本部海外事業部の長です。
あけましておめでとうございます。
今年もどうかよろしくお願いします。
さて、昨年暮れ2019年12月25日、フィリピン中部を
大きな台風(アジア名:ファンフォン/Phanfone フィリピン名:ウルシュラ/Ursula)が襲いました。
カトリック教徒が多数を占める同国のクリスマスの休日を直撃して暴風雨をもたらし、
1月2日までに全国で50名の方が命を失っています。最大瞬間風速は時速150kmにも及んだということです。
被害を受けた島のひとつレイテ島でも広域停電や家屋の倒壊など東海岸の町を中心に被害が出ました。
ところで、レイテ島では、2013年11月の巨大台風ハイエン(フィリピン名:ヨランダ)が襲った際の津波で甚大な被害が出たため、オイスカは同島沿岸で、マングローブや海岸林の造成に取り組んできました。マングローブが育つ干潟のある場所ではマングローブを、そしてマングローブが育たない砂浜海岸では、海岸林を育てるべく、これまで樹種の選定や造林方法などについての実証実験を重ねてきました※。
というのも、熱帯地域では、津波の軽減を図るための海岸林の造成事例そのものがこれまでなかったからです。その試験植林地も今回の台風で、海側の部分が大きく削り取られました。しかし、幸いにも昨年11月に植えた苗木は飛ばされることなく、生きていたそうです。ココナッツの殻のマルチや、ココナッツの裏側の繊維をほぐしたココピートを土壌に混ぜるなどして保湿力を持たせるなど、砂浜でも育つ健全な苗づくりの実験をしてきたのですが、これまでの工夫による効果が発揮されたと言ってもよいかもしれません。
※レイテ島での海岸林造成の実証実験は、公益財団法人国際緑化推進センターからの受託で進めている「途上国森林再生技術普及事業 森林再生技術開発に係る調査業務」としてオイスカが行っています。