がれき処分場のリサイクルの核心部である「2次仮置場」を中型バスに乗り、つぶさに見ることができました。
そのまま、名取市海岸林跡地、北部全体の広大な「1次仮置場」へ。
大まかに分別されているものの、依然として、延々がれきの山が残っています。
ここには震災前に、4階建ての閖上サイクルスポーツセンターを起点として、クロマツを縫って走る広大なサイクリングロードがありました。
第一育苗場から程近く、現場視察来訪の方を、ときにご案内している「愛林碑」にまで繋がっていました。サイクリングロードは復活したいという市の意向は当然ですが現実化するのは先なのだと思います。
震災から数ヵ月、がれき置場にするために、名取市北部沿岸で倒伏したクロマツは最優先で撤去が始まりました。それからまもなく2年が経ちます。
バス車内でも、「林野庁」「クロマツ」「盛土工事」という説明が随所に加わります。
車中のどなたかが「ここに木を植えるんだから大変だ」と言っていました。
我々、それは覚悟の前。
奮い立つような気持ちがわきました。
6月14日(金)・15日(土)クロマツの「めんこい」発芽視察ツアーの締切は5月23日です。
http://www.oisca.org/kaiganrin/985
いつもはなかなか難しいのですが、いずれも午後の半日、現場一同、説明に徹します。
4月20日に播種したクロマツの、まさにこの時しか見れない発芽したての「めんこい」姿と、 「これを来年春に植栽するのです!」という、育苗場全面に広がる1年生クロマツをご理解とご支援いただいた多くの方に、見ていただきたいです。
仙台空港会議室をお借りして、当プロジェクトの現状や、行政当局から復興事業の 状況報告をしたのち、盛土工事現場の視察等を行い、第一育苗場で苗の様子を じっくり説明します。
「笑顔咲くたび伊達な旅」仙台・宮城DCキャンペーンも真っ盛り。
観光にも良い季節ですよ。
http://www.sendaimiyagidc.jp/
日露首脳会談がありましたが、当プロジェクトにも初めてロシアの方が。
オイスカは国連・経済社会理事会の最高諮問資格をもっており、
その関連で同理事会のNGO課長、アブラモフさん(ロシア人)が
オイスカ中部日本研修センター(愛知県豊田市)を経て、
4月18日に名取入りしました。
アブラモフ課長は国連勤務38年で、初めての来日。
勤務地のニューヨークでは東日本大震災といっても
すでに風化していることでしょう。
現場は移植作業の佳境、真っただ中。現場を止める訳にはいかないので、
少し緊張感がある朝の打ち合わせをオブザーブし、続く作業にそのまま
加わっていただきました。寒さを気にする素振りナシ。
「ロシアにもクロマツはある」などと、笑顔で作業に参加。作業後は被災した住居見学を経て、市長を表敬。市長から「家一軒の瓦礫は5tと考えてください」などとじっくり説明を受け、 そのまま、市役所横の我々がよく行くラーメン屋で昼食。
その後は、ガレキ処理場を隅から隅まで視察する機会を得て、夕刻、市役所の皆さんとともに、もう一度育苗場に。
国連の中枢の方に、復興への奮闘の模様を体で感じていただきました。
公共工事だけで進めれば良いかもしれない海岸林の再造林に、 なぜ住民やNGOが参加するのか?これが課長の質問の核心部分なのは当然。
これはじっくり説明することができました。「日本は偉大。新しい教訓を得るに違いない」というコメントもありましたし、別れ際に握手した時、「勇気づけられた」と言ってくださいました。
翌朝はニューヨークへ。遠路、ありがとうございました。
災害廃棄物処理業務 名取処理区
名取市海岸林跡地北端は、旧閖上漁港と名取川河口横で、目下ここは、「名取処理区2次仮置場」として、来る日も来る日も24時間焼却処理が続けられてきました。
