四国から大垣です。
農業は本当に楽しいですね! 正直、単純作業(草刈りなど)の繰り返しで飽きそうになったこともありましたが、生態系の中で今の作業がどう貢献しているのか意義を考えられるようになると、作業にも身が入ります。なにより、有機農業は手間がかかりますが、毎日一生懸命世話することで、成長していく作物を日々観察できることには感動を覚えます。
加えて、四国研修センターでは、道に迷うと安部副所長やデニスさん、荏原さんが「農業を好きになるヒント」を与えてくださいます。これまで自然と向き合いながら農業をされてきた方々の視点は、自然環境と共生するための学びに溢れています。
さて、前置きが長くなりました。現在、四国研修センターには、荏原美知勝パプアニューギニア駐在代表が滞在されています。開発団員としてフィリピンのミンダナオ島に派遣されて以来、パラオに10年、パプアニューギニアに28年以上駐在されてきた方です。普段はなかなかお話する機会もありませんでしたが、センターでは一緒に生活を共にするので、近い距離で交流を深めることができています。
最近では、荏原さんが私と山崎さん(国際協力ボランティア)のために、これまでの現地駐在経験で培った技術を共有するミニ講座を設けてくださっています。気なるテーマはハイテクノロジーではなく、ローテクノロジーです。先人の知恵といいましょうか、世界中どこでも役立つ伝統技術です。
例を挙げると、川の水を堰き止める石積み手法、実践で役立つロープワーク、水のくみ上げ方、地下水の発見方法、月の動きを読んだ農法などです。ほとんど荏原さんがオイスカ開発団時代、先輩にあたる開発団員の“篤農家”の方から学び、実践で体得されてきた技術です。ハイテクに偏りがちな素人の私にとっては、目から鱗の内容ばかりです。
なかでも興味深かったのは、月の動きを読んだ農法です。巷ではバイオダイナミック農法と命名されているそうです。満月の時には地上にエネルギーが満ちるので(養分が上にいきやすい)、播種や接ぎ木に適切、反対に新月のときには地下にエネルギーが満ちる(根に養分がいきやすい)ので定植や挿し木に適切、といった知識です。植物だけでなく、動物の出産にも月の動き(大潮・引き潮)に関係しているそうですね。
上記は世界各地の農村で実践されてきた知識かもしれませんが、都会しか知らない私にはまったく知らないことばかりでした。現地で導入しやすいローテクノロジーをこの機会にたくさんOJTで覚えて、海外に赴任した際には実践できるようにしたいです。読者の方々にも、ご自身の生まれ故郷でおもしろい農法、農業暦があれば、是非とも紹介していただきたいです。