【観察日記】2回目の種まき
海岸林担当の鈴木です。
この猛暑はいつまで続くのでしょう・・・秋の涼しい風が待ち遠しいです。
このところクロマツ観察日記をサボっていたので、いくつかまとめて連載しようと思います。
そもそも、今年も種まきをしたのですが、まいたことすらブログで報告していませんでした(^^;)
さかのぼること3ヶ月、5月8日に種をまきました。
再生の会が種まきをした4月26日に、本部でまく分を少しよけておく予定が、気持ちよく全部まいてしまったとのこと。
浅野が種を取り置くことを忘れたことに、まき終わってから気づき、慌ててゴミ箱から拾ってくれました。
拾ったのは浮き種
種まきをする前に1日ほど水につけ、種が成熟していないため水に浮いているものは取り除きます。
この取り除いたものを本部に持ち帰ってきました。
そういえば、去年の種を冷蔵庫で保管していたのだった!
今年の種は「浮き種」と「去年の種」
それでも1ポットあたり3粒くらいまけばきっと大丈夫なはず!
と何の根拠もない自信(^^;)
だいたい10日ほどで芽が出るだろうなと思い、8日目くらいから寒冷紗をめくりチラチラと見ていました。
あれっ!
これ芽!!
鹿沼土にまぎれてよーーーく見ないとわからないのですが、
真ん中あたりの、重そうな頭をようやく持ち上げているのです。
緑が濃くて力強そうなもの、黄色く細くてか弱そうなもの、芽を出す時点で違うのですね。
14日もするとこんなに大きくなります。種殻の帽子がとれて葉を広げました。
葉っぱをよーく見てみてください。
根元と先の方から2本、3本に裂けて(?)割れて(?)います。
芽が出た時は6本ほどの葉なのですが、葉が広がると本数が増えるのは、分裂(?)するのですね
ここまで大きく成長したので、寒冷紗を取ることにしました。
ついでにまわりに生えていた雑草もきれいにしました。
2人目の子どもはどうしても写真の数が減りますよね
クロマツも同じでした。
見守りはしますが、写真におさめることまではせず・・・随分と写真の数が減ってます(^-^;
清藤先生が、今年の少雨とクロマツの関係をブログにしてくださいました。
私は少雨が広葉樹に与えた影響を。
クロマツ約35万本に対して約600本だけ植えた広葉樹10種の今を、継続レポートしています。
波打ち際から400m以上離れた最も内陸側、国有林に10種約300本、市有林に6種300本。
「週末、広葉樹見てきます」
「広葉樹、大きくなったのが何本か枯れてたな。厳しいよな」と佐々木統括。
今春の「開葉確認」では、ほぼ全数冬を越え、嬉しく思っていました。
ですが、毎年多くが枯れるのは初夏。新緑で一時は元気に見えた葉の縁がみるみる茶色に。
見慣れた光景ですが、今年はとくに厳しい。毎夏見る毛虫は一度も見なかった。
落葉してしまって、食べる葉すらなくなったか。
今年は塩害のみならず、極端な乾燥の影響を受け、葉の変色や、幹の先端枯れが目立ちます。
ただし、完全枯損になっているものは少ないと見えました。
生長不良の小さな苗木でも、悪くとも、根元部分だけは生きているようだ。
萌芽の萌芽の萌芽。萌芽更新の繰り返し・・・
また今年もか。つまり、太く大きく育たない。
同じように海に近い他の場所での広葉樹も観察していますが同様。
8月5日から、久々いい雨が降りました。
今月末か来月初旬に、正式に毎木調査します。
内陸防風林 つぼ刈り
こんにちは、浅野です。
8月4日の午前中、ベテランボランティアさん12名と内陸防風林のつぼ刈りを行いました。
今回のつぼ刈りの対象は内陸防風林のマツ全部ではなく、
ネズミの食害などで枯れてしまったマツが多かったために補植したマツのみ。
現場はこんな感じ。
補植したマツどころか大きくなっているはずのマツも見えませんね。
ここから補植したマツを見つけ出しつぼ刈り、大きいマツに絡まっているツルたちを
取り除くことが今回の作業です。
さすがはベテラン勢でした。
松島森林総合の佐々木さんから説明を受け、怯む様子もなくどんどん入っていく皆さん。
ツルの取り方も手馴れてる。つぼ刈りだってお手の物。
しかし、この繁茂した雑草たち。
補植したマツをしっかり覆い隠していたため、スルーをされていたマツも。
後ろの方から「あ~!あった!!」という叫び声。
そんなマツたちを最後尾を進んでいた3名が見つけてくれました!
