2011年9月に知り合った種苗組合の方に指導していただき、
昨年播種した1年生クロマツ約90,000本の「根切り」を行いました。
手で切るのでなく、機械で切るのです。
根を切ってしまうの?と思いますが、まさにその通り。
「根切り」とは、直根を切ること。
地上部の成長を一端止め、細根の充実を促します。
そして、地上部が頭でっかちでなく、活着率の高い、丈夫な苗を作ります。
特注の「刃」がトラクターの後ろについており、18cmの深さでザクザクと切ってゆき、第1・2育苗場ともに、作業はわずかな時間で終わりました。
すぐに水遣りをし、こののち仮植、床替移植という手順です。
移植作業は1ヵ月以上は続くでしょう。
それが終わると育苗場は全面緑色になります。
6月14・15日の発芽視察ツアーの時には、一面のクロマツ畑を
見ていただきたい一心です。いい季節になっていると思います。
森を維持する努力 ~名勝「三保の松原」~
先日、静岡市内で活動報告会をさせていただく前に、
日本三大松原の三保の松原を視察いたしました。小学校の遠足以来でしょうか。
地方で報告するときは、地元の海岸林を発表に必ず織り交ぜるようにしています。
まず、落ち葉掻きをする4人の地元の方が目に入りました。
ボランティアとして自主的にされているとのことでしたが、
観光客の冷やかしと思われたようで、お話は聞けず。
手さばきの早いこと早いこと。
年に1回、秋に地域総出で落ち葉掻きを含む林内清掃を行うようです。

「特別名勝」「名勝」とは文化財保護法(文化庁)で規定されています。「名勝」としての景観を維持するための地元の方の努力です
まるで、海岸林の保全の見本市のようでした。
地元の老舗旅館の女将さんから、地元としての維持管理に関する
並々ならぬご苦労を聞くこともできました。
クロマツ種子も、当年・前年の夏の気候などによって、豊凶が生じます。
言われてみれば、そうかもしれないと思いますよね。
今年度、マツノザイセンチュウ抵抗性クロマツ種子は凶作でした。
2011年度は宮城県で7kg。しかし、2012年度は400g。
そこで登場するのが、昨年度以前に採れ冷蔵保存された種子。
長い冬を過ごしてきたわけです。
一説では、1年冷蔵保存すると15%発芽率が落ちると聞いたことがあります。
受け取った種は、気のせいかもしれませんが、昨年のものと比べて少し白い気がしました。
「オイスカの苗木は名取市にしか使えないのですか?」と
某市農林水産部の方から聞かれたことがあります。
林野庁からも、県からも、2011年に何度も確認されました。
造林計画への需給調整は行政や種苗組合が行い、
我々は組合の傘下で、他の組合員とともに需給全体に協力する立場です。
従って、宮城の海岸林復旧全体に使われます。
オイスカと「名取市海岸林再生の会」は、
名取市の海岸林全体に「相当」する50万本の苗木を生産するのが目標です。
「名取市以外には使わせない」という事などは考えたことはありません。
現に、先日の初の山出し800本は、先行して盛土工事が終わった宮城の別の市に植えられました。
また、宮城県でどうしても足らない場合は、林業種苗法の範囲で他県からも協力があると思います。
しかし、他県も「種で協力する」のでは育苗農家の生活が成り立ちませんので、
他県で育てた「苗」で協力するはです。
当地の気候に合うように、1年生苗で運ばれ、こちらで1年育てるのかもしれません。
ANAすか隊 事務所ボランティアに参加するの巻
はじめまして、こんにちは。
海岸林再生プロジェクトに参加させて頂いています、
ANA海岸林再生プロジェクトサポート隊(ANAすか隊)福岡支部の若林です。
過日オイスカ事務所でダイレクトメール発送のお手伝いをさせて頂きました。
たまたまお休みと日程が合ったので今回参加させて頂きました。
でも、今回参加した一番の理由は
「オイスカ本部事務所での活動だった」からです。
私個人の考えですが、何を行うにしてもまずは活動の中心に行く事を大事にしています。
そこで活動している人の想いとかを実際にお会いして聞くことは、
直接動かないと聞いて感じる事は出来ませんし、そういった事を一番大事にしています。
