植栽木の枯損の原因

2014年11月7日( カテゴリー: 清藤先生の視点, 現場レポート )

緑化技術参事の清藤です。
春に植えた75,000本のクロマツのうち、枯損はわずか0.5%でした(7月時点モニタリング調査)。

裸苗

裸苗


今回10月23日に枯損木を抜き取り1,500本の捕植(コンテナ苗による再植)を行いました。その際、枯損した原因を明らかにすべく、抜き取った枯損木の根の状態から枯損原因を調べました。
まず、その前に地下部で樹木の根がどのようになっているのか、少し解説します。今回の植栽された苗木は、実生苗とコンテナ苗でした。コンテナとは何か、ブログで何度も説明しています。実生苗では支える直根、支持根が張った苗、根元近くより支える太い根の先端部分に細根が発達します。今回は畑で断根し18cmの根としました。断根しますと新しく細根が多く発生するのです。コンテナ苗ではコンテナの形状に沿ってすべての苗は下へ向かって成長し、空中断根していきます。
植栽した場合、根がどこで発達するかというと、植栽した表層の部分です。空気のある柔らかい層で生活しようとするのです。特にマツは深植えを嫌う樹種です。肥料もですから深く掘って入れるより表層に施肥すればよいことになります。苗木を引き抜いた時、根元の表層部に新しい根が伸びているかで健全性がわかります。根は絶えず水に溶けた空気を水と一緒に吸収して酸素を取り込んで呼吸しています。水はけが悪いと滞水して酸素不足になりますし、土が乾きすぎても酸素をとりこむことはできません。太い根の皮が赤褐色なら空気が十分で健全に生長している根ということになります。水はけの悪いところでは根は暗褐色から灰黒色をしております。
コンテナ苗

コンテナ苗


では植栽木の枯れた原因はなんでしょうか? 3枚の写真に共通していることは根元の浅い位置に根が発達した形跡はありません。しかも育苗時の根元より5~10cmも深植え状態にあることがわかりました。一番下の写真では植え穴の真ん中に植えたというのではなく鍬でほったその端に寄せたまま土をかけことにより根が一方に集まって鳥の足のようになっていました。生長してその後に枯れたということでなく深植え、土壌の酸素不足により、根が伸びず植栽時のまま枯れていったと思います。
以上のことから植栽時には余裕をもった十分な大きさに穴を掘って、きつく踏み固め過ぎないこと、深植えしないことが活着・生長につながることがわかりました。
 
裸苗(鳥足)

裸苗(鳥足)

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