分かりますか??
ちょこっと寄ってみると…
皆さん、本当にありがとうございました!!
2018年第1次ツルマメ攻略戦は無事完了
総点検をしました。プロの仕事もしっかり把握しておかねばならないのです。
素人の仕事が早く、森林組合は遅れを取り戻そうと、必死で後を追ってきます。
プロはお盆まで、あとひと踏ん張り。
彼等の仕事の後は、美しさを目指さなくても、芸術的なほど壮観に見えます。
1mにもなるセイタカアワダチソウや月見草などは、やっぱり目障りだったのが、
プロの刈払機で一掃されます。今年はあまりの酷暑。苦労しただろうに。
4月以降、植樹祭の530人を除き、956人のボランティアの助力を得ました。
おかげさまで、今期ツルマメ多発地帯20haの、第一次攻略は無事完了しました。
加えて、内陸防風林下刈にプロが入る前に補助することもできたし、
2016年植栽地の溝切り最優先個所2haも、6月上旬には完了出来ました。
植樹祭で市民が植えた約2haも、ほぼ100%根付いています。
欲を言えば、ツルマメが点々と発生する箇所も済ませたかったし、
溝切りしたい場所は際限なくあるし、森林組合の補助も、もっとボランティアで
やりたかったけど、まあこのぐらいが限界でしょう。
プロにもボランティアにも、けが人、病人もなく無事に進んでいることに、毎回ホッとしています。
あらためて、すべての皆様に心から御礼申し上げます。
今月末のボランティアの日は空席多数。
8月はどうしても人が少なくなる・・・(笑)
多発中の多発箇所、特に2017年植樹祭の場所では、ツルマメはまた発生。
あれほどの繁茂では、どうしても抜き漏らしが出てしまう。
10月上旬までの第二次ツルマメ攻略戦は、対象が40ha、斑状に拡大します。
一昨年、昨年の成果と、第1次の頑張りがあるので、
必ずやり遂げることができると考えています。
8月4日 ボランティアの日報告
8月4日のボランティアの日には
前日から参加の東京海上の皆さんを含む約70名の参加がありました!!
この日の午前中はベテランリピーター12名は内陸防風林のつぼ刈り、
その他の方は2014年度植栽地の散策とツルマメの抜き取りでした。
午後は全員でツルマメの抜き取り。
今回の作業現場はツルマメ繁茂地帯。
ツルマメを探す必要はなかったのですが、ここ最近の日照りで土が固く根っこまで抜けず…。
全員に鎌を持ってもらい、根っこから切ってもらいました。
最後の集合写真は珍しい角度から。
たまには全員写ったゼンセンの写真があってもいいよーということで、
みんなで入らせてもらいました。
暑い中皆さんに頑張ってもらったおかげで1回目の抜き取りは終了しました!
2回目はお盆明け、8月25日・26日からスタートです。
東京海上 9名のボランティア
8月3日―4日の1泊2日、
東京海上日動火災保険株式会社の方々9名がボランティアに来てくれました。
毎年、この時期に来てモニタリングをしてくださいます。
→ http://www.oisca.org/kaiganrin/blog/?p=18341
もちろん今年もモニタリング!…ではなく、今年からモニタリングは秋に1回だけ
ということになったので、今年の作業は内陸防風林の補植苗のつぼ刈りと2017年度植栽地のツルマメ抜き取りでした!
モニタリングをすると思っていた皆さんは…
「え!ここ!?」
「初めて来たー」
「初日はモニタリングだと思ってたのにー」
と驚きの声を上げていました。
ですが、そこは慣れたもの。「よし、やるかー」と素早い切り替え。
松島森林総合の佐々木さんの説明をよく聞き、しっかりと補植苗を見つけてつぼ刈りを…。予定よりも早く済んだので、予定よりも多くつぼ刈りをしてもらいました。
つぼ刈りが終わってからは植栽地に移動してツルマメの抜き取り。
とはいえ、この日も30℃を越す暑さ…作業だけでなく楽しみも必要かなーと
キツネの巣穴を見に行きました。人数が少ないからこそできるお散歩。
こんなところにいるんだぁ…と皆さんちょっと興奮気味。
出てくるかな?とみんなで少し待ってみましたが、やっぱり出てきませんでした。
お散歩の後はしっかりとツルマメの抜き取り。
皆さん、お疲れさまでした!!

