5月18日に第1育苗場でクリ・コナラの播種を行いましたが、
6月10日に発芽しました!
薄紫色。
緑色でないのです。
とても新鮮でした。
しかも何とも弱々しい。
これもまた、「めんこい」。
まず、土から出たばかりの芽は、目立たない。
山なら、まず分かりません。
クリ・コナラはとても似ています。
敢えて言えば、クリの方が少し太いか。
①最終的に、非常に良い苗のみを大胆に選別
②間隔を広めにとって太く仕立てる
以上の方針で予定より多めのクリ1,000粒、コナラ3,600粒を播きました。
ヤマザクラは6月20日に採種、消毒・冷蔵保存し、
今後の播種に備えます。ケヤキも植栽対象です。
我々の計画では、広葉樹は海岸林全体の1割。 海岸林の最も内陸側に植栽する予定です。
クロマツは5,000本/ha、広葉樹は3,000本/haの植栽方針です。
しかし、広葉樹はお金がかかります。驚くばかりです。
クロマツよりも充実した土壌が必要ですから。
広葉樹を植えてみて、育て方の違いからクロマツの強さを再認識することが多い日々です。
こんなに熱のこもった質問攻めは初めて。
再生の会の鈴木会長も、私も、取り囲まれ、気迫で一歩後ろに退いてしまったり。
外務省の方も驚いているほどですから。
連日、矢のように母国に記事を送っていたようです。
6月4日、外務省とフォーリンプレスセンター(FPCJ)からの依頼で、横浜で開催された第5回アフリカ開発会議(TICAD Ⅴ)の会議参加を終えた記者5名の視察対応をしました。
今回は、ケニア、南スーダン、モザンビーク、ウガンダ、マラウイの主要紙。
これで外国記者団の対応は4度目。
35ヵ国、49名がプロジェクト訪問されました。 アフリカからの記者団の来訪は2回目(合計8ヵ国)です。
一面の荒野を見て、そのうちの二人が言いました。
「僕のふるさとみたいだ」
洪水で流されたという事でした。
その話をもっと聞きたかったのですが、どんどん次の質問が。
「住宅の補償は?」
「震源地からここは何km?」
木への愛情も強かった。
再生の会の方10数人と除草を一緒に。
自然、全く打ち解けて。 一生懸命質問して。通訳の方はフル回転。
我々が何をやろうとしているのか、理屈抜きで分かっていただいた気がしました。
ほんとうにいい雰囲気でした。
お受けしてよかった。
FPCJスタッフの皆さんの深い理解のおかげで、
ほんの些細な事ですが、アフリカ開発会議に関わることができました。
木のレクチャー in 日比谷公園
国際協力ボランティアの木村です。
先日、名取事務所、現場統括の佐々木廣一さんが上京。経済同友会主催の報告会、林野庁への報告が目的です。
さすがは佐々木さん!!現場の人間として熱い情熱と豊富な経験を語ってくださり、 会場の人は聞き入っていました。
そして、移動の途中で日比谷公園に寄りました。佐々木さんは未熟な私にいろいろ、 木のことを説明してくれました。ここでは親切なことに木のところに名前や特色が 書いてありました。
最近は佐々木さんに宿題を出されます。
「樽と桶の違いは何か?」
「木が水分や養分を引き上げる理論とは?」などいろいろあります。
自分自身、佐々木さんに会うたびに成長しているような気がします。
毎日が勉強。現場を知らないといけないということが日々感じられるようになってきた今日この頃です。
よくある質問 クロマツは根が浅い?
長いブログになります。すみません。
何件も質問が来たので・・・。(汗)
「クロマツは根が浅いため、津波で流され、被害を拡大させた」
これまで2年間、この質問(意見?)を何回聞いたことか…….(笑)
特に宮城県では、噂が異常に広まったので、特に耳にしました。
クロマツが悪いのでしょうか?……
我々、2011年5月の初調査、この地域のクロマツの、ある根の特徴に注目しました。
話しは変わりますが、2011年夏、宮城地元誌で「仙台空港周辺は水はけが悪い」
という記事を読みました。
また、出張時に、仙台の古本屋で見つけた古地図を見たら、沿岸部は池だらけ。
2011年秋の台風以降も、全く水はけが悪く、いつまでも干上がらない。
排水路やポンプ場も多い。我が育苗場の井戸も、ほんの2~3mで水に到達。
林野庁「東日本大震災に係る海岸防災林の再生に関する検討会」の、
「宮城県南部沿岸部は地下水位が高い」という指摘の裏付けは、
この他にもまだまだあります。
余談ですが、名取の定食屋のおかみさんの話では、
かつての仙台空港周辺の田んぼは「深い田んぼ」で、
腰まで入らねばならないから、嫁入りを嫌がられたとか。
話を元に戻します。
重要なことは、本来、クロマツは他の樹種と比べ、 根がまっすぐ下に伸びる「深根性」であるということ。
これ、疑いありません。
しかし、基本的に根っこは水を吸い上げる訳ですから、地下水位が高ければ 深くまで根を伸ばす必要がなくなるため、クロマツの特徴である太い直根は深根性を活かすことなく、下の写真のように途中で90度曲がってしまいます。
しかし、かつて造林したときは、盛土などできず、元々の地形の上に
植えたのです。そこに地震があり、液状化や地盤沈下の影響もあったでしょう。
津波が来たわけです。
強く根を張っているわけではないので、津波の力に強烈に抵抗して
「幹折れ」するのでなく、じわりと「倒伏」した状態を多く見ました。
クロマツが悪いのではありません。
このように地下水位が高く、被災地域の海岸林で壊滅的な打撃を受けた約1,100haのうちの
多くを占める宮城南部では、国が直轄事業として、とくにクロマツの深根性を活かすための
「盛土」を含む工事を行うのが大きな改善策です。
名取市下増田北釜地区(仙台空港真東)にも、その模範となる地形とともに 生き残り、今もなお役割を果たすクロマツ林がわずかに残っています。
我々、2011年5月の初踏査2日目、クロマツ、広葉樹ともに、「微地形」という わずかな高低差で生死を分けたことを結論付け、 その後も、林野庁「東日本大震災に係る海岸防災林の再生に関する検討会」の議論の方向や、最終的な国の方針に間違いないと自分たちなりに判断しました。
初お一人様、名取出張 第3弾 「お一人様、名取出張の考察」
国際協力ボランティアの木村です。
ついに初お一人様、名取出張も最後の第3弾です!
