「名取周辺はECO-DRR研修の最適地」とは言いすぎですが、私にはそのぐらいに思えます。
海岸林だけではありません。内陸部には内陸防風林、居久根(屋敷林のことを東北太平洋側では「いぐね」と言います)、名取駅西方向の山麓には干害防備保安林もあります。また、仙台の定禅寺通りなどの街路樹は、大空襲で焼け野原になったあと、冬の突風で「仙台沙漠」と言われるようになり、計算されて植えられたものでもあります。今は12月のイルミネーションで経済効果もあるようです。3.11の時、仙台港近くの火力発電所やその周辺の緑地帯は、津波減勢や、港湾などの資材などを止め、家事の延焼も防いだとも言われています。
そういった一つ一つが、先を考えて植えた人がいるというところに感心します。ECO-DRR研修ではその技術理論についても、すこし話をすることができましたし、間違いだらけ、スペルミスだらけの英語かもしれませんが、資料を自力で作り、みなにデータを共有しました。
内陸防風林であれば、まず存在理由、なぜ農家が木を植えたのか。農業従事者が畑の土というものをいかに大事に考えているか。そのうえで、防風効果の根拠、林帯幅の意味、列間距離の意味などを。
居久根については、名取事務所から車で10分程度のところに、国重要文化財の「洞口家住宅」があり、立派な居久根が残っています。これについても多機能で、旬の食べ物の宝庫です。ちょうど、海岸林寄附者でもある奥様がいらっしゃり、即席で説明してくださりました。なんとなく植えてあるのではなく、しっかり計算して植えています。設計が重要です。当然、落葉は堆肥にも使われています。
海岸林はまさに技術の宝庫。理論が分かると全体デザイン、ゾーンニング、盛土、作業道、排水溝、防風垣、静砂垣、樹種、樹間・・・すごくわかってくれたと思います。彼らはプロですから。