ゴミは持ち帰りましょう
こんにちは、浅野です。
植栽地に来たことがある方ならご存じだとは思いますが、
私たちの現場にはゲートが2つあります。
1つはダンプやバスも通れる南側の大きいゲート。
もう1つはちょうど植栽地全長5㎞の真ん中あたりに位置する乗用車サイズの小さいゲート。
どちらにも釣りをする方がたくさん来ます。
もちろんゲートは施錠されているので、車では入れません。
釣りの方や海で遊びに来た方は車を降りて海岸まで歩いていきます。
(※離岸流があるので、津波の前から遊泳禁止です)
小さいゲートの方には工事関係者の仮設事務所があるので見たことないですが、
大きいゲートの方には…
この日は袋いっぱいの空き缶やBBQ用の網、お肉のトレーなど。
たくさん捨てられていました。
ここだけでなく、植栽地の中にも捨てられていたことがあります。
植栽地で拾われたゴミは砂がたくさん混じっているので、普通には捨てられず
お金を払って回収してもらわなければなりません。
ここに来る方全員がそうだというわけではないのですが…
むしろたまーに来る方なのだと思いますが…
マナーはちゃんと守ってほしいですね。
緑化技術参事の清藤です。
7月27日に久しぶりに植栽現場に行きました。今回は名取海岸林再生の会の総会に出席し
翌日レンタカーを借りて一日好きなように見させてもらいました。
今年の植樹祭5月20日に参加できなかったこともあり、気になっておりました。今年度は16.32ha植栽、
合計66.6ha・約35万本の苗が植えられたことになります。この植栽地で興味をそそられることがいくつもあります。
たとえば、精英樹と抵抗性苗の生長の違い、コンテナと裸苗比較、県外産クロマツ苗の行方、挿し木育苗苗の動向、秋植えの行方、植栽地の立地、生長に伴う密度調整は?松くい虫は大丈夫なのか?内陸面に植えた広葉樹は?等々。
さて今回特に気になっていたことは、雨と生育、特に被害との関係です。
今年は雨が少ないです。名取の4月~7月の積算降水量のデータを図で示しました。
2016年の植栽地では雨が多かったため、土壌が過湿状態となり、根から酸欠、養分吸収不足を招いて
葉の黄変症状が現れ、それが2017年も引きずって枯損に至る個体が増えると懸念しておりました。
2018年の降水量は2016年に比べたら半分近い状況、それが救いになるのだろうか、いや逆に今年の出荷・
植栽苗82,000本は乾燥害で枯損に至らないだろうか等あらぬ消極的仮説をたてて現場を見て回りました。
そのことに絞って書きます。
こんな高温乾燥続きなのに、2014年以来の全植栽木は元気が良い!これが第一印象です。
今年の植栽苗はというと、ほぼ全域を見て回りましたが、枯損木はたったの7本でした。ですから99.999%の
活着率なのです。佐々木統括の報告では99.3%ということでしたので、全体で600本枯れているということに
なるのですが、おそらく統括の調査時点で出荷苗は、寒害を受けた苗もあり、それらの今年の頂芽の開きが
遅かったことからの枯損の判断だったと思います。
私の見落としがあったとしても50本も枯れてないでしょう。そのくらい活着の成績が良いのです。
たとえ寒害で針葉が痛めつけられ赤黄となっていても肝心な今年伸びる頂芽と根がしっかり生きていれば
生きるのです。根から水分を押し上げ酸素を芽に押し上げるのですが、マツの針葉は実にコンパクトに
厳しい乾燥条件でも耐えるようになっています。もう少し詳しく説明する為クロマツの針葉の横断面を示します。
外側を厚い表層、次いで蝋引きのクチクラ層が包んでいます。かつ水の損失を減らすべく気孔をワックスで覆っているのです。このため水不足でも水を失なわない構造なのです。
枯損していた苗を見てみると、頂芽が2-3㎝と短いもの、また苗の深植えと思われるものでした。
頂芽の短いものは、植栽前から恐らく芽が寒害を受け細胞組織は破壊されていたものと思われます。
また深植えについては以前にも言いましたが、深植えは土壌の酸素不足を招き、根が伸びず
