緑化技術参事の清藤です。
今年から抵抗性クロマツのコンテナ苗の栽培がはじまりました。
「コンテナ苗って結局ポット苗のこと?」、
「ポット苗は根が丸まると聞いているけど大丈夫?」
「普通の苗と比べて成長はどうなのですか?」などよく聞かれます。
少し詳しくコンテナ苗木栽培のことをお話しましょう。
ポット苗木は、1960年代に省力林業の騎手として台頭しましたが、「活着が良くない、成長が遅い、風に弱い」など欠点も明らかになり、結局下火に終わりました。そして1980年代にはカナダ・アメリカでコンテナ苗栽培が盛んになり、北欧でも1990年代から盛んに用いられるようになり、現在コンテナ苗が主流となっています。日本では、森林総合研究所がタイで開発利用し、2000年年後半から林業用苗木生産にも用いられるようになりました。
(図1)
それを現在では「コンテナ」と呼んでおり、24孔の容器が現在の苗木作りの主流となっております。
クロマツでは1孔が300ccのものを使っています。ポリポット、いわゆるポット苗栽培では、通常用3~4号で、径が90 ~120㎜を用い、一番の欠点は、ポット底面において著しく根が丸まる「根巻き」現象が起き、それが苗の育成、植栽後の生育にも支障を及ぼす恐れがあることで下火となりました。
コンテナは、それぞれのセル(孔)の内面にリブ(図4)が作られております。通常、側方に伸びていく根も、そのリブにそって下方に誘導されるので根が回転することなく巻きの発生が抑制されるのです。また、セルの底面は大きく開いているため、底面に達した根は空気に触れ、「空中根切」(air-purning:根が十分な通気性と体積を持つ空気層に到達した場合、根端を機械的に剪定されたのと同様に、伸長を停止する現象)され、著しく延びる細根・白根はそれ以上伸びません。
ですから根切りは必要なく、切断時のダメージは軽減されます。そして空中切断された分、根元で新たな分根が発達します。このことにより主根は真っ直ぐに、健全に発達し、根が過度に伸長せず、必要な分根・白根も確保されます(図5)。
以上のことから、特徴(長所)としては:
根鉢がついているので
1.植栽時期は土壌凍結期間を除けばいつでも植えることが可能
植栽の大きな穴を掘る必要がないので
2.植え付けが楽
自然空中根切りより根の成長点が維持されているため
3.根の発達もよく、結局育ちも良くなる
ことが考えられます。
今後、抵抗性クロマツコンテナ苗も、来年の植裁に用いられる厳しい環境に適応する苗として、順調に育つことを願っております