こんにちは! 啓発普及部インターンの寺田です。 少し前のことになりますが……7月5日、何の日かわかりますか? そう、「『富士山の森づくり』推進協議会合同ボランティア活動の日」でした。全国にあるオイスカの各支部の会員様、また「富士山の森づくり」推進協議会の参画企業よりKDDI株式会社、ロクシタンジャポン株式会社、住友重機械工業株式会社、セコム株式会社の方々に、駐日大使館、関係者併せて約200人が富士山の森づくりの活動に参加していただきました。
集合写真。本当にたくさんの方々に来ていただきました!
富士山の森づくりがスタートしてから、今年で19年が経ちます。「100年の森づくり」を目標に掲げるプロジェクトとしては、まだまだ先は長いですが、私の人生と同じくらいの年月が流れていると思うと、それだけ継続できていることのすばらしさを実感します。
今回、私は首都圏支部のみなさまと一緒に、新宿からバスに乗って現場へ向かいました。バスの中では、首都圏支部事務局長の藤田さんがこの富士山の森づくりの説明をしてくださりました。乗客の中には、もともとオイスカの職員だった方や、長年このプロジェクトに携わっていただいている方もいらっしゃいましたが、一方ではじめて参加していただく方も。みんなでプロジェクト説明の映像を見て、この日行う活動である「シカの食害防止」の重要性を学びました。
豊かな自然を守る。そのような目標があるとき、私はどうしても「必要以上に伐採しない」とか、「ゴミを捨てない」とか、「大気汚染をしない」とか、そういった「ない」ばかりに注目してしまっていました。ですが、豊かな自然を構成する強い森をつくるために必要なのは、そういった「ない」ばかりではないことに気が付きました。人の手を加えて、すくすくと木が育つことのできる環境を整えていくことも、非常に重要な行動なのです。あらためて、「人」と「自然」の共生の大切さを認識しました。
私たちのバスは最後の方に到着したため、集合場所に降り立つと、集まる人の多さにびっくりしました。老若男女さまざまな方が集まってくださっていて、あたたかい気持ちになりました。
開会式では山梨県の関係者の方々のお話を聞いて、このプロジェクトで植えた5種類の木について知りました。みなさんは何か知っていますか? ブナ、ミズナラ、ヤマザクラ、ヤマハンノキ、イロハモミジです。 プロジェクトはこの5種類の苗木を植えるところから始まり、植えられた後の保育活動が、今の活動の中心となっています。活動の初期から参加していただいている方は、「木が育っていく過程が見られてうれしい」と仰っていました。
活動をする時間自体は、そこまで長いものではありません。ですが真夏ということもあり、活動中は皆さん良い汗を流されていました。シカが植栽木をたべてしまうことを防ぐために、植栽木に設置した獣害対策ネット(植えた木をシカの食害から守るネット)作業がメイン。2~3人一組になってネットを一本一本交換していきます。
私は取材・撮影班だったので、残念ながら作業をすることはかないませんでしたが、その分、多くの参加者にお話しを聞くことができました。
2回目以降の参加の方々は、「難しくないよ!」 と言ってくださる方が多かったです。はじめての方と、役割分担しながら仲良く作業していたチームからは、「こうして経験が異なる人たちが一緒に協力して作業できるのが楽しい」、という声も聞こえました。
また、シカの食害を防止するための方法を「どうやって思いついたんだろう、と不思議に思います」と仰っていた方も。開会式の時も、オイスカ、山梨県の方などいろいろな背景をもつ方が挨拶してくださりましたが、まさに多種多様な側面からこの森づくりを支えてくださる方の存在を実感しました。
また、スリランカの大使はこの活動を “Social Capital” だと表現してくれました。これは日本語でいうと「社会関係資本」という概念です。簡単にいうと、“人と人との信頼関係にもとづく結びつきやネットワーク”のことを指します。つまり大使は、この森づくりの活動を、単に森林再生・保全だけではなく、ボランティア参加者同士のかかわりや、地域の行政・住民とのつながりも生み出すものだ、と評価してくれたのです。前回「海岸林再生プロジェクト」の現場に訪れたときにも感じましたが、「ボランティアをする」ということは、それによって何かができるという価値に加えて、社会関係資本のような人のつながりを生み出すという点でも大きな価値のあることなのでしょう。これからも、たくさんの人に富士山の森づくりを通して、同じようにボランティアの良さを感じてもらいたいなと思います。
東京からは、私含めインターンが3人参加していました。一人はシカを見れたようで、素敵な写真を撮ってくれていました。今回の作業はシカが植えた苗木(植栽木)を食べてしまうのを防ぐための作業でしたが、それだけ多様な生物が森にいるということは、ある意味で良いことなのではないかと思います。とても貴重で楽しい体験をさせていただけて、インターンを始めて良かったと思うばかりです。
来年はプロジェクト開始から20年の節目です。みなさんもぜひ富士山の「100年の森づくり」に思いを馳せてみてください。