植栽時のまま枯れていくのです。
一方気になる場所2016年度植栽地
名取第1~6、9・11工区で過湿地帯、植栽初年度より葉が黄変し、下枝が落葉をする箇所です。
今回見て回ったところ、針葉は、写真で示したように見事に黄色から緑変していました。今年の乾燥が
過湿障害から解放した結果です。植物は、葉っぱで二酸化炭素を吸って酸素と水を作り出し、根で酸素と水を
吸い上げます。根腐れを起こすと酸素が吸えなくなり、窒息状態になるので葉は黄色、茶色に変化して落ち、
根は黒色に変化して根腐れとなります。
クロマツはじめ本来植物は、土と土の隙間や土の粒の中にたまった水を吸い上げ、水がはけた後に
できる隙間から、酸素を吸収します。水はけの悪い保水性の高い粘土質等の土ですと酸素量の減った
古い水がいつまでも残り、水はけが悪いため空気の隙間ができません。その結果、酸素不足になるのです。
また、土が乾燥するほど空気量が増えますから、今年の雨不足が逆に功を奏して植栽木に酸素を送り、
元気な植栽木になったと考えることができます。
こんにちは、国際協力ボランティアの倉本です。
今月20~21日、25~27日の日程で再び(三度?)海岸林の現場に同行させていただきました。
約一カ月ぶりの名取。20日午後に現場に到着して初めに感じたことは涼しい!!ということでした。この頃東京も私の故郷も、外に出るのに勇気がいるほどの暑さが続いていたので、覚悟しつつの現場入りでしたが、あまりの過ごしやすさに少し感動しました。そして、この様子なら明日(21日)のボランティアの日も全力で作業できるぞ!と思っていたのですが…
翌21日は、予想に反し日差しが強くとっても暑かったです…。それでも恒例のツルマメ草の抜き取り作業では、密集したツルマメ地帯から、その他雑草に紛れた小さなツルマメまで、皆さんひたすら目と手を総動員して取り組まれており、私が主に作業していた場所だけでもかなりの範囲のツルマメが掃討されました。
そしてこの日、私は初めてツルマメ班の班長をさせていただいたのですが、リピーターの方を中心に「この辺はあまりありませんね」「ここはよく見たら意外とありますね」など情報交換や助言を頂きつつ作業を進めることができ、皆さんのやる気に助けていただきながらの班長デビューとなりました。一緒に作業をしてくださった皆様、本当にありがとうございました。
そして、先日26日午後~27日午前には、サミットレイバーユニオンの方々、27日午後からはANAグループ労働組合連合会の方々と引き続きツルマメ草の抜き取り作業を行いました。
この二日間は、特にとっても丁寧に細やかな作業をされている方々が多い印象で、また、僅か開始十数分で多くの雑草の中からすぐにツルマメを見つけ出すことのできる能力を身につけている方もいらっしゃいました。暑い中、これだけ集中して取り組まれる方々がたくさんいらっしゃるのだから、私も頑張ろうと思う一方、最終日の27日は、実は違うことが気になって少しだけそわそわしていました。
それ(そわそわの原因)がこれです↓
スズメバチの誘引液に引っかかって、クワガタが4匹捕まっていました。大きさは、一番大きいものでも5センチ無いくらいでしたが、まさかこのタイミングで見られると思っていなかったので驚きました。生きていたらもっと良かったけどなあ…と思いつつ、この現場にクワガタがたくさんいるかもしれないと考えると、つい何となく周りを探してしまいます。20日には、以前にもブログで取り上げられたキツネの巣穴も発見し、色々な生き物のくらしを目の当たりにできて、今後さらにどうなっていくのか、マツの成長とともにますます気になってきました。
マツの植樹、ツルマメの抜き取り、溝切等々の作業をすることだけでなく、この取り組みがどのような恩恵や影響をもたらすのか。楽しみながら実感できるということも、繰り返しボランティアに来たくなるポイントだったりするのかな、と思う7月最後の現場での作業でした。
ちなみに、誘引液には全体で2匹ハチが捕れていました。暑い中でもハチは元気に活動中のようです。