ウズベキスタン沙漠緑化プロジェクトを担当しているOISCA College LTD.の冨樫智です。
先日、アラル海 近くにあるムイナクという町で薬草栽培研修会を行いました。(薬草栽培研修会の様子は青山さんのブログをご覧ください)
この日は事務所のあるヌクスを出発する頃は-10℃だったのですが、200kmを北上するにつれて、徐々に気温が下がっていきました。着いた頃には-20℃になりましたが、ここからさらにアラル海へ入ると-30℃以下になったそうです。この日は、アルテミアというホウネンエビを捕りに行った人が凍死しました。薬草栽培研修会には、かつては魚を捕っていたけれど、失業して仕事がしたいという人たちが多く参加しました。ここは1年の気温差が100℃という、厳しい地域であっても、皆、このふるさとが大好きです。この地域では、人も動物もたくましく生きています。
ここアラル海周辺の地域や中央アジアのステップ地帯に生息する「サイガ」という動物をご存知でしょうか?サイガはかつては大規模な群れを形成し、数百万頭が中央アジアの広大な草原を移動していました。しかし、密猟、生息地の破壊、および気候変動の影響により、過去数十年間で劇的に減少し、絶滅の危機に陥りました。特に、その角は伝統医学で価値があるとされ、密猟の主な対象となっています。
アラル海地域は、かつては世界四番目の大きさを誇る湖でしたが、湖は大幅に縮小し、生態系が深刻な影響を受けています。この環境の変化がサイガの生息に影響を与えているとされ、先月の国連砂漠化対処条約会議でも、アラル海のサイガの話題になりましたが、保護活動のおかげで再び増えてきたそうです。
(サイガの保護活動についての参考記事をご覧ください「Yahoo!ニュース珍獣サイガが奇跡の回復、絶滅寸前から190万頭に、IUCNが一挙に3段階評価を引き下げ」)
このサイガは、その特徴的な鼻が最も顕著な特徴で、この鼻はほこりや砂から肺を保護し、冷たい空気を温める役割を果たしています。こちらの冬は、とても寒いですが、まず鼻と耳がやられます。鼻穴は呼吸で水分が出ますが、それが凍りつきパリパリと張り付くと痛いのです。また砂嵐で砂が入らないように適応し、徐々に鼻穴が下になり、長く進化したでしょう。
鼻というのは、もっとも変化しやすいもので、人間も鼻が高かったり、低かったり、鼻穴が上を向いていたり下に向いていたり、こうした環境の影響での進化が大きいのかもしれません。
私も20年の砂漠生活で鼻が長くなってきたかも。