バングラデシュの活動のサポートをしている小杉辰雄です。
1ヵ月ほどバングラデシュに滞在し、関係機関との調整や業務調整をし、12月1日に帰国しました。
バングラ人にとっては、11月の1ヵ月は、サイクロンにいつ襲われるかもわからない雨季がようやく終わり、寒くなる前の何となくウキウキする楽しい季節です。いろいろな団体や会社がバスを貸し切って郊外にピクニックに行くのを楽しみにするのがこの時期でもあります。
バングラデシュというと「蒸し暑い国」というイメージだと思いますが、乾期の今は、最低気温がひと桁になる日もあります。日本人にとっては、寒くなる前に秋の行楽を楽しむといったところでしょうか。
バングラデシュは国土のほとんどが熱帯モンスーン気候に属し、一般的には暑期(4月~5月)、雨期(6月~10月)、乾期(11月~3月)に分けられます。 ほぼ毎年のように洪水やサイクロン、竜巻などによる被害が発生しています。今年は、世界的なニュースになるほどの被害はなかったように思いますが、それでも、洪水やサイクロン、竜巻の被害は当たり前のように今年もありました。
さて、今回はオイスカの研修センター敷地内にある女性研修センターの話題です。
女性研修センターでも、11月には毎年のように郊外にピクニックに出かけていましたが、今年は、来年1月7日に実施する総選挙(議会一院制、定数350)をにらんでの与野党の対立が激化し、野党支持者と警官隊との衝突で死者も出る社会情勢に加え、デング熱などの感染症の流行のため、郊外へのピクニックを中止し、代わりに研修センターの中庭でゲームや踊りのコンテストをして楽しみました。
デング熱は、通常は5月から9月ごろの雨季と気温の上昇に伴って発症数が増えますが、今年は、過度の降雨や湛水、洪水、気温の上昇がマラリアを含む蚊が媒介する疾患の感染に好都合な環境になってきているため、バングラデシュでは2023年1月から10月1日までに計20万6288人がデング熱に感染し、前年に比べて約4倍の1006人がデング熱が原因で亡くなっています。
私も女性研修センターから招待を受け、午後の踊りのコンテストを見学してきました。
審査は所長はじめスタッフで行い、私からは数十人分の賞品として実用的なお皿を提供しました。どのような基準で審査をしたのかはわかりませんでしたが、普段は飾り気のない研修生たちが、着飾っていてとても華やかでした。
普段の女性研修センターでは、首都のダッカ周辺地域から集まった60人の研修生が3ヵ月間の研修コースで縫製やコンピューター、有機農業、キノコ栽培、パン・ケーキ作りなどの技術を実際に体験しながら学んでいます。
女性研修生に最近人気があるのは、コンピュータ―クラスです。パソコンの基本的な操作から、ワード、エクセルなど学び、研修生たちは、その後のキャリアに活かしているようです。バングラデシュでは、パソコンの使用が急速に進み、研修生からの要望も高いことから、5年ほど前からコンピュータークラスを設置しています。
また、バングラデシュは縫製業が主要産業で、GDPの8割近くを生み出すまでとなっており、縫製の研修の要望も変わらず高くあります。
研修センターの近くにも、6階建て、7階建ての縫製工場が立ち並び、その近辺には地方から出てきた女性たちの長屋のような宿泊施設が集まり、女性の社会進出を促しております。
私は、研修センターの女性研修生や、縫製工場で働く女性たちがこのチャンスを活かそうと、ひたむきに学び、恵まれない労働・生活環境下でもひたすらに働く姿勢にいつも心を動かされます。
彼女たちや家族、親戚や村の人々がよりよい生活を送ることができるよう、応援を続けたいと思っています。
皆さんも、衣料品を買うときにタグを裏返しみて、どこで生産されているか、その1枚は誰が生産したのか、想いを馳せてみてはいかがでしょうか。