「奇跡の一本松の根」展 ~東京・来年2月9日まで~
吉田です。
岩手県陸前高田市「津田松原」(8haの市有林)の「奇跡の一本松」の根(実物)が、一般社団法人倫理研究所 紀尾井清堂(東京都千代田区紀尾井町3-1)で2023年2月9日まで展示されています。入場無料で、予約制です。詳しくはコチラより。https://www.rinri-jpn.or.jp/news/16815/
私たちオイスカ東京本部海岸林チームは、全員見に行きました。再生している海岸防災林を、この松のようにしっかりした根を持つクロマツに育てたいと考えています。一人でも多くの方に直接ご覧いただけたらと思い、ご紹介させていただきました。
ちなみに、「奇跡の一本松」は樹齢173年、樹高27m、胸高直径87㎝、根周り半径は最大10m、根の深さは2m、アイマツ(クロマツとアカマツの混種)です。
本部・啓発普及部の林です。
今回現場視察中に私の目に留まったのは……
サヤエンドウ!!
……ではなく、エニシダの実(種というのでしょうか)。
収穫したものが置いてあればサヤエンドウだと思ってしまいそう。
こんなにたくさんの実をつけているのだから、
これが食べられたらいいのにと思いましたが
(何でも食べたがる、食い意地のはった人間なのです……)
調べたところ、「木全体に毒がある」と……。
残念。
そういえば、日本三大有毒植物の一つである
「ドクウツギ」の実も色づいてきていました。
(写真は一昨年7月に撮影したもの)
おいしそうな色や姿をした植物やきのこがたくさん生えている現場ですが
愛でるだけで、口に入れない方がよさそうなものばかりです……。
3年ぶりのボランティア!②
引き続き、ボランティアレポートです!
6月11日の午後からはANA労連の方々が75名も!
初めての方も多かったですが、しっかりと溝切りをする意味とやり方を理解してもらったうえで作業開始。2018年に参加してくれた女性は「ツルマメだと思ってましたぁ…」と予想外の力仕事に驚いた様子でしたが、慣れないスコップに悪戦苦闘しながらも一生懸命取り組んでくれました。(2018年の作業はツルマメの抜き取り、2019年は溝切りでした)
午前に続き、スコップが入らないところもちらほら…。自然とツルハシ専門になってしまったOさんがあちらこちらで頑張ってくれていました。ツルハシお願いしまーす!の声で駆け付けたOさんを見て、「ツルハシさんって名前なのかと思った…」という方が現れるくらいでした…笑
作業も終盤に差し掛かったころ、林がツルマメ繁茂エリアを発見し、ツルマメ隊を結成。力仕事が辛くなってきた方やほかの作業も体験してみたい方が参加して、ツルマメの抜き取りが始まりました。ツルマメがまだ小さく、クローバー繁茂地帯でもあったため、最初はどれがツルマメか分からない…と言っていた方も段々と見分けられるようになり、「これならずっとやっていられる!」との声も聞かれました。(ごめんなさい。写真撮り忘れました…)
1度分かってしまうと、なぜかすぐに目に入ってきてしまうのがツルマメの悪いところ(いいところ?)。あちらこちらから主張してくるから困ったものです。今回溝切りをしたエリアはツルマメがたくさん。まだ小さいので、あまり目立ちませんが梅雨の晴れ間にぐんぐんと伸びることでしょう…。残っている分は7月に来る予定のボランティアの皆さん、よろしくお願いします!
ANA労連の皆さん、お疲れさまでした!次の日に支障が出るほどの筋肉痛になっていたらすみません…。これに懲りずにまた来年もぜひご参加ください。お待ちしてます!!
こんにちは、浅野です。
海岸林の現場では思わぬ再会がよくあります。
これまでにも学生時代の同級生や家族、親戚との再会に「こんなところで会えるなんて…」と驚く様子をお伝えしてきました。
6月11日にボランティアに来てくれたANA労連の方々の中にはこんな再会がありました。
ANA労連の正式名はANAグループ労働組合連合会、ANAグループそれぞれの会社の労働組合が加盟しています。
写真のお二人の胸元に貼ってあるラベルには違う組合の名前が…。気になったので声をかけてみると、「元々同じ会社の同期だったんですけど、会社が分かれちゃって…久しぶりに会ったんです~」とのこと。お互い参加していることを知らず、当日顔合わせの際に気が付いたのだとか。休憩中には防風垣に座って話に花を咲かせていました。
海岸林に来ると思わぬ再会が果たせるかも!ぜひ皆さんボランティアにお越しください!!
