海岸林再生プロジェクト担当の吉田です。
宮城県大崎市田尻の日向養豚㈱に従事する3名の技能実習生を定期訪問した後、
そこから車で10分もかからない蕪栗沼【蕪栗沼概要(宮城県HP)】に行きました。
伊豆沼、内沼、化女沼と並び、「蕪栗沼と周辺水田」としてラムサール条約に登録されています。
蕪栗沼はまた、日本のECO-DRR事例として真っ先に取り上げられる存在。
大崎地域の伝統的水管理・水田農業システムは、世界農業遺産、
日本農業遺産にも登録されています。
去年、マガンや白鳥を見ながら、案内表示通り行っても、「沼はどこ?・・・」という状態。
「大崎耕土」の広大な水田があるばかりで、沼に辿り着く道が分かりませんでした。
今回は、図面上1,000haぐらいの水田を囲む、10m以上の高い堤防を1周して
やっとアプローチ道を発見。(堤防上は管理道なので当然何にも書いてない)
ここは水害常襲地帯でした。
通常の大雨レベルでは蕪栗沼で間に合いますが、大水害レベルになった場合は、
高堤防の内側の「水田兼遊水地」に、意図的に溢れさせる構造です。
冠水面積合計58.2ha。ちなみに日本一は渡良瀬川遊水地の約3,300haらしいです。
次回の養豚実習生訪問の時は、オイスカ会員のJA大崎さんや日向養豚の社長から
もっと耳学問したいと考えています。また、宮城や周辺県にはオイスカの内外関係者に見せたい
場所はたくさんあると、勝手に思っています。
ところで、話を「ため池」に変えますが、
全国の農業用水用ため池は約16~20万ヵ所、宮城に5,500ヵ所あるそうです。
当然、農業用干害対策になりますが、管理不足のため、地震や豪雨などで破堤し、
人的被害を出す事例が近年知られています。そのうち「防災重点ため池」という
要警戒のものが6万ヵ所あるそうです。海外でも同じことが考えられます。
利用面、良い面ばかりに目が向きがちですが、安全・維持管理面も念頭に
置いて私自身は学ばねばならないと思っています。
*ECO-DRRとは「(森林など)生態系を活用した防災・減災」