国際協力に関心はあるけれど、そのための一歩を踏み出せない。そんな学生を対象に、ウズベキスタンプロジェクト調査員の青山と、学生インターンの中屋、梅本が企画・実施し、10月1日(日)12:45~「グローバルフェスタ2023」のサブステージAにてオンラインイベントを開催しました。その内容を改めて、レポートします。
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目次
ー前編ー
Ⅰ.オープニング
Ⅱ.「私たちの暮らしが遠く離れた国の人々を苦しめている、、?―インドネシアで目にした深刻な環境破壊の現実―」(中屋)
1.自己紹介(中屋美里)
2.なぜ国際協力に関心を持つようになったのか
3.インドネシアってどんな国?
4.インドネシアで何が起こっている?
5.なぜこれほどに深刻な浸水被害が起きているのか
6.オイスカの住民の方々の暮らしを守るマングローブ植林活動
7.これまでの経験をどのように活かしていきたいか
ー後編ー
Ⅲ.私にとっての国際協力~「20世紀最大の環境破壊」を訪れて~(青山)
1.自己紹介(青山優菜)
2.私がウズベキスタンに至るまで
3.アラル海砂漠化の背景
4.オイスカとしての取り組み
5.青山の体験記
6.私にとっての国際協力
7.さいごに
Ⅳ.イベントを終えてみてのそれぞれの感想
Ⅰ.オープニング
司会進行を務めた梅本さん(CSOラーニング制度のインターン生)による自己紹介と、オイスカについての紹介からイベントがスタートしました。
Ⅱ.「私たちの暮らしが遠く離れた国の人々を苦しめている、、?―インドネシアで目にした深刻な環境破壊の現実―」(中屋)
「私たちの暮らしが遠く離れた国の人々を苦しめている、、?―インドネシアで目にした深刻な環境破壊の現実―」というテーマでお話をさせていただきます。中屋美里です。本日は宜しくお願いいたします。若干緊張しておりますが(笑)、まず初めに簡単に自己紹介をさせていただきます。
1.中屋美里 自己紹介
私は麗澤大学の国際交流・国際協力専攻の4年生です。昨年1年間、インドネシアに留学するために休学していたので、本来は社会人一年目ですが、大学生として学校に通っております。私の好きなものやことは自然、旅、カメラ、子ども、少数民族です。特に自然が大好きで、少数民族は、小学校の頃からすごく興味があって今でも民族衣装や民族雑貨を見るとワクワクします。そんな私が、そもそもなぜ国際協力に関心を持つようになったのかというところからお話しさせていただきます。
2.なぜ国際協力に関心を持つようになったのか
初めのきっかけというのが、2007年の小学校2年生の時に、学校で行われたユニセフの講演会で、アフリカの貧困を知り衝撃を受けたことです。そこからなんとなく世界で困ってる人たちの助けになりたいなという思いがあり、高校3年生の時に大学でどんなことを学びたいか、どんな大人になりたいかを考えていく中で、現在の大学に入学することになりました。
また、海外が好きでいろいろな国に興味があったことも理由の1つです。そこから大学生活を送る中で、さまざまな社会問題を知ったり、NPO・NGOで活動させていただく中で、結局自分は誰のどのような問題を解決できる人になりたいのかということを考えていきました。その時に環境問題を解決する、自然を大切にするということは、さまざまな問題の解決につながるのではないかということに気づき、そこから昨年「トビタテ!留学JAPAN」という制度で環境保全と環境教育を学ぶために、オイスカ・インドネシアで受け入れていただいて半年間のインターンを経験しました。そして現在は、引き続き国際協力に携わりたいという思いでオイスカ東京本部にてインターンをさせていただいています。今日は昨年私がインドネシアで経験したことについてお話しさせていただくのですが、そもそもインドネシアがどんな国かということをまず始めにご紹介したいと思います。
3.インドネシアってどんな国?
