12月8日~18日、じつはタイに出張していました。
10ヵ年計画が終わるまでは行けないだろうと思っていましたが、前倒しで実現。
目的は、第2次海岸林10ヵ年計画(2021~2030)と並行実施を検討することになった
ECO-DRR(Ecosystem-Based Disaster Risk Reduction・森林など生態系を活用した
防災・減災)の案件形成に向けた情報収集。
北部タイ・チェンライ県では、オイスカが山岳民族3村で展開する森林再生と
生活向上プロジェクトを含む、1992年から取り組んできた歴代造林地約262haの視察。

チェンライ県の1992年植栽地を愛でる最前線の仲間たち。彼らは新しい造林地で年4回、草丈3m、親指2本の太さの下草刈りも取り仕切る。気が遠くなるような、はげ山地帯にあります

チェンライ県の1992年植栽地を愛でる最前線の仲間たち。彼らは新しい造林地で年4回、草丈3m、親指2本の太さの下草刈りも取り仕切る。気が遠くなるような、はげ山地帯にあります


バンコク南西では、県による海岸浸食対策のマングローブ再生現場の視察。
南部タイ・ラノーン県では、オイスカが2000年から取り組む2,000ha以上のマングローブ再生
南部タイ・パンガー県では、今後の候補地の視察。
海岸浸食をマングローブで食い止めるために、竹で防潮柵を築く。海の下にはマングローブの苗

海岸浸食をマングローブで食い止めるために、竹で防潮柵を築く。海の下にはマングローブの苗


11月あたりから、カラダが二つになったような感覚ですが、立場上このぐらいやって当然。
10年前、タイ駐在代表の春日さんと、オイスカタイ総局事務局長のヤットさんの結婚式以来の海外。
いろんなことを突貫工事で勉強してゆく毎日。いまも、2011年津波直後のような気持ちです。
村々での意見交換会や、森林行政(天然資源環境省)の住民説明会に5回も加わることができました。
ラノーン県の新しいマングローブ造林候補地の一つでの政府による住民説明会

ラノーン県の新しいマングローブ造林候補地の一つでの政府による住民説明会


詳しくは、「タイ駐在員のブログ ネコとお仕事の話」に書いてもらってます。
https://ameblo.jp/oiscathai/
私の社会人最初の後輩、駐在代表の春日智実さんです。
信じられないかもしれませんが、オイスカと政府が協力し、多くの日本人のサポートと地元の努力で、疎林をこのように再生しています。まだやるべきところはたくさん

信じられないかもしれませんが、オイスカと政府が協力し、多くの日本人のサポートと地元の努力で、疎林をこのように再生しています。まだやるべきところはたくさん


これらの出張報告は、2月27日~3月10日のフィリピン・北部ルソン出張と合わせ、
オイスカ本部ブログに3月中旬以降から寄稿しようと思います。
フィリピンから帰ったら、名取のボランティアの日が待ってます。
モニタリング調査報告も公開します。準備は順調にできてます。
その結果は、第130回日本森林学会in新潟での森林総研シンポジウムで発表します。

松葉の思い出

2019年2月23日( カテゴリー: 本部発 )

広報室の林です。

ちょっとお休みネタを。

先日こんな素敵な和菓子をいただきました。
matsuba2
松葉の押しの型がついていて、上には本物の松葉も。
「松葉は生葉を使用しております。召しあがれませんので、ご注意ください」
との注意書きがついていました。

松葉はよく日本料理のあしらいにも使われます。
そこで思い出したのは、Yの松葉紛失事件……。

お茶仲間が、とあるお祝いのお茶事(懐石料理を準備しての食事の会)を計画しており
私が裏でお手伝いをすることに。友人は「八寸に松葉で刺したぎんなんを用意したいけど
松葉が手に入らない」と。私も近所を歩いてみましたが、なかなか手に入りません。
近くの神社にあるマツの木はとっても背が高くて、青い松葉ははるか高い位置に見えるだけ。

そこで、名取の現場に出張中のYに「育苗場の周りのマツの葉を少し取ってきてくれないか?」と
相談したところ「お安い御用」と快諾。「ちゃんと取って封筒に入れた」との報告もありました。

matsuba

今はもう切ってしまいましたが、第一育苗場の防風柵の内側に植えてあったマツ(右)。森林組合のお兄さんたちの後ろ(左)に見える小さな苗が海岸に植えるために育てているマツ

……が、帰京して松葉が入った封筒を受け取ろうとすると、なんとその封筒を入れたリュックサックを
タクシーのトランクに入れ、降車の時に忘れてきたというのです。私は明日松葉を使うのに……。
結局タクシー会社と連絡がつき、リュックが戻ってきたのは3日後。
彼女に謝罪の電話を入れると「松葉風の楊枝を準備してあるから大丈夫!」と。

