2018年9月12日

インドネシア ロンボク島被災地の調査報告(OB編)

  • インドネシア
  • 本部スタッフ
  • 皆さん、こんにちは。

    海外事業部のマスドメです。

    前回の現地調査報告ブログ記事、多くの方に読んでいただき、本当にありがとうございます。

    現地への支援にご協力いただいた方から、ロンボク島の場所ってそもそもどこなの?というご質問をいただきましたので、まずは改めてご紹介します。

    こちらが島国インドネシアでのロンボク島の位置です。日本でも有名な観光地バリ島の東隣にあり、美しい海を持ちながらも素朴さの残る島ですが、観光開発が進み「第二のバリ」とも呼ばれています。

    1万4000以上の島を有するインドネシア (クリックして拡大できます)
    1万4000以上の島を有するインドネシア (*クリックして拡大できます)
    ロンボク島 地図
    今回OB・関係者の状況調査を⑤~⑦の地域で行った ⑤西ロンボク県グヌンサリ郡タマンサリ村                               ⑥西ロンボク県グヌンサリ郡ドパン村        ⑦北ロンボク県プメナン郡マラカ村

    そんな美しい島で発生した大地震、長期に渡る余震も影響し、当初報告されていた被害状況は拡大、同国家防災長によると結果的に500人以上が犠牲となり、7千人以上が負傷、43万人超が避難生活を余儀なくされていると発表されています。

    今回の現地スタッフによる調査では、現地OB・関係者の住居地区も訪問し状況確認を実施しましたので、ご報告いたします。

    現地スカブミセンター第24期研修生OBで、今回の震災被害が最も大きかった⑦北ロンボク県南西部在住のMujibur Rahman(ムジブル ラフマン)氏は、8月5日に発生した2回目の大地震により自宅とそれに隣接する両親の家が、全壊を免れたものの居住できる状態にはありませんでした。また同氏の住むパンダナン地区の家屋の80%以上が倒壊、さらに50名の重軽傷者に、死者も出るなど、同氏始め、同地区での被害の大きさがうかがえます。

    マラカ村パンダナン地区 80倒壊
    ⑦マラカ村パンダナン地区では80%以上の家屋が倒壊
    村の空き地に設営しているテント内の様子
    村の空き地に設営しているテント内の様子

    周辺の経済活動はまだ停止状態にあり、物価の値上がりが始まっている中で、同地区のほぼ全員が避難所においてテント生活を送っている状況です。しかし、かつて植林を同地で実施した際に維持管理のために掘った井戸と設置した揚水ポンプが今でも機能しており、被災した人々の貴重な水源として役立っていました。

    自身も被災しながらも国内オイスカOBや有志から集めた支援品を配布する活動行ったMujibur氏
    自身も被災しながらも国内オイスカOBや有志から集めた支援品を配布する活動行ったMujibur氏(左)

    また、同島には研修生OBではないものの有志としてオイスカ・ロンボクのメンバーに名を連ね、ロンボクにおけるオイスカ活動を積極的に支援している、Tasarudin(タサルディン)氏という心強いメンバーがいます。

    ⑥西ロンボク県グヌンサリ郡ドパン村に同氏が所有する2軒の自宅のうち、古い家は全壊、築5年の新しい家も屋根瓦が落ち、壁に大きな亀裂が入るなど、居住は不可能な状態に陥ってしまいってます。この地域一帯が、グヌンサリ郡の中でも最も震災被害の大きかったところで、震災時には死者や負傷者が発生。住民は止まぬ余震に怯えながら、震災前の日常を取り戻すには至っていません。

    Tasarudin氏の築後5年の新居も瓦が落ち、大きな亀裂も入ったことで住むことがかなわなくなった
    Tasarudin氏の築後5年の新居も瓦が落ち、大きな亀裂も入ったことで住むことがかなわなくなった
    自宅前でテント生活を続けるTasarudin氏(右から2人目)から話を聞いた
    自宅前でテント生活を続けるTasarudin氏(右から2人目)から話を聞いた

    その他にも日本で結婚し、現在四国で生活している現地スカブミセンター・訪日研修生OGも④西ロンボク県グヌンサリ郡グヌンサリ村で離れて暮らす両親や兄弟の家が被害を受け、彼らを含めた地域住民の多くがテント生活で避難生活を送っています。

    ⑤グヌンサリ村ではこのようにテントが広がっている
    ⑤グヌンサリ村にて並ぶテント群
    民間団体より届けられた支援物資を受け取った村の女性や子ども達
    民間団体より届けられた支援物資を受け取った村の女性や子ども達
    2005年に福岡のラブグリーンの会が植林を行った際に制作した看板が、壁代わりに被災した家屋の補修に使われていた
    ⑦マラカ村では、2005年に福岡のラブグリーンの会が植林を行った際に制作した看板が、壁代わりに被災した家屋の補修に使われていた

    現地では、本調査実施期間中も毎日のように震度3〜4程度の余震が発生していたこともあってか、更に大きい地震の発生が控えているという根拠のない噂・デマが広がっており、人々の不安を増幅させているそうです。今回被災した住民は地震に対して大きなトラウマを抱えており、被災者はもちろん、直接的な被害に遭っていない地域の住民の多くも、自宅で寝ることを恐れ、避難所やテントで眠れぬ夜を過ごすという状態に陥っています。

    更に、夜間には住民不在の家屋を狙った窃盗団が出没し、貴重な財産を盗むなど秩序の乱れも発生しています。

    また、政府は緊急支援の時期が過ぎたとしていますが、今後も支援を必要とする多くの人々が存在することは、今回の調査結果からも明らかです。

    現地オイスカは、今回の調査対象になった地域を中心に、必要とされる物資の支援を現在進めています。

    引き続き現地での様子をこちらでお伝えして参ります。皆さま是非温かく皆守ってください。

    避難生活の困難な状況の中でも、はしゃぐ子ども達には励まされます
    避難生活の困難な状況の中でも、はしゃぐ子ども達には励まされます

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