まとめシリーズ② 名取市沿岸部、春の気候
海岸林として育苗する、植栽するという業務で最も難しい時期の
「春」について、この2年間感じたことをまとめます。
その厳しさを「襟裳岬の造林(NHKプロジェクトXでも放映)」
に例えて語ってくれた専門家もいました。
1「蔵王降ろしの凄まじさ」
寒風害そのもの。
蔵王降ろしとは、11月から5月第3週頃まで吹きすざぶ西風。
日本海を渡り、奥羽山脈を越え、風速を増し、刺すように寒い。
春先には瞬間風速30mを超えることも稀ではない。
その西風による、内陸からの飛砂の影響を思い知りました。
津波で周囲のすべてを失った荒野の真ん中、さえぎるものがない場所に 植栽された木を顕微鏡で見ると傷だらけという話も聞きました。
宮城南部は、地形的に山からの距離が離れており、 風の影響を受けやすいと感じます。
風が比較的静まる夜、工事の都合で一晩だけ育苗場防風ネットを 外したら、マツ苗が砂で埋没してしまいました。
名取沿岸部にだけ、内陸防風林が造成されたのが、よくわかります。
2「乾燥」
春先は降水量が特に少ない。寒風害に加えて、乾燥は海岸林造成の難敵。
床替移植したばかりの露地播き1年生クロマツを枯死させる元凶。
特に今年の3月は、0.5mmしか降水がなかった。
3「寒い!」
という人が多い。当然、東北より西から来られた方。
視察に来ても耐え切れなく、車に逃げ込んでしまう人も。
5月第3週ぐらいまでは防寒着が必要です。
宮城の内陸は気温21度、名取に戻ったら14度ということも度々。
また、気温の乱高下も激しさを感じた春でした。
来年以降は、この時期に皆さんが植栽するんですよぉー!
動いていれば寒くないのでご安心ください。
ただ、休憩のとき、避難する場所がない…… (どんまい)
仙台駅弁は日本一○○が多い
仙台の駅弁は日本一「種類」が多いのだそうです。
テレビの受け売りですが。
本当かな?
でも、多いのは事実。
このお弁当、仙台駅の駅弁屋さんで、ひときわ目立っていました。 テレビで取り上げられているのを見たので、帰りに食べようと決めていました。
出張の帰路、緑化技術参事の清藤先生、木村君もこの弁当を食べたそうです。 石巻で被災した水産加工会社等が手を取り合い、 季節に応じて、具の一品一品を出し合って この弁当を作っているのだと放送されていました。
気がついたら食べ終わっていました。
売れ筋、新名物に間違いないでしょう。
「具」一覧
・石巻産アナゴ焼き
・くじら大和煮の天ぷら
・三陸産いくら
・三陸産つぶ貝煮
・宮城産炙り牡蠣
・石巻産金華さば酢〆
・三陸産花小エビ
国際協力ボランティアの木村です。
先週の金、土曜日と宮城に出張してきました。
今回は海岸林再生プロジェクトで広葉樹(クリ、コナラ)の試験的な種まきを主に地元の方、 専門家、森林組合の方々と行ってきました。
育苗場での作業を終え、昼ご飯を食べ終わり、片付けなどをしていた時のこと。
「ゴゴゴーガタガタ」と音がして、急に地面が揺れ始めました。立っていられる程度でしたが、プレハブの事務所が「ガタガタ」と揺れたときは飛び跳ねるぐらいに驚きを感じました。
ラジオをつけたら、震度5で津波の心配はないということで、避難はしませんでしたが、東大日本震災規模の津波が来ていたら流されてしまったことでしょう。もし、名取事務所にいる時、地震がきて、津波警報が出た場合はやや高い位置にある美田園駅に逃げると助かります。
震度5の揺れには、正直、ビックリしました。しかし、なんの被害も遭わなかったため、そんなに地震に対して恐ろしさは感じませんでした。おそらく、そんな気持ちでいると命を落とすのだろうという気持ちもあります。
改めて思ったのは、海岸から近いところに位置する第一育苗場での仕事は、
命を落とすかもしれないという恐怖が少なからずあるということです。
未だに余震が続く東北、今後もアクシデントがなくプロジェクトが成功することを祈るばかりです。
昨年に続き今年も、山形のさくらんぼの販売収益の一部を当プロジェクトに ご寄附いただけることになりました。
販売元は全日空商事。ANAショッピングサイト「Astyle」からは、 2013年度「機窓」カレンダー収益の一部もご寄附いただいています。
http://www.astyle.jp/category/gourmet/sp/yamagata_cherry.html#02
我々にはこういう広報の力、気が遠くなるほど多くの顧客の輪はありません。
多くの企業や団体が、それぞれの持ち味を活かして、
「なぜ海岸林が必要なのか」を広報啓発してくださっています。
大きな組織だけでなく、全国の多くの方のあたたかい支援の輪が 広がっていることを、
寄附に添えていただいた一言やお手紙・メールなどから感じています。
今日からまた名取の現場に出張します。
たくさんの支援者の皆さんに支えられていることを、
いつも通り、現場の皆さんにもしっかりシェアしてきます。
できるだけ多くの方に少しづつご理解と協力をいただく。
できるだけ多くの組織と歩みをともにする。
そういう全体コーディネートをしてゆきたいと思います。
皆さん本当にありがとうございます。
まとめシリーズ① 初めてのコンテナ播種、終了!