ただ、お茶事に向かう途中、お寺さんのお庭に背が低く手入れをされた松の木が目に入りました。
お願いしてすこし松葉を分けてもらおうと山門を入り、人を探すも見当たらず。
「ごめんなさい」と頭を下げて数本の松葉をブチっといただきました。

そうして用意した八寸がこちら。
matsuba3

無事お料理はできたものの、勝手に松葉をいただいてきたことがずっと心に引っかかり、
5年が過ぎた今も、こうした松葉のあしらいを見ると、後ろめたい気持ちが思い出されます。

それなのに、それなのに……。
にっくきYは、自分がタクシーに荷物を忘れ、その中に私から頼まれた
松葉が入っていたこともす~~~~~~~っかり忘れていました。
タクシーをはじめとする乗り物での忘れ物は、Yにとっては日常茶飯事。
いちいち覚えていないのも仕方がないのかもしれません……。

3月16日(土)ボランティア募集しています。
まだ申し込み少なく、あと70人ぐらいOKです。先程各方面にpushしました。
蔵王おろしも強いし、いつもながら寒いといっても、今年は暖冬傾向。
樹液もはやく動き出すことでしょう。

ということで、まずボランティアの仕事は「根踏み」。
吉田・浅野と、地元の大槻さんらとで巡視して必要個所を絞ってあります。
閖上の一部箇所や、2014年植栽地の中央部など。

閖上はまたゴミが投棄されています。拾わねばならないでしょう。
この前は、グレープフルーツの皮たくさん、ネギなど生ゴミ・・・

区長会連合会さんから「植樹祭がなくなっても、手伝いたい」と嬉しい連絡がありました

区長会連合会さんから「植樹祭がなくなっても、手伝いたい」と嬉しい連絡がありました

そして、溝切。
最優先個所は、工事中の閖上サイクルセンター東、2018年植栽地約0.85haの多湿対策。
去年は少雨の年でしたので、植えたばかりの苗にとって、本当に幸運でした。
まず、防潮堤横の作業道180mに沿って3Lサイズを修復。
そして梅雨入り前までに、南北3列180mの防風柵の下にあるLLサイズ溝の修復。
と同時に、東西のLかLLサイズ溝60m×5・6本以上を新設。
6月中旬までは、これに時間をかけます。

溝切最優先地。2か月降雨なしでも、掘ってみれば1m下に滞水あり

溝切最優先地。2ヵ月降雨なしでも、
掘ってみれば1m下に滞水あり


 

終了後は、3・7・11月定例の懇親会あり。
懇親会参加希望の方は、あらかじめ連絡くださいね。

今年も抜かりなく頑張ります!

閖上で散歩していた犬

閖上で散歩していた犬

津波からまもなく8年。
年末に松島森林総合の佐々木さんからオイスカ本部に
猪肉ブロックを送っていただいて8年。
私が津波直後、最初に電話した人です。

猪を仕留めたのは松島森林総合の職人の鈴木純子さん。
おなじく8年のお付き合いを名取の現場でさせていただいています。

今年は猪年。

年が明けてから、いつも通り焼肉と猪鍋と2日に分けて、
約40人のスタッフとともに昼飯で。

野菜など買い物までは自ら進んでやっていましたが、
事情で調理タイムに遅れ、全部海岸林女子が。ごめんね。

KIMG0666

全解凍されていない冷たい肉を
事務所一の冷え性である和代さんが全部切ってくれた!

年に一度のこと。一杯やりながら…ではなく、自分で焼きに専念して、ご飯も食べず、
肉だけに専念して1時間食べ続けました。
焼きあがったばかりのは柔らかいんです。
猪鍋はキノコたっぷり芋煮風に。

せっかく林業にも関わってるんだから、わが社の職員は定期的に猪肉をたべないとね。

 
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12月20日、育苗場では再生の会が、2020年度植栽用1年生苗木約35,000本に寒冷紗を設置。
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2019年植栽用の2年生28,000本には設置しません。大勢来てくれたし、35,000本と言っても、全面クロマツの育苗場のこれまでと比べれば楽なもの。作業は半日で終了。除草・散水・液肥散布・消毒・防風ネット修繕など通常業務は完了済み。
なんとなく決まった「今日の作業、ご苦労さま会」に、調査で植栽地に出ていた私も呼ばれました。まあ元気なこと。当然みんなで2次会へ。
 
