本部・広報室の林です。
先月、考えさせられるブログを投稿してくださったミャンマーの小杉駐在代表(現在は一時帰国中)からバングラデシュ、ミャンマーが直面している問題などを取り上げたブログが投稿されました!
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お隣同士の国、バングラデシュとミャンマー。
両国にあるオイスカの研修センターの距離は、直線にして700㎞余り。
日本なら東京―広島間ぐらいにあたり、新幹線なら4時間、車なら10時間ほどの距離にあることになる。
当然、現地ではその様な乗り物はなく、陸路の国境も我々には開かれていないので、第3国経由で航空便を乗り継ぐことになり、道中を入れれば丸2日かかる。
両国とも同じようにべンガル湾に面しており、バングラデシュは国土の50%以上が海抜7m以下。
有名なガンジス河に加え、ブラマトラ河、メグナ河の三大河川の源流は国外にあり、そのほか大小200本以上の河川のうち、57本は国外から流入しているという。
6月から10月にかけての雨季にはこうした河川に、国内総雨量の4倍近くの水が流れ込み、低平地デルタにある国土の実に3分の1が水没をしてしまう。
その時期には、センター近くを流れる河も水嵩を増し、ゆっくりと川幅を広げ最後には大海原となる。
水が引いた後には、農民によって水稲や野菜栽培が始まり、上流から運ばれてきた土砂を利用してレンガを焼く煙突が立ち並ぶ工場群もでき、大気汚染の一因となっている。
一方、ミャンマーは 国土が南北に長く起伏に富んだ地形で、標高 2000~2500mの場所では亜熱帯性、3000m近くになると亜高山性と地域によって気候差が大きいのが特徴。
沿海部は降水量が4000mmを越えることもある多雨地域、雨季にはバングラデシュ同様、洪水を引き起こす。
一方、センターが位置する中央内陸部は、年間降水量が 500~800mm を下回る熱帯サバンナ気候で、
乾季には干ばつや森林火災が発生する。
その両国では、5月と9月頃の季節の変化する時期には天候が不安定になり、天気は大荒れ、頻繁に落雷が発生し、今年もバングラデシュでは5月15日付近の4日間だけで65人が死亡。一方、ミャンマーでは6月6日までの間に計62人が死亡。
それぞれ農場で働いていたり、釣りなどをしている農民らに落雷したとのこと。
ビンロウやヤシなどの高い樹や森が少なくなったことや携帯電話などの所有が増えたことも一原因かと言われているが、気候変動の影響が大かと思われる。
今年、ミャンマーの研修センターが所在する中部乾燥地では、4月の乾季の最中、気温が40数度となり、今までの最高記録を更新。雨もなく農作物の作付への影響が心配されており、その様な状況に加えてのコロナ騒動による自粛生活が続き、センターの近隣の農村でも困窮を強いられることに。
そこでオイスカでは、近隣住民への飲料水や食料などの救援活動を実施。
一方のバングラデシュでは、スパーサイクロン「アンファン」が5月20日、インド東部とバングラデシュに上陸し、何万軒もの住宅が倒壊または損壊。沿岸部の多くの村が水浸しになってしまった。当局の指示で、住民250万人近くが事前に避難していたものの、マングローブ植林プロジェクトがある南西部クルナ市では、少なくとも8万3000軒の住宅が倒損壊する事態となった。
貧困に直面している地域は、気候変動が原因とも言われる近年の災害の激甚化に対抗する手立ても持たない上、今年は新型コロナウイルスの脅威という二重苦に直面しているといわざるを得ない。
世界有数の災害発生国、低地のデルタ国家バングラデシュ。
干ばつ・砂漠化の影響を受けるミャンマー中央部。
共に気候変動の影響を受けるこの2つの国。
オイスカでは、今できることとして、まずは社会的距離を取りつつ、バングラデシュのサイクロン被災村民にはトタン屋根支援を実施。
ミャンマーではこれまでの飲料水や食料の緊急支援の次に、どのようなことができるのか、現地と日本国内のスタッフが連携しながら検討しているところです。