現場統括の佐々木です。
日頃よりご支援いただきまして御礼を申し上げます。
5月9・10日、第一育苗場で作業を進めてきたマツノザイセンチュウ抵抗性クロマツ
13,500粒(300g)の、コンテナ565台への種まきが終了しました。
9日は講習から始まり、10日午前まで培養土詰めを行い、
午後から1つのポットに1粒づつ蒔き付け、
コンテナを苗畑に並べ、コモと寒冷紗で覆い完了しました。
第二育苗場でも9,000粒(200g)を375台のコンテナに播種する予定です。
昨日ブログでご報告の通り、おかげさまで発芽も確認されました。
今年の種は貯蔵種であるため発芽率が落ちることが予想されており、
種まきを3月に終了した県内の育苗農家からは、
「未だ発芽が見られず、大変心配している」との情報が寄せられていました。
無事発芽してくれほっとしております。
今週末、種苗組合講習会に、いつも通り再生の会各育苗場班長とともに出席します。
ニコン㈱からご寄贈いただいたカメラで作業を撮影したのですが、
まだ不慣れでお届けできません。写真不添付、あしからずご容赦ください。
そもそも、「コンテナとは?」
そのあたりは、後日吉田より。
名取事務所から電話がありました。
4月20日に播種した普通クロマツが、5月13日に芽が出たとのこと。 昨年は秋山君から電話を受けた直後、穴に片足落っこちたっけ。 (個人的思い出)
昨年は教科書通り3月末に播き、普通は3週間と言われているのが 29日もかかって発芽しました。
今年は異常な寒さを勘案し、少し遅らせて、地温が上がるだろう4月20日に播きました。
他地区の育苗農家も心配した寒さと、発芽の遅さでした。
まだ1㎡あたり3本ぐらいしか出ていないようです。
今年の種は広葉樹、針葉樹ともに不作。クロマツ種子は冷蔵保存モノのため発芽率は落ちると思いますが、しっかり芽が出るのを心待ちにしています。
今週末から現場です。
いろいろと現場レポート続けます。
*「寒冷紗」
野菜などの植物を覆う被覆資材。
遮光、遮熱、防虫、防鳥、防寒、保温、防霜、防風、蒸散防止の効果がある。
震災前なら、とっくに日焼けしていた時期なのに、
連休は犬の散歩に毛が生えた程度しか外出もせず、
ほとんどを家で過ごしてしまいました。
ブーイング浴びながら、松井秀喜のMBA全ホームラン175本のTVに没頭したり。
原人・裸族のような息子×2・娘×1の「獣電戦隊キョーリュージャー」の銃乱射にも
夜だけは完全無反応を決め込んで、読みたい本を一気によみました。
同じ本を立て続けに2度。
その本は、プロジェクトをご支援をいただいている企業経営者の方から 「是非読んでみて」「僕は涙が止まらなかった」と紹介いただいた、 出光興産㈱の創業者、出光佐三氏の実話「海賊と呼ばれた男」(講談社)。 目下、どこの本屋でも村上春樹さんの本と並んで「平積み」扱いですし、すでにご存知の方も多いかと思います。
ほぼ全て、今まで知らなかった昭和史でした。
「(戦争からの復興について)その道は死に勝る苦しみと覚悟せよ」
終戦直後、社員に向けて訓示したという序章の一行で着火しました。
ただ、心は仕事からoffへの切り替えが効かず、一つ、二つ気になることを抱えたまま。
私が気になっていた一つは、やはり床替後の苗木。
よっぽど、名取に行こうかと思ったぐらいに。
しかし、じたばたしても仕方ないし、電話すれば現場の休みにならないし。
床替直後、そして将来の植栽直後は、乾燥・寒風・強風に晒されるストレス。
現場統括の佐々木さんとは「どのぐらい枯れるモノだろうか」と床替のあとに話し、
1~2割の枯死は覚悟しつつ「やることはやったのだ」と思い、先月帰京しました。
連休明け、事務処理に追われるスーパーハウス(名取事務所)の3人を思いながら、
1日だけ間をおいて電話してみました。
Mさんの電話の最初の一声だけで覚悟した通りの現実を感じました。
僕ら育苗農家1年生ですね。心の中ではみんな泣いてます。
1980年。オイスカ・東北タイでの最初の植栽1年後の話もいつか紹介します。
「鳥も来ない荒野にてお坊さんが涙を流した」という名前の村にて、活着率10%というのが、 オイスカの初めての植林だったそうです。今は成林した森があり、一等米の産地に。