私自身、このANAすかの活動に参加した一番の理由も「人」でした。
プロジェクトの中心にいる人達の想いにとても動かされました。
今回オイスカの事務所での作業中、仕事の大変忙しい中、吉田さんも色々なお話をして下さいました。
これからの活動についてだったり、今現在のプロジェクトの進捗状況だったり、
そしてどんな想いで活動をしているのかだったりと大変勉強になりました。
それと同時にこのプロジェクトにはまだまだ人が必要だという事です。
たくさんの人の力、助けが必要になってくると感じました。
僕は福岡で草の根活動になりますが、協力してくれる人達を一人でも多く探していきたいと強く思いました。
最後に私達一人一人に出来る支援を一つ紹介させて頂きたいと思います。
賛同して頂ける方はぜひご協力よろしくお願い致します。
~マイルで「海岸林再生プロジェクト」支援~
ANAグループが長期支援している「海岸林再生プロジェクト」に賛同いただいた方が
マイルによる支援ができるよう、期間限定でマイルを受け付けています。
受付期間:2013年3月1日~31日
ANA SKY WEB(ANAホームページ)の「ANAマイレージクラブ」ページより、3000マイル1口として受付中。
こちらです。
ANAすか隊 福岡にて説明会を開催するの巻
こんにちは! ANAすか羽田本部の庄司でございます。 2013年1月26・27日にANAすかの羽田本部メンバーを中心に 福岡のANAグループ社員に向けて「海岸林再生プロジェクト」の説明と これまでのANAすかの活動報告を行いました。 遅くなりましたが、ご報告をしたいと思います。 計2日間開催し、各日約10名の方々に参加いただきました。 宮城出身の私からすると『東北』と『九州』同じ日本なのに、 異国の地のようなイメージを持っておりました。 震災から約2年経つ今、震災のことなんて記憶として 薄れているのではないかと勝手ながら心配をしておりました。 しかし、参加者の方の話を聞くと、 「震災当日は仙台空港近くの航空大学校(パイロット志望の学生が集まる学校)にいて被災した」 「親戚が宮城におり、震災によって亡くなってしまった」 「ボランティアに参加したいと思っていたが何が出来るのかわからず、今回の説明会に参加した」 などなど。 こんな遠い地でも宮城に深く関わっている人に出会えるなんて・・・と感無量。今回の説明会は羽田からのANAすか本部メンバー 4人が福岡に入り、2班に別れ2人ずつがリーダーとなって 進行をする「グループ形式」で行いました。 今までの説明会の講座形式だと質問がしにくいという 反省を踏まえてのことです。 少人数で疑問に思ったことをその場で質問し、 回答するといったクループ形式で説明会に望んだ結果、 一人一人の意見をしっかり聴くことができ、 多くの方がプロジェクトに興味を持ってくれました。 冒頭の私の心配とは裏腹に福岡のANAグループの皆さんはとても心が温かい人ばかりで、 福岡の仲間たちはなんて心がこんなにもあったかいのだろうと心がジーンとなりました。 福岡在住でも宮城にゆかりのある人。 協力したいと申し出てくれる人。 沢山の出会いに恵まれた日でした。 また必ず福岡に足を運びたいと思います。
次の報告をお楽しみに~♪
現場滞在中に、宮城県の求人倍率は全国一の1.26で、
担い手不足との報道がありました。
名取市海岸林再生の会の事務パート募集に関して、
ハローワークの方が名取事務所にお見えになり、その打ち合わせを聞きました。
東京では事務パートは時給1,000円でもなかなか集まらないと知っていますが、
名取事務所ではそんなに出せません。
週4日、年11ヵ月(業務が 薄い1月を除く)の通年で800円程度で
人を集めるのはなかなか難しいかもしれません。
「名取市海岸林再生の会」による日々の人員確保、給料の支払い、会計管理、種苗組合や
本部との連絡調整などのデスクワーク、施設管理、圃場の観察、散水・消毒管理。
それに訪問者にプロジェクトを説明してもらうことも多いでしょう。
ブログも書いていただくだろうし。
それにしても、ハローワークの方は親切とは聞いていましたが、噂以上でした。
パンフレットや資料を持ち帰り、「どうしたらいい方を見つけることができるか」を
