本部・啓発普及部の吉田です。
オイスカミャンマーの7月13日のFacebookで、「(昨日から)田植えが始まった」と紹介されていました。こちらの緊急募金の動きも現場に伝わっています。こちらも向こうも発信内容に十分気を付けながらが、当分続くことになるでしょう。
本題に入ります。コロナ発生直後の2020年2月の私の出張は、宮城の海岸林10年で本当にお世話になってきた、オイスカ宮城県支部の亀井文行会長(カメイ(株)代表取締役社長)から紹介いただいた国際ロータリークラブ2520地区(岩手・宮城全体)による、ミャンマー「子供の森」計画の緑化支援の一環で着手した学校施設補修・新築の進捗確認、今後のニーズ調査が第一ミッションでした。実施場所は、首都ネピドーから北に約3時間の、オイスカ第2研修センター膝元地区2村計2校。「Dangerous School」と先生方が嘆く、基礎すら壊れている学校。校舎だけでなく、とくにトイレ・飲料に耐えられる水飲み場、給水タンク・井戸掘削、ゴミ焼却場設置など衛生部門に力を入れました。現場視察では、「工期を守る」「始業終業時間の徹底」「工事現場がきれいに整ってる」ことにびっくり。24年オイスカとともに学校建設修復を共にしてきた馴染みの職人集団ですから、影響受けますよね・・・
オイスカは1999年ごろから「子供の森」計画と、学校校舎建設・修復に取り組み、私も何校か資金調達をサポートしました。当時は「ずっと監督していないとセメントを薄める・・・」などボヤキを聞きました。一部案件では、「建設実費以外は協力しない。緑化も調整費もオイスカが負担すべき。学校だけ建てたい」という話はよくありました。宮城のロータリーの方たちは、そういうことも十分理解し、「そもそも「子供の森」計画あっての学校施設整備支援」と理解いただいたため、現場同様、何一つ苦労はありませんでした。
「子供の森」計画支援校を10校以上訪ねました。乾季でしたから、子どもたちは朝登校すると毎日「水遣り」「マルチング」をしていました。郡内一の基幹高校でも夕方一斉に。まじめです。敷地内の土砂が雨季に崩れ、校舎の基礎までに迫っている学校もありました。子供たちの栄養、安心な飲料水、トイレ、集落のゴミの散乱に苦労しているのが共通です。前回のブログで、WFPとオイスカによる基礎メニューの一端を書きましたが、「子供の森」計画の学校の村はすべてこれらがセットで組み込まれています。「重厚かつ多彩なメニュー」がオイスカミャンマーの特徴でした。村に出入りする回数の多い、緑化担当やマイクロファイナンス担当のスタッフやは、担当以外のことにも目を配り、一度村に入ったら、いくつもの仕事をして帰ってくる。自分では負い切れないことは、センターに情報を持ち帰り、組織で対応する。仕事人として見習うべき「無駄のなさ」です。
緑化に関して、「海岸林」の乾燥地造林を担当した者としては、植え穴の大きさ、堆肥の量は十分と思いました(小杉さんが指揮してますから)。まず「苗木用給水ポリマー」の活用を勧めました。日本から送りたいのですが、麻薬・覚醒剤と間違われる危険があって、迂闊なことはできません・・・また、数少ない立木などを利用して半日陰を好む樹種を少しづつ植えたらどうかと思いました。校舎の日陰に植えた木の成長が良いのです(保湿されているから)。とにかく、パイオニア樹種として生きていける樹種はいくつかのマメ科に限られます。第1次、第2次、第3次と少量植林を心掛け、徐々に本数と樹種を増やす数年単位の計画が良いと思います。一度にたくさん植えると、畜害防除に対策が追いつかない。
また、学校やお寺など井戸を中心に形成されている集落には、大木もあり、樹種も比較的多い。果樹など有用樹を活用した屋敷林・集落林として取り囲む余地はまだある。街路樹兼防風林としてデザインすれば、道路の路面保護にもなるし、道沿いでも落ち葉を堆肥作りに活かすこと(埼玉の三富新田のように)や薪炭林に活かす余地もある。次の出張では、ぜひ植栽デザインと樹種剪定、植栽技術普及に参加したい。「子供の森」計画を起点に「大人の森」に展開できる。私が出張に行かなくても、現地から誰か名取に来る日があれば勉強してもらえる。この10年でミャンマー人はJICA研修で来た政府の2人だけ。オイスカスタッフはまだゼロ・・・「教員から村の人に呼びかけて、村に緑を多くしたい」「自分の家にも植えてほしい」「村のゴミも子供たちと拾いたい」と教員たちは口々に話しました。
国際ロータリー2520地区の学校支援が完了すると、すぐコロナが追いかけてきました。それでも、オイスカ宮城の亀井会長は、仙台北ロータリークラブと国際ロータリー本部の助成を抱き合わせた継続支援策に動いてくださり、先の2校の周辺2校で同様のメニューが実現。2021年6月に無事に完了報告を提出しました。学校は再開されていなくても、施設は限定的ながら活用されています。建設が終わっても、「子供の森」計画実施校として、学校と村と長く長く関わり続けます。建てたら終わりでなく。
岩手・宮城の全ロータリアン2,200名の一人一人、そして組織的かつ継続して、大きなご支援をいただいたこと、あらためて御礼申し上げます。幸運なことにコロナ禍に先駆けた対応ができました。