啓発普及部の吉田です。
読売こども新聞の取材案内で、神奈川県・相模原市立広陵小学校の学校林、
通称「広陵もりっく」に行きました。神奈川の北のトンガリの所です。
取材の結果は、7月28日(木)の1面で紹介される予定です。
「先生や子どもたちが、すっと授業で活用できる学校林に」
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2005年、今から4代前の校長先生、5代前の教頭。
とにかく決断の早い先生たちと出会い、学校に隣接した市所有の森林を教育に活用するため協力してほしいとオファーをいただきました。
一歩も入ることができない、荒れに荒れた森林を整備し、以来、PTA会長も歴代5人、行政や地域住民のあたたかい支援の甲斐あって、いまに至りました。
「うちの子どもたちは体力がないんです」(教頭先生)
表土流出の抑止、崩落・倒木防止、植生保護などを念頭に置きつつ、みんなで相談しながら、体力づくりの教育的要素、冒険的要素を考え、わざと変化に富んだ道を作りました。ふつうの大人は息が上がる、急傾斜の長い階段。かなりキツイコースです。
朝、真っ先に記者さんと森を一周。
6年生の女の子が2人、カメラを手に、校舎の3階以上ある頂上に、涼しい顔で歩いてきました。「今度、上溝小学校の先生たちが来るので、学校紹介の準備に来たんです」と。その後を体育会系の若い先生が必死に追いかけてくる。
そのあと新しい校長先生、教頭先生(ともに女性)と
教育委員会指導主事の先生と懇談。
「急な斜面なので歩くのはきついですが、雨上がりの朝など、
本当に神秘的なんです。危ないように見えても子どもたちは
ぜんぜん怪我しません。大人よりも子どものほうが歩くのが上手。
遊び方も上手。誰が一番1mに近い枯れ枝を探せるかとか、
誰が決められた時間に一番近い時間で森を1周するかなど」(教頭先生)
「数学的なこともするんですねー」(記者さん)
今日は教室で、5年1組の総合学習の校内研究授業でした。
単元名は「もりっく to the future」
都合のつく先生が、大勢見学に来て、お互いの指導力を上げることも目的の一つ。
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子どもたちは、まだ新しい学年に進級したばかり。
この単元も全17時間の中盤。一番いい完成状態を見せていただくことは
多いのですが、指導の中盤は凄く新鮮でした。
「丈夫な森にするためにユーカリをたくさん植えればイイ」など爆弾発言も(笑)
7月中旬に森林総合研究所の専門家に、子どもたちが学んできたことや、
思いを発表することがこの単元のピーク。
指導案より
「本単元では、もりっくが多くの人の協力によってできていることに気づき、
これから先も もりっくが児童たちにとって大切な場所となるように、
自分たちにできることを考え、実践できるようにしたい。
専門家にプレゼンすることを通じて、森についての知識を深め、
今のもりっくを維持するためには、自分たちの力が必要だということを
改めて実感させたい」
この学校では、国語・理科など教科で「もりっく」を活用した
指導内容をファイル化し、森に詳しくない、
親近感を持てない後任の先生のために確実に記録しています。
当たり前のようですが、案外できていないのが全国各地の標準です。
私たちはこの6・7年、ハード面よりソフト面のサポートに徹してきました。
安全面なども。この学校林は0.7ha。(非常に急傾斜なので、平地に直したら1haを超えると思いますが)
いま預かっている宮城の海岸林の100分の一の面積ですが、
私にとって学校林は、無数のことを学んだ、宝のような存在です。
これがあったから今があります。
ここで一緒に仕事をした多くの方の顔が浮かびました。