枯死の現実は、来週末以降、状況をよく見て、正確に聞いてからレポートします。
課題に向き合い、それを知っていただくのも、このプロジェクトの意義と考えています。
ここは生半可な現場じゃないのです。
皆さんと同様、つかの間の休みは終わりました。
また、これからもずっと、膨大な仕事とがっぷり四つです。
ですが、良い本との出会いで知り得た昭和史の一面と、戦後を乗り越え、
より良い日本を築こうとした人達の生き様を、胸にしまいました。
僕らのこの程度が何だ。
本部・広報室の林です。
東日本大震災後、津波で失われた海岸林を再生すべく、
オイスカは宮城県名取市を拠点に活動しています。
私が初めて現場に行ったのは2011年の7月。
それ以降、何度か足を運び、地元の皆さんとお話しする機会もあるのですが、
最近少しずつ宮城の言葉が聞き取れるようになってきました。
以前、インターンの秋山君がブログで「オガル」という言葉を紹介してくれました。
育つ、大きくなるという意味です。
そんな方言はまだまだ分からないものが多いのですが、
私が聞き取れるようになったのは「き」の発音。
聞き分けられるようになったということかもしれません。
年配の皆さんが「き」と発音すると「ち」「じ」「ぢ」に近い音で私の耳に届くのです。
秋山君は「あちやまくん」。
先日、移植作業の後、食べ物の話をしていた時、
「フジはホント、うまいよね~」といわれ、
話の流れも手伝い、「ああ、フキ(蕗)のことだ」とすぐにわかり
「育苗場の隅にもいっぱいフキが生えてますね~」と会話成立。
それまでは、うまく聞き取れず、笑ってごまかすことも多かったので、
この会話成立は、なんだか妙にうれしい出来事でした。
是非、是非、是非、海岸林のパンフレットをお取りください!!
国際協力ボランティアの木村です。
5月11日(土)、12日(日)に「みどりとふれあうフェスティバル」が日比谷公園で行われます。
オイスカからは首都圏支部のメンバーがブース出展します。
http://www.mori-zukuri.jp/kanshasai/
パネル展示やフィリピンのネグロスシルク製品、
オイスカ中部日本研修センターの新鮮たまごの販売などを行います。
また、主催団体のひとつでもある林野庁は、このイベントで海岸防災林の復旧・再生について紹介することになっていて、民間団体の取り組みについても紹介してくださることになりました。
当日私は会場には行けないのですが、林野庁ブースに設置していただけるよう頑張って海岸林再生プロジェクトのパンフレットの折り込みを250部行いました。 真心こめて折りましたので是非、お手に取っていただけると幸いです。
そして多くの方に、このビッグプロジェクトである海岸林再生プロジェクトへのご理解とご支援いただけたらと思います。
明日5月10日(金)午前5時~6時 TBSをご覧ください!
まさに「黄砂の発生源」でオイスカが2006年から取り組む
全長800kmを目指すビックプロジェクト「中国・内モンゴル沙漠化防止プロジェクト」が
TBSのNews23で放映されましたが、好評につき、最新情報を追加して再構成を経て
再度放送されることになりました。
5月10日(金) TBS 「ニュースバード」(午前5時~6時)
早朝の番組ですが「そんな早い時間にー」と言わずご覧いただきたいのですが、
見逃してしまった方は、同日夕方にはTBSの「newsi」というニュースサイトの
「キャッチ・ザ・ワールド」のコーナーにて 配信される予定になっているので、そちらをご覧ください。
http://news.tbs.co.jp/newsi_sp/catch/
オイスカのプロジェクトが紹介されるというよりは、「中国の砂漠化に挑む日本人」ということで、
現地責任者の冨樫が取り上げられるようです。
ブログ :http://blog.goo.ne.jp/alashang/
ホームページ:http://www.oiscaalashan.sakura.ne.jp/
TV的にはこういう紹介になるのですが、彼がいつも言うのは「村人が主役」。
3月には活動報告会後、丸の内のガード下の居酒屋で、アッかい顔して一緒に飲みました。
そういう彼に共感してくださる方が更に増えるといいなぁと思います。
現地の黄砂は、日本の750倍だそうです。