5月17日、とうとう「本数調整伐」試験地の伐採を迎えて
吉田です。
そもそも海岸林は、山のスギ・ヒノキのような経済林ではなく、海岸の砂や風を止めるための防災林。伐採の必要はないと考えられたと思います。江戸時代に殿様が植え始めた歴史もあり、民の林はほぼなく、当然「禁伐」。近代に至っても、所有・施業方針はかつての流れを汲んできました。
伐るにしても、研究をするにしても、同じお金を使うなら経済林が優先。防災林ですから、伐らないほうがいいのでは?と手を付けにくい。昭和も後期に入って、積極的に伐って強靭化を目指すべきとの優れた研究する人が表れ始めたものの、本数調整伐の方向性には転換されませんでした。ちなみに経済林ではないので、専門家は本数調整伐と呼び、間伐とは言われません。
しかし、東北の震災で海岸林がなぎ倒されたことにより、逆に強靭化を目指すべきとの方向性が定まりました。かねてより研究を重ねてこられた森林総研の方たちなどの成果物が活きたのだと思います。行政当局や研究者の方たちにも本数調整伐に対する賛成意見をお伝えし、議論し、われわれ民間の意見も非常によく聞いてくださりました。しかし、現実に実行する立場としても「未知」の世界です。手探りな点が多いです。佐々木統括がそう言うぐらいです。
2020年度 生長モニタリング調査、CO2固定量調査、本数調整伐試験
*本数調整伐調査概要は、報告書の最後の項目にあります。
ところで、自分たちで種から育てたクロマツを伐採すると、皆さんはどんな気持ちになるか・・・
「忍びない」「もったいない」それが普通の意見です。
でもやっぱり、私はその場に立っても何の躊躇もありませんでした。
皆さんが感じるだろう気持ちをしっかり胸で受け止めて、別のことに力を向け続けたいと思います。