12月13日~2月14日の2か月ほぼ降雨なし(合計5㎜)。
いくら冬でも、我々の育苗場は山砂ですから、これだけ乾燥が続けば散水しなければなりません。
1月23日、県種苗組合の会議に出席する佐々木統括と櫻井勝征さん、森さんらは来週の散水を検討しながら出発。
夕方、私が一人事務所にいると、窓ガラスを叩くような強さで1時間ほど降りました。
翌24日、気象庁仙台空港観測データを見ると、降雨ほぼゼロ。育苗場の上だけ降ったの?
佐々木統括も私も苗を見ましたが、コンテナ苗の下まで浸透していない。
来週29日再生の会がたっぷり水遣りと思っていたら、朝から「蔵王おろし」。
とても作業できる状況ではなく。30・31日、2度に分けてたっぷり散水。
最近は連日冷たい蔵王おろしですが、今年は暖冬と見ています。
ですので、連休前に植える腹積もり。今年の植栽地は仙台空港横の「北釜地区残存林」2.01ha。
ここに津波で生き残ったクロマツ樹齢120年クラスが約200本。
木の下なので植付は3,000本/ha。元の地盤だし、土壌は良いので施肥ナシ。
 
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2ヵ月以上ブログをお休みしてしまいました。ごめんなさい。
吉田は12月8日~18日、タイ最北部やアンダマン海に面した南部などへの、
10年ぶりの海外出張が入り、1月末まで日常の90%以上、海外案件に明け暮れていました。
それらはオイスカ本部ブログにぼちぼち投稿します。
ということで、この2ヵ月を振り返って名取の報告をします。
まずは、調査編。
 

2014植栽 名取2区No8の南

2014植栽 名取2区No8の南


11月9日、森林総合研究所東北支所による名取市海岸林の植栽基盤盛土の土壌調査。
特長ある7ヵ所を調査地と定めた作業の大詰め。
6月は「土壌管入計」という機材を使い、地下の硬度を計測。
11月は深さ1m以上の手掘り穴を掘削し、土壌を採取。総合的な分析へ。
我々は12月・1月に、その穴を活かして根の様子を確認。仙台森林管理署や宮城県庁の皆さんにも見ていただきました。この土壌調査結果と、オイスカが5年続けてきた生長モニタリング調査結果(ただいま分析中。3月中旬に完了予定。海岸林HPで公開)と合わせ、3月20日の第130回日本森林学会大会(新潟市)の、森林総研によるシンポジウムで報告します。将来、全国各地で人工盛土による海岸林造成を行う場合の知見とするために。
 
 
 
 
私は再度1月29日~名取入り。30・31日に調査で掘削した7ヵ所の穴を活かし、根がどこまで伸びているか、清藤先生・佐々木統括・森林組合の佐々木君・オイスカ浅野さんたちと、松を掘り取って記録しました。
3月に始まるボランティア受け入れの打合せも佐々木統括と始めました。溝切りの最優先個所や、根踏み必要個所の絞り込みも始めました。盛土保護用ネットが破れた個所もきれいにしようと思います。留め具の釘が危ないので、ボランティアで釘の引き抜きを受け持つことになりました。
 
 
2016植栽 閖上No18南

2016植栽 閖上No18南


2017植栽 東側排水路北端

2017植栽 東側排水路北端


2018植栽60m東西道の北

2018植栽60m東西道の北

広報室の林です。

こちら、第一三共グループの社内報。
「海岸林再生プロジェクト」の取り組みをご掲載いただきました!

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第一三共さんは、20年以上、特別法人会員として
オイスカを支えてくださっている企業さんです。
プロジェクトにも2012年度からご支援いただき、現場にも社員さんが
ボランティアに来てくださっています。

皆さん、大変な作業でもいつも楽しそうに取り組んでくださっています。
こちらの広報誌の取材に来られた担当の方も、取材の傍ら作業に加わり、
汗を流していたのも印象に残っています。

ボランティアに参加した社員さんの声も掲載されています。
ぜひご一読ください!

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クリックするとPDFファイルが開きます

今年も第一三共の皆さんの現場での活躍、期待しています!

今年も……!!!!!!

2019年2月5日( カテゴリー: 本部発 )

広報室の林です。

2月になり、待っていた知らせが届きました!

今年も……

 

大阪マラソン寄付先団体に選ばれました!

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今年もランナーを募集します!
今からトレーニングすれば初マラソンの方も大丈夫。
今年はコースが変わるのだそうです。
過去に走った方も新しいコースで再チャレンジしてみては?

また秋に向けての楽しみができました。
皆さん、一緒に大阪マラソンを盛り上げてください!

秘密の遊び!?