名取市海岸林跡地の北半分は、がれきの第1次仮置場と2次仮置場です。今は、「災害廃棄物を究極に近い形でリサイクルする」仕事が続けられており、
平成26年3月末には、その業務が終わる方向です。当然、盛土工事はがれき処理が完了した後にはじまり、いつか海岸林復旧が行われます。
いつも遠くに見える焼却処理の水蒸気を見て、「今日も頑張っているな~」と
敬うような気持ちで見ていました。第一育苗場からは、夜もその明かりや水蒸気が見えるのです。
とても我々が入れる場所ではありません。工事の邪魔になってしまいます。
ですが、市の計らいで国連NGO課長とともに初めて見学させていただきました。
阪神大震災では地震のみですから「全焼却」でしたが、
今回は「津波」が加わっているので、大量の砂と塩が混じっており、
砂を振るい落とすという、かつてない仕事が行われています。
2次仮置場6.6haには、災害廃棄物の種類や作業ごとに分かれ、
80人が従事しています。100人が土木、60人が廃棄物、20人が焼却の
いずれもスペシャリスト。「皆で悩み、考えながら」という説明が印象的でした。
「産業廃棄物とその清掃に関する法律」(通称:廃掃法)に基づき、適切に分別され、使うべきところに使われます。
ここにも人が……
風力と並行して、「手選別」の作業する場所です。 本当に頭が下がる現場ばかり。 ここの現場や、防潮堤工事に従事した人達にこそ、植栽の時に声をかけ、 参加していただきたいと常々思います。
ここで処理されたガレキの一部は、当然盛土の基盤にも使われます。
66年ぶりの雪
河北新報社の記事に、「仙台市内で4月21日以降としては66年ぶりの雪」と掲載されました。
http://www.kahoku.co.jp/news/2013/04/20130422t15015.htm
先日お伝えした第1育苗場での1年生クロマツ7万本、床替移植完了の翌日です。
想えば昨年4月末は、育苗場のお披露目式に150人以上来ていただきましたが、
その日もひどく寒かった。小雪が舞いそうなぐらいでした。
昨年3月、わずか3列に播かれた種子が、翌年には0.5haに床替され、いよいよ、 来年のこの時期、この7万本は、5,000本/haに植栽されます。
つまり、14haと一気に広大な地に植えられるのです。
しかし、床替されたものすべてが育つ訳ではありません。 1割ぐらいは育苗場ですぐに枯れてしまうかもしれません。そういう危惧もあって、4月19日と20日には、とても丁寧に植え直しの手も入れました。
この雪がどういう影響があるかわかりませんが、「やるべきことはやった」という自信があります。
すこし、気が抜けてしまって、GW前半は熱が出てしまい、ずっと寝込んでしまいました。
先日クロマツの播種を行いましたが、その日は事務所に赤ちゃんのにおいが!
赤ちゃんのにおいというのは、ベビーパウダーのにおいのこと。
冷凍保存していた種子を一昼夜水に浸し、十分に水を切った後、
ベビーパウダーをまぶしていました。種子同士がくっつかないようにするためでしょうか。
地元の皆さんは「お、赤ちゃんのにおいがする!」「あ~孫が生まれた時のこと、思い出すなぁ」などと楽しげに話していました。
意外なところで登場したベビーパウダーは、作業用のゴム手袋の中にも入れられ、サラサラ状態を保つためにも使われていました。今回私は手袋なしで作業をしたため、手がごわごわになってしまいました。次回はゴム手袋にサラサラパウダーを入れ、快適に作業したいと思います。
つい先日まで、育苗場はこんな様子でした。
それが、今は育苗場前面に苗を広げたため(実際にはここだけでは足りず、
この後ろ側にも、さらに事務所横にも移植しました)
スペースは約10倍になりました。
・・・ということは、水やりも草取りも消毒もすべて作業は10倍になるということ!

見てください!