インドネシアは東南アジアに位置している国で、面積は日本の約5倍、15,000以上の島々からなる大きな国です。また民族・言語がとてもたくさんあります。宗教は9割の方がイスラム教ですが、キリスト教やヒンズー教、仏教などを信仰している方もいて、多様な民族と多くの宗教が共存しており「多様性の中の統一」というスローガンの下、どんどん発展している国です。
また食べ物もおいしく、バティックというインドネシアの伝統的な衣装はとても素敵でした。そして私が一番印象に残っているのは自然が豊かであることです。
インドネシアには3,000,000ha以上のマングローブがあり、世界最大の面積を占めていると言われています。このマングローブとは一体何かということですが、インドネシアの特に海岸沿いに暮らす人々にとって非常に重要な役割を果たしているので、まず初めにマングローブについてお話ししたいと思います。
マングローブは海水と淡水の入り混じるところに生育していて、簡単にいうと海の中に生えている木のことです。このマングローブは高波や高潮などの自然災害から海岸沿いに住む人々の暮らしを守るとても大切な役割を果たしています。そしてその重要性は人間にとってだけではなくて、生き物にとっても非常に重要です。
「生き物のゆりかご」と言われているほど、カニや魚、鳥などの重要な棲み処になっています。
このようにインドネシアは、民族も自然環境もとても多様な国であることがお分かりいただけたかと思います。
4.インドネシアで何が起こっている?
次に、実際にインドネシアではどんな環境破壊に何が起きているのか、何が起きているのかについてお話しさせていただきます。
まず写真を見ていただきたいのですが、これからお見せする写真はインドネシアの海岸沿いにある村や地域の写真です。見ていただいてわかるように家が半分浸水してしまっている状態です。
こちらの写真に船が映っているのがわかると思います。以前は、この場所も歩いたり車を使って移動していましたが、現在は水が引かないため学校に行くにも買い物に行くにも船を使って移動している状況です。
学校は子どもの胸の高さまで浸水していたり、水が引いたあとは床が泥だらけになってしまっていて、とても子どもたちが勉強できる環境にない状態となっています。実際に子どもたちは学校に勉強しに行くのではなく、片付けや掃除をしに行っています。
これまで見ていただいて分かるように、インドネシアの海岸沿いの村では、現在深刻な浸水被害が起きています。私たちが生まれた西暦2000年前後から浸水が起こるようになったと言われていて、満月で満潮になるとこのような浸水が頻発してしまっています。私も実際に見てまず1番に衝撃を受けました。そしてさまざまな情報が飛び交う中で、やはり実際に訪れて五感で経験することの大切さを改めて感じました。
5.なぜこれほどに深刻な浸水被害が起きているのか
次になぜこれほどに深刻な浸水被害が起きているのかについてお話ししたいと思います。理由はさまざまありますが、主に2つあると言われています。
理由①
1つは海岸沿いで生活する人々の暮らしを守っているマングローブが伐採されているからです。伐採されている理由もいくつかありますが、その中でも1番大きな理由とされているのが私たちがよく食べているある食べ物が関係しています。
その食べ物が何かを少し皆さんに考えていただきたいのですが、ヒントは日本の年間消費量が世界第二で昔から日本で縁起が良いとされているものです。それは何でしょう?
