 閖上の大規模な建設はその翌年から。 道のりは平坦ではなく、まさに今年が正念場と聞いています。 名取市は仙台のベットタウン化の様相で人口が増えています。 美田園駅周辺も、次々と新しい建物や店舗が建っています。
名取の沿岸部は、春を感じるような木々はないものの、
内陸に行けばフキノトウが出て、梅が咲き始めました。
ここしばらく全く雨が降らず、宮城全域で山火事が頻発し、連日新聞に出ています。
3月30日には久々の雨が降りました。
そんな天気予報も睨みつつ、根切りを行った直後、やはり即、水やりです。第1育苗場は、大昔は海。山の砂が堆積して、何百年かけて砂浜が前進したところ。
100m掘っても砂地と言われています。とにかく表面は砂ですから、これから水やりは欠かせません。
昨年9月、まだマツらしい痛さのない、柔らかい葉でした。その時に最後の水やりをして、それ以降は冬越しをするために、肥料も水もやらず、上方に成長させず、固くて強い葉になるよう仕立ててきました。
育苗場には何本か井戸が掘ってあります。
最初は黄緑色の不凍液が出てきました。
久々ですから。
地元の人は、昨日まで地域の旅行でずっと一緒だった延長もあって
凄まじい冗談が飛び交います。しかし、手足だけは動いています。
これからは、毎日何かの仕事が畑で続きます。
今季の幕開けを肌で感じました。