3年ぶりのボランティア!①
お久しぶりです。浅野です。
今回は3年ぶりに!化学総連48名(6/10PM~6/11AM)とANA労連75名(6/11PM)のボランティア受入れということで、3か月ぶりに名取に出張してきました!
(久々の大所帯に受入れってどうやってたっけ?とちょっと考えてしまいました…)
前日までの予報は曇りのち雨。6月10日、予報通り午前中から曇っていました。
吉田、林の2名がバスに同乗して説明をすることになったので、私は指導者として来てくれた地元リピーターの皆さんと作業場所に先回り。作業をしつつ「このぐらいだと作業日和なんだけどねぇ」と言いながら到着を待っていると、お日様が…。バスが到着したタイミングで晴天。
晴れ男(参加者は全員男性でした)がたくさんいたみたいです。笑
作業は防風垣を持ち上げて、溝を掘り下げる・溝の雑草をひたすら抜く、繁茂したクズの駆除などでした。吉田班・林班・浅野班の3班に分かれて開始。さすがのパワーとスピードで、予定していた作業を終え、プラスαの作業もしていただきました!
2日目も雨に降られることなく、ひたすら溝切りに徹していただきました。場所によってはスコップが入らないほど固い所もありましたが、その道のプロかと思うほど手慣れた様子でツルハシを使い、作業を続行。終了後の溝を見て、吉田も「怒涛の働きっぷり。会心の出来」と大絶賛でした。
「午後も残って作業します??」という質問には誰も首を縦に振ってくれませんでしたが…また来年もお待ちしてます!!
大型バスがやってきた!
本部・GSMの林です。
コロナ禍で、密を避けながらのボランティア活動が続いていたこの2年。
一つの団体で何十人という参加者がやってくるボランティアの受け入れはできませんでした。
6月2日、カネボウ労働組合から30名を超えるボランティアさんが現場に来られました。
東京からは吉田一人が現地入りして対応する予定でしたが、「バス2台」「女性が多い」ことから
急きょ私もサポートに入ることになりました。バス2台が現場に入るのは久しぶりのこと。
(前日まで吉田と共に富山出張していたため、富山からの移動となりました)
バスから降りてきて参加者の皆さんと一緒に説明を聞いたりと
“参加”している感が強めの運転手さんたちで、なんだかうれしい気持ちでした!
途中で大雨が降ってきたり、雷も聞こえてきたり。大急ぎでバスに避難。
すぐにやんだので、虹が出るかなぁと期待していたのですが……残念。
この日、皆さんは夕方6時までの作業予定。
普段のボランティアなら作業を終え、終わりの会も終え、
片付けも終えてとっくに解散している5時にまだまだ作業は続いています。
恒例のたそがれタイム(作業後に防潮堤の上でくつろぐ時間)は、
まさに「たそがれどき」にまったりと過ごすことができました。
くつろいでいる時間も、カネボウの女性たちは指先まで美しい!!!
最後は現場のゲートを出てから2020年度の植栽地で最後のまとめ。
(私はうっかりツルマメを見つけてしまい、それを抜くのに夢中になってしまいました)
盛土の上から皆さんをお見送り。
この位置でお見送りをするってなかなかないことかもしれません。
カネボウ労組の皆さま、おつかれさまでした。
皆さんがお世話をしてくださったクロマツが、どんな成長をするか、
また見に来てくださいね~~!!