正解は「エビ」です。
エビというと、エビフライやサラダに入っていたり、またおせち料理で、腰が曲がっていることから長寿の意味を表す食べ物として縁起の良い食べ物されていることもあり、日本人は何かとエビを多く消費している国です。そして私たちが食べているこれらのエビは、インドネシアを始めとする東南アジアからの輸入に頼っています。
以前輸入されていたエビは天然エビでしたが、獲りすぎてしまったことで個体数が減り現在は養殖エビを輸入しています。その養殖池を作るために伐採されてしまったがマングローブです。マングローブは生き物のゆりかごと言われているくらい生物多様性が豊かなので、その分栄養もたくさんあるので、マングローブの養殖池を作るのに、とても最適な場所として使われてきました。こうして養殖池を作るためにマングローブが伐採され、それによって自然災害の被害を直に受けてしまっているのが現在のインドネシアの状況です。
ここは実際に養殖池を作るためにマングローブが伐採されている場所です。
理由②
もう一つ浸水被害が起きている理由として挙げられるのが、近年加速する気候変動の影響を受けているからです。
この写真は海のように見えますが、もともとは村があった場所です。この下には家やお墓がありました。しかし温暖化の影響によって海面上昇が起きて村全体がなくなってしまいました。温暖化の主な原因はCO2の排出だと言われていて、CO2の排出を主にしているのは、先進国の国々でもあるにもかかわらず、ほとんどCO2を排出してないような途上国が、現在温暖化による影響を最も受けやすい状態になっています。私もこの現場を見たときに、自分の生活が見えないところで社会問題に加担してしまっていることを感じました。
6.オイスカの住民の方々の暮らしを守るマングローブ植林活動
こうした問題がある中で、オイスカでは住民の方々の暮らしを守るマングローブ植林の活動を行っています。
これまでにインドネシアでは約3300haものマングローブが植林されてきました。また、マングローブを植林するだけではなく、人口防波堤を作り、グリーンインフラとグレーインフラを組み合わせることによる、住民の方々の暮らしを守る活動を行っています。
私も実際にオイスカの活動によって植えられていたマングローブの森を見てきました。この写真は一部ですが、一人一人の力によって一本一本丁寧に植えられて、これほどまでに大きな森に成長した姿を見て、すごく感動したのと、自然環境は人間の力によって簡単にを破壊できてしまうものである一方、自然を守るには、人間の力がすごく大きいということを身をもって感じました。
私も少しだけ植林の活動のお手伝いをさせていただきました。
こうして実際にマングローブ植林地に足を運んでみて思ったのは、オイスカの活動は、地域の方々との関わりを大切にしていて、1つの家族のようなコミュニティであることです。上の写真のインドネシアの方々は、有志で集まってくださっている植林グループの皆さんです。人と自然が共生して関わり合うことで、人と人との関わり方やつながりも生まれることを感じました。
これから私がどのようにこれらのさまざまな経験を生かしていきたいかについて、最後にお話しさせていただきます。いろいろな現場を見てきて、より一層国際協力や環境保全に関わりたいという気持ちが強くなりました。
7.これまでの経験をどのように活かしていきたいか
現在大学4年生で来年社会人になる時期に、今の自分にはあまり専門的な知識や技術がないということを感じたりとか、これからの生活や暮らしのことを考えていく中で、やはり新卒1年目で国際協力携わることは難しいことなのかもしれないなどと考えてモヤモヤしていました。
この時に都内のSDGs映画祭というイベントに参加し、その時のことが私の心を動かしました。キリバスという太平洋のど真ん中にあり、2050年に国のほとんどが水没してしまうと言われている国の国籍を持つ日本人の方とお会いする機会があって、その時に言われたある問いが非常に印象に残っています。それは「2050年にキリバスが実際にほとんど水没してしまい、そこに住んでいる子どもにもしこのようなこと言われたらどうですか?」という問いでした。
その問いが、「私たちがこうなることを知ってたんでしょ?今まで何してたの?」という問いでした。この時に私は、やるしかないなと思いました。このように思えたのは、やはり自分自身が国際協力や環境保全に携わっていきたいと言う気持ちがあるからだと思います。また、こうしていろいろ考えすぎて、結局自分のやりたいことに挑戦できないことは、とてももったいないことなのではないかと思いました。
皆さんの中にも国際協力に興味あるけど何からやれば良いのかわからない、自分のやりたいことがわからないと感じている方もいらっしゃるかもしれませんが、あるがままの自分を大切に自分のやりたいことをやっていける、そういう人が増えたら私も嬉しいです。
そしてやはり仲間の存在はとても重要で、切磋琢磨してお互いを高めあって、一緒に社会を良くしていこうと励まし合える仲間がいる事は私の背中を押してくれる存在です。なので今回のこのイベントで何か皆さんのつながりのきっかけになればとても嬉しいです。
ご静聴有り難うございました。
後編に続く