2019年1月25日( カテゴリー: 本部発 )

広報室の林です。

現場に動きのないこの時期、ブログでの発信がおろそかになり
申し訳ありません。さらに久々の投稿がこんなネタですみません。

今日は「海岸林再生プロジェクト」の担当女子たちが
朝からこんなものを広げ、何やら作業をしています。
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ほかの部署のスタッフたちも集まり、協力しています。
こんなふうに手に色を塗り……
DSC_1020

ペタッと。
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こんなにたくさんになりました!

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さて、これは何の作業でしょうか?
ええ、遊んでいる訳ではないのですよ。
「海岸林再生プロジェクト」に関係するある作業です。

これが何になるのか、完成まで秘密にしておきます!
お楽しみに!!!

宮城つながる森業交流祭ご報告

2018年12月4日( カテゴリー: 本部発 )

広報室の林です。
遅くなってしまいましたが、11月19日に開催された宮城つながる森業(もりりょう)交流祭
に行ってきましたので、内容等ご報告いたします。
行事は今年の4月に「みやぎ森と緑の県民条例」が施行されたことを記念して
県が中心となって行われたもの。
1部の講演会、2部のシンポジウムのほか、ポスターセッションで構成され、
オイスカは吉田がシンポジウムのパネリストとして登壇したほか、
ポスターセッションにも参加しました。
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驚いたのは、会場いっぱいに人が集まっていたこと。
400人ほどが参加したようで、とてもにぎわっていました。
“交流祭”と“祭”の字があるのも納得。
DSCN4212
講演やシンポジウムに登壇した県内を中心に活動する各種団体の皆さんのお話を聞いて
宮城ならではの森林の再生、林業の活性化の形があるのだなぁと感じました。
オイスカでは、企業との協働で国内の森づくりを進めており、都内を拠点にする企業さんの
多くはフィールドを山梨県や埼玉県などの近隣県に求めて活動しています。
例えば山梨県のある自治体で活動する企業は、そこの森が東京や神奈川の水源林になっている
ことから、その保全活動に社員を参画させるような取り組みをしており、自治体をまたいで
“森と都市”とをどうつなげるかということが大きなテーマになっている側面があります。
しかし、宮城では仙台という大消費圏を抱え、県内に“森と都市”が共存しているという違いが
あることを感じました。
そしてもう一つは震災復興と切り離せないということ。
震災による木材の需要、新たな林業の形の模索といった点もそうですが、
吉田がパネリストとして参加した意義もそこにあったと思います。
DSCN4191
プロジェクトは、ただ単に津波で失われた海岸林を元通りにするという
ものではないことは、支援者者ボランティア参加者の多くの方に
ご理解いただいているのではないかと思います。このプロジェクトは、
活動の中で行われるさまざまなレベルの人材育成、それを通じた“林業”の復活を
実現できるものだということが、今回の吉田の話から会場にも伝わったように思います。
一番のポイントはきちんとした“技術”に支えられたものでなくてはならないということ。
誤解を恐れずにいうと、“自然”“森”といった多くの人が親しみを持ち、
参画しやすい分野のものは素人が間違った知識や感情で発言・行動をすることも多いように思います。
“プロ”の高い技術が支える現場に来るボランティアに求めるのは、
“お遊び”でない覚悟と真剣に学ぶ姿勢であることを訴えました。
(写真のスライドには「ボランティアを“戦力”と考え、お客さん扱いしない。
そのために説明を尽くす」ということが書かれています)
そしてプロのレベルでの技術移転、人材育成も進んでいることも大きなポイントです。
佐々木統括は月刊「OISCA」11月号に掲載した座談会でも触れていましたが、
プロジェクトの植栽を前に行った森林組合の技術者50人を対象にした研修会で
「植林をしたことがある人」に手をあげさせたところ、3人しかいなかったそうです。
日本の森林の現状から考えると全国で同じような状況でしょう。それが、震災後の
海岸林の大規模再生の現場では毎日何百本と植える人材が必要となるのです。
統括からは“思いがけない技術伝承の場となった”との言葉を聞いたこともありました。
森林組合の若者たちも「こんなに植えられる現場はここだけだから」と、
たいへんな作業を、研鑽の場と捉えているようです。
だからこそプロとそれを支えるボランティアの役割をはっきりさせ、
お互いがその力を思う存分発揮できるよう、自己研鑽にも努めることができるのだと思います。
植えたい気持ちはあるけど、植えられないと分かっているボランティアにきて、
暑い中一所懸命にクロマツのお世話を
……とりとめのない話になりましたが、森って本当に奥が深い。
“多面的機能”などという言葉では表現しきれない力を持っています。
まだまだ勉強することだらけ。
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