2021年9月21日

パプアニューギニアでの植林の種まき

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  • パプアニューギニア駐在代表の荏原です

    南半球の太平洋に浮かぶ大陸オーストラリアの真北に位置する島国がパプアニューギニアです。最大の島がニューギニア島でそのほぼ中央に国境があり、西側はインドネシア、東側がパプアニューギニアの国土になっています。ニューギニア島の東に日本の本州のような島がありますが、その北半分が東ニューブリテン州で、パプアニューギニアにおける「子供の森」計画の実施拠点でもあるオイスカラバウルエコテック研修センターがあります。

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    1993年、私がこの研修センターに赴任した頃は未だオイスカの周りは森林が生い茂っていました。太い丸太を載せたトレーラーがオイスカの前にある道路を毎日のように走っていたのを覚えています。そのような中1991年にフィリピンで始まった「子供の森」計画(CFP)をラバウルでも始めたいと思い、オイスカラバウル支局の理事会に提案をしましたが、理事たちは口々に“こんなに木がそこら中に育っているこの国で植林などという活動を誰が興味を持ってやるか?”と誰も賛成してくれませんでした。

    確かにその頃、木はオイスカセンターの周りに豊富にあり、研修生たちと一緒に森に入ればタダでいくらでも木を切ることが出来ました。それらの木々を使って研修センターの養豚場や養鶏場、育苗舎を建てました。でも伐採後に植林をしなかったためにはげ山が広がるフィリピンの山々の状況を聞いていたので、私はこう理事たちに言いました。稲は4ケ月程度で収穫できるが、木は早くても10年、立派に育つには20年30年掛かってやっと収穫できるようになる。木が無くなってみんなが困り手遅れになる前に先ず、やってみましょう”と。

    当時34才。赴任して1年足らず、研修センター2代目の所長であった私でした。“まあ、新任のマネージャー(当時の理事会の中でのセンター所長の役職名)がやってみたいというなら、試しにやらせていいでしょう”、ということでパプアニューギニアにおけるCFPが始まりました。

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    1994年5月、最初の植林地はオイスカラバウル研修センター(当時の研修センターの名称)で、アカシヤを100本位植林しました。そして対外的にCFPを始めた第1号校が“ブナマミファーマーズ職業研修センター”でした。ここでのCFP発会式に当時東ニューブリテン州知事であったシナイ・ブラウン氏にも招待状を出して参加をして頂きました。この方は何を隠そう植林活動に反対された張本人です。

    その後、ラバウル地区だけでなく、他の州や他の島々にもCFPのプログラムを持って回りました。ハイランド地区の中心地である東ハイランドの州都ゴロカにある小学校、内戦が収束したばかりで疲弊していたブーゲンビル州の島にある小学校、パプアニューギニア第2の工業都市レイの山奥にあるブアン小学校、ミクロネシア人の風貌を持つ人々が住む小さな島マヌス島、オイルパーム産業を経済の中心に置いて成長している西ニューブリテン州、素晴らしい自然が残り観光地としての開発に可能性を秘めている東ニューブリテン州にあるポミオ地区でのCFP活動。現在は残念ながら他州や他の島まで出かけてのCFPは実施していません。モニタリングが可能な範囲、という事でCFPを進めています。

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    オイルパーム農園や木材を求めた森林伐採企業、農民による焼き畑等々のため、年々パプアニューギニアの森は削られてきています。今では日本よりも国土に対する森林占有率は低くなっています。しかし、その反面植林の意識が政府、住民を問わず大きく芽生えてきている事も事実です。ここ7~8年前からパプアニューギニアの各地で行われるイベントで、記念植樹を行う記事が良く新聞紙上に載るようになってきました。また、オイスカの卒業生がNGOを立ち上げ、州政府と一緒に植林プログラムを実施したニュースも流れてきています。

    誰でも活動成果をできるだけ早く見たいと願うものですが、種に命があればいつか必ず目が出る事をパプアニューギニアにおいて体験をしています。海に山に家の周りに学校に、生命を支える木をCFPを通して植え続けたいと思います。

    1990年後半から2004年頃までラバウルで井戸掘りを地域でしていましたが、その時私が作ったキャッチコピーです。

    “Where there are trees, there is water, where there is water, there are foods, where there are foods, There is Happiness”!(木々が生えるところには水がある。水があるところには食べ物がある、食べ物があるところには幸せがある!)

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