四国支部廣野です。8月25日(金)、「持続可能な社会について」の講演会へ行ってきました。
会場は満席状態で、若い世代も参加しており驚きました。
講師は、澁澤寿一氏。
経歴を見ると、いろいろ活動されているのが
わかったのですが、私の目に留まったのが
「聞き書き甲子園」という文字でした。
一体「聞き書き甲子園」とはどのような活動
なのかと思っていたら、講演中に説明があり、納得。
テーマ「持続可能な社会」ととても深く関わっている
活動でした。簡単にまとめると、選ばれた高校生が、
日本本来の伝統的な暮らしを受け継ぎ、
先人の知恵や技術から自然(森、海、川)とともに
生きている、いわゆる名人と呼ばれる人に一対一で
取材し、ものの考え方や生き方を学び、それを書きとめ整理し、その成果を作品として発信するというものです。
このような素晴らしい活動がなされていることにまず感動したのですが、
講演の内容が本当に素晴らしくて、澁澤ファンになって帰ってきました。
講演の中で、特に印象に残った内容が2つあります。
一つは、「稼ぎと仕事」の違いについてです。
現代の私たちにとっては、稼ぎ=仕事と考えがちですが、実は違いがあり、
「稼ぎ」は家族を養うため自己実現をするために収入を得る努力(お金のため)、
「仕事」は次世代のために(森林づくり、祭りなど)無償ですること(お金にならなくても
しなくてはならないこと)だそうです。そして、現代は「仕事」が消えつつある無縁社会であり、
持続可能でない社会になっているのではないかということでした。
もう一つは、環境問題は「みんな」で取り組むことが大事だということです。そのためには、
人と人、人と自然、世代と世代がつながることにより、お互いが関心と共感を持ち合う社会に
していくことが大切だそうです。また、澁澤先生のスライド資料に「暴走をはじめた資本主義
1990年以降のグローバル経済」と題し、「地球は有限、70億の人口の生存を貨幣は担保できるか?」
「エコロジー(自然)あっての、エコノミー(経済)」と書かれていました。このお話しを聞いた時、
すぐに「子供の森」計画を思い浮かべた私ですが、まだまだ勉強不足で、何年に開始されたかまで
覚えていませんでした。急いでオイスカHPで調べてみたら、なんと、1991年に開始していることがわかり、
オイスカの環境に対する意識の高さに驚きました。ちなみに、2017年3月末では、
36の国・地域の4,891の学校が参加しています。
最後に、澁澤先生は、
「発展途上国にとって今の日本はモデルにならない」
「これから、一緒に人類の未来について考えていかなくてはならない」と
仰っていました。
最近、四国支部の本棚にあった「森が生まれる」を読んだのですが、
まさしく澁澤先生の言葉と同じだなと思いました。
発展途上国で行われた過去のオイスカの森づくりを見ると、
困難な場所での植林に対し、
はじめ地域の人から理解されませんでしたが、
オイスカ職員の真の「仕事」に対する姿勢に、
最後には地域の人たちが同じ想いをもって森づくりに取り組み、
成功しています。そして、それは、「子供の森」計画によって、
価値観の伝承がなされているのです。
今回の講演で、改めてオイスカの活動の素晴らしさを再認識する
機会となりました。