一緒に考えようという発想でした。
「夢のある、壮大な復興業務」などのキーワードを考えてくれたようです。
名取事務所統括の佐々木さんは、この事務パート募集を、
殊の外、真剣に考え、適任者を妥協せず探す覚悟。
バリバリ勤めたことのある、子育てを一段落した40歳前後の女性がメインターゲットです。
今、ほぼ毎日フルで来ていただいている、奥さんを津波で亡くし、
仮設に住むMさんには主に圃場方面をお願いし、3人態勢をよい形で築きたいです。
佐々木さんからは、「事務所も狭くなるので、2階建てにしようかな」などというつぶやきも聞こえてきます。
先日の出張で、4人もの大事な方から、こそっと異動のご挨拶をいただきました。
このプロジェクトの推進にあたり、本当に力を貸してくださった方々です。
こればかりは仕方ないですね・・・しかし痛手です。
ですが、皆さん今後のために周到に整えて下さっているのがよくわかるのです。
ですからなおさら、何とも言えない気持ちになります。
我々にも異動はありますが、少人数の所帯で、クロスセクターのコーディネートの
重責を担うこともあり、行政などに比べると多少安定している気がします。
これまで2年、数々の分岐点に立った時、「こっちだよー」と導いてくれた多くの方と、
しばしのお別れをしました。ですが、さようならという感覚はありません。
またお会いできる気がしますから。
そういう再会は実際にあるもので、強く思うと実現するものだと思っています。
ANAマイルでの支援受付中!
今年も全日空さんが、期間限定でマイルによる支援を受け付けてくださっています。
3000マイルから。今月31日までの受け付けです。
ぜひ皆さんのANAマイル、ご寄附、よろしくお願いします。
お申し込みはこちらから
3月8日、県林業技術総合センターより種苗組合を通じて
マツノザイセンチュウ抵抗性クロマツの種子が
昨年同様500g(25,000本分)払い下げられました。
その種子は今、オイスカと名取市海岸林再生の会の事務所の冷蔵庫で保存しています。気温が高いと発芽してしまいますから、種子にとって、「冬」の環境を作って維持・保管しているという事です。
今週末には普通マツ1,000g(5万本分)も払い下げられます。
林業種苗法により、針葉樹の種子に関しては「県→種苗組合→育苗農家」というシステムが定められています。
山出し(苗の出荷/植栽場所への運搬)の時には、種子をいつ、どこから入手したのかという証明書が必要になります。
宮城では「クロマツは3月の彼岸頃から4月10日ぐらいまでに播く」と、震災の年に教わりました。
2012年3月30日に初の播種を行い、「20日で発芽する」と聞いていたものの、
29日もかかりました。寒さで地温が上がらなかったからです。
「芽が出なかったら、佐々木、清藤、吉田 は市中引き回しの上、獄門、打ち首」の覚悟?でいたものの、
4月26日の晴れの育苗場お披露目式は、未だ極寒。
一本も芽が出ていなくて、申し訳なかったのですが、2日後の28日に無事発芽。
そののち6月には発芽率95%と、県の生育調査で確認されました。
今年は、昨年を参考に、しっかり地温が上がる4月中旬に播こうと考えています。
これから現場は忙しさのピークを迎えます。
第一育苗場の隣地に、7畝(約700m²)だけですが拡張させてもらえることになり、
名取を管区としている宮城中央森林組合に工事をお願いしました。
14日、朝から1日かけて10tダンプが30台(6m3×30台)、山砂を運んできました。
ダンプが入れないため、一日だけ防風ネットを取り外し、畑を重機で転圧してダンプの道を作りました。
蔵王山側のネットを外したので、翌朝驚きました。
一晩でこの砂です。
やはり荒野になった土地では飛砂がすごい。
工事が終わったら取り除いて、 窒息しないようにしますのでご安心を。
今の育苗場は、震災後に地主さんが50cm山砂を盛って、自宅菜園をやろうとした土地をお借りしています。地盤沈下していますから、水もたまりやすく、がれきも混入しています。盛土は不可欠です。
今年は、ここで、コナラ、ヤマザクラ、クリ、ケヤキを若干育て始めます。2年後の生産目標として2,500本程の育苗となる予定です。