空路、仙台空港に降りるときの機窓から見える海岸林
吉田です。4月末から、大阪での支援者対応、オイスカ四国・西日本研修センターの手伝いなどに出て、5月12日、久しぶりに空路で宮城に入りました。本当はすぐに動画でお伝えしたかったのに、できませんでしたので、遅くなりましたが写真だけでも・・・
仙台空港の滑走路には、海を通らずに山側から入る時もありますが、海から入ることが多いように思います。ここまでの写真は、山を通って海に出るまでの写真です。その後、海の上で旋回して、滑走路に向かいます。
旋回し終えて、名取の海岸が見えてくると、あっという間です。残念ながらその動画を載せることが出来なかったので、文字だけで。動画は「吉田俊通」のFacebook(5月16日)にありますが、1分以内で終わります。
両側の機窓から見えるのが、名取市海岸林(全長5㎞)です。わずかな時間ながら、楽しんでもらいたいなあと思います。下の写真は、海から入った時、進行方向に向かって右側の機窓から見た、名取市海岸林の北半分の写真です。もし、いい写真や動画が撮れたら、kaiganrin@oisca.orgまでご提供いただけたら嬉しいです。
治山治水、河川利用、農業用排水等の水利用に関する研究成果等をまとめた「水利科学」誌No.375(2020年10月)に掲載された、佐々木廣一オイスカ名取事務所統括の論文(全21頁)がJ-stage(文部科学省所管の国立研究開発法人科学技術振興機構が運営する電子ジャーナルの無料公開システム)に公開されました。育苗・植栽・保育について詳細に記述されています。
名取市海岸における海岸林再生植林等の取組み ──実行方法と生育状況── 佐々木 廣 一
宮城県外のボランティアが戻り始めています
吉田です。コロナ禍の2年あまり、ボランティア・プロともに宮城県民中心で続けることが出来ました。やるべきことも精一杯出来ました。ですが、もっとやりたいこともありました。
今期は、プロジェクトを深くご理解・ご支援くださってきた各地の労働組合や、広島、佐賀、愛知、富山などオイスカ地方組織の来訪やツアー決定の動きがあり、5・6・7月の間で早くもほぼ全県から名取に来て下さる予定です。もう一言加えると、男女バランスも申し分なく、年齢も10代から80歳代まで。
松の上方生長は、今期も申し分ありません。いまは、上に伸びる時期です。無数の穂が、ヒョロヒョロっと、でも勢いよく、空に向かっています。雄花も雌花(松は雄雌同株です)もちょうど咲いています。
この夏は、クズ(葛)との戦いになります。プロの前に、ボランティアが先行する形の、2段構えです。「1度出てきたら、7年覚悟」の類の難敵です。1発で駆逐完了!ということもたまにはあるのですが。
とくに久々来たリピーターの方には、ガンガン働くだけでなく、散策しながら味わう時間を、出来るだけ取ってあげたいと思います。前に来た時は、どこで仕事をしたか、わからないかもしれませんが、現場を味わって、楽しんでいってもらいたいですね。頑張るだけでなく。
「一期一会」の気持ちをもって、ボランティアの皆さんを心からお待ちしようと思います。宮城県などの皆さん、京セラ労組、カネボウ労組の皆さん、ありがとうございました。今週末の化学総連、ANA労組連合会の皆さん、楽しみにお待ちしております。
後世に伝えるべき治山60選 ~富山県入善町海岸防災林①~
5月31日と6月1日、オイスカ富山県支部活動報告会に参加する出張の際、2012年12月に訪問して以来2度目の、入善町海岸防災林を再訪させていただきました。オイスカ緑化技術参事の清藤城宏先生、元日経新聞論説委員の小林省太アドバイザーもここを訪問しています。本数調整伐の伐採計画を検討する際、海岸林最前列のクロマツの直立具合(風の影響度合い)などからも、富山県の指標が参考になると考えました。入善町以外にも富山の水循環システムなどをご案内いただいた北陸電力(株)新川支店長で元オイスカ富山県支部事務局長の荒木さん、突然の電話質問にお答えくださった県職員のみなさまに御礼申し上げます。
この地は、東京大学名誉教授でオイスカ顧問の太田猛彦先生が選定委員長となった「後世に伝えるべき治山60選」(林野庁)https://www.rinya.maff.go.jp/form/kouseinitutaeru.htmlに選ばれている場所でもあります。また、「日本三大浸食海岸」で、明治時代から1世紀で200世帯が移転せざるを得なかったという論文もありました。海岸近くまで田畑が張り出す形となり、昭和に入って潮害(塩害)にたびたび見舞われ、昭和60年(1985年)から海岸防災林造成(全長7㎞、林帯幅約30m、計21haの計画)が本格着手して今に至ります。海岸林が形成される前、「稲の平均反収の50%の収量」が、海岸林から30m~60m地点では「80%に回復」し、60m~90m地点では「100%に回復」したという論文もありました。目に見える成果を上げたことや、2014年の「世界で最も美しい湾クラブ」認定(富山湾)、東日本大震災で海岸林が再考されたこともあったのか、いまも海岸林の拡幅・拡張が続いていました。造成の途上で、農地に対するカメムシ害、冠雪害、2014年ごろをピークにマツクイムシ被害もあったようです。
植栽から20~30年の海岸林はあまり見たことがありません。先を行く先輩を見に行くような気持ちでした。あまり長く書いてもいけないので、写真でご容赦いただくことに・・・10年前の、2012年撮影の写真も使い、植栽年度が新しい現場から順にお見せします。長い時間をかけて、継続されている事業だということがお分かりいただけたらと思います。