この水やりの長い列。
今まで3列だったのが30列にもなってしまったので
長いホースを隣の列に移動させるだけでも一苦労。
しかも新しく種子を播いたので、その分の作業も加わると
10倍どころではありません。どんどん膨れ上がっていく作業に対応できるよう、育苗に携わっている「名取市海岸林再生の会」も少しずつメンバーを増やしているところです。
先日の移植作業中、苗にとっての敵を発見しました。
苗の根元にいる虫が見えますか??
「根切り虫」だそうです。
コガネムシの幼虫だと地元の皆さんから説明を受けました。
かわいそうですが育苗のために駆除しました。
ごめんね、コガネムシ。
昨年、「ヨトウムシ」のことがブログでも紹介されました。
これからも育苗の障害となる、いろんな敵が出てきます。
夏の暑い時期は、雑草とも闘っていかなければなりません。
本格的な育苗のスタートは、いろいろな闘いの始まりでもあります。
昨日に引き続き、広報室の林です。
19、20日に種子まきと移植作業を行ったことはご報告の通りですが、
今日はその翌日、小さなクロマツたちに降りかかった災難のご報告です。
・・・・・・なんと雪が降ったのです!
越冬した苗たちですから、もちろん雪は移植前にも体験済み。
でも、当時は密植状態でした。今回は1本ずつがそれぞれ独立して
積雪に耐えなければなりません。雪の重みで傾いている苗もありました。
寒さと雪の重みが、まだ小さいクロマツの苗にどれほどのストレスを与えているのか
わかりません。苗たちが、けなげに耐えているように見えたのは、
4月下旬のこの雪が寒がりの私にとっての試練だったというだけで、
実は彼らにとっては「恵みの雨」なのかもしれませんが・・・・・・。
本部・広報室の林です。
先週末は育苗場で床替移植作業を体験してきました。
7万本もの移植作業、一ヵ月ぐらいかかるだろうと担当の吉田から聞いていましたが、
約一週間ですべて終了してしまいました。19、20日とたくさんのボランティアさんが
現場にお手伝いに来てくださったことも大きいのですが、移植の効率化が可能になったのは
この「苗植え機」の活躍があったからこそ!
田植え機のように機械でどんどん植えていくのです。
トラクターの後ろに椅子が3つ並んでいて、写真のように座ります。
この写真では右に運転席があり、進行方向は右。座る人たちは後ろ向きに座っています。そして、苗を一本ずつ機械にセットしていくのです。人の手によってセットされたらあとは機械がポン、ポン、ポンっと植えていってくれます。
私もこの椅子に座り、体験させてもらいましたが、苗をセットするのもなかなかコツがいります。浅植え、深植えにならないよう、ちょうどいい位置に苗をセットしなければなりません。また、トラクターの進む速度に合わせ苗をセットしなければなりません。間に合わず、欠株を出してしまったり、反対に慌てると2本セットしてしまったり・・・。
でも大丈夫。トラクターの後ろに手直し隊が歩いてついてきてくれ、機械で植え損ねたところに植えてくれたり、2本植えてしまったところや深さが悪いところを手直しをしてくれたり。
機械の力はすごいのですが、やはり人の力もなければなりません。
「人の力」は、この手直し隊だけではありません。今回はボランティアの皆さんに手植えでも移植作業を体験していただきました。穴を掘り、1本ずつ植えていきます。機械のように早くはありませんが、手直しの必要がないよう丁寧に植えられていきます。(時々列が曲がったりして「性格が出るね~」と笑われたり・・・)
機械のスピード、人の目で確認しながらの手直しや丁寧な手植え。どちらも大切です。そしてこれからはこの「人の力」がもっともっと必要になってきます。将来、海からの潮風から人々の生活を守ってくれる大事なクロマツを、地域の皆さんが愛情をこめて育てているこの苗木を大切に扱ってくださる方々の力を借りて、これからも育苗を行っていきます!