今回はこの出張を通して自分が考察したことを綴っていきたいと思います。
再生の会のメンバーのお話を聞き、そして一人で名取の街、震災現場を視察し、強く感じたことは「震災の風化と開発の在り方」です。風化と書きましたが、 実際に震災復興は着実に進んでいる部分があります。
海岸林の再生に向けた盛り土工事の現場近くで、交通整理に従事している 60代ぐらいのおじさんが「ピーク時は1日で400~500台のトラックが走っていたが今は200台ぐらいまでに減っている」と話してくれました。工事も終盤を迎え、来年の春には植林ができる予定です。
海岸林再生に向けた前進はうれしいことですが、やはり、まだ地元の方々の中には、今後の生活拠点の選択など未だ不安が大きく残っているようです。
その方によると「被害が大きかった閖上地区の7割は地元に戻りたくない」そうです。戻りたい 人たちのほとんどが高齢者で自分たちの土地を手放したくないようです。
津波の被害が少なかったと言われる、「美田園駅」や「杜のせきした駅」周辺ではどんどん、
新しい家やお店が建設されてきています。最近は住宅展示場に行く方が増えているそうですが、
この名取市も例外ではありません。仙台空港を中心に「仙台のベットタウン」になりつつある状況です。
再生の会のメンバーも、海岸林の再生とともに気がかりなのは、若い世代の雇用問題だとおっしゃっていました。
雇用創出のため、仙台空港を民営化し、その周辺にホテルやテーマパークの建設を望んでおられる方もいれば、
今回の津波を忘れないためのメモリアルパークを望む方もいます。
今後の開発のあり方を慎重に考えていかなければならないと思いました。
プロジェクト担当の吉田です。 この2年、よく伺うご質問に対してクイズを交えてお答えします。 まず、下の写真をご覧ください。 震災直後に踏査した森です。美しい!と思いました。
で、クイズです。 Q1.ここでは最初から同時にマツとサクラを混ぜて植えた? Q2.大きなサクラとマツの樹齢は、それぞれ何歳ぐらいだと思いますか? ここは海岸波打ち際から600m以上も離れた内陸です。 海側には400m以上の幅のクロマツがあり、海からの潮風の影響を 受けにくい立地です。しかしここも当然、津波が直撃しました。
A1.同時に植えたのでも、交ぜて植えたのでもありません。 人が植えたのはマツのみ。サクラは自生です。
A2.マツは100年超(明治時代植栽。サクラは50年程度か。) 結論から言えば、同時に交ぜて植えることは考えていません。 海岸林の海側から200mほどは、潮風のストレスなどが強烈です。 それに対して最も抵抗力があるのがクロマツです。 全国各地で、長い年月をかけ、多くの先人が数ある樹種の植栽を試す中で選び抜かれたものです。
技術者はクロマツを評して「犠牲木」とよく言います。 私たちは、海岸林の存在意義を、農業や生活を守るためのインフラと考え、 その機能を果たすための森づくりを最優先に考えています。
場所を選ばず広葉樹を植えても、塩のストレスに耐えられないと考えます。 マツと広葉樹を同時に混植する(ランダムに混ぜる)と、 いずれ、マツは広葉樹に光を奪われ、枯死すると思われます。 場所を分けて、同時に植栽するとしても、200m以上内陸で、 クリ・ヤマザクラ・ケヤキ・コナラなどを植えるのが妥当だと考えています。
「マツとサクラは相性が良い」と聞いたことがありますが、 写真のヤマザクラは、人の手で植えたのではありません。 クロマツが間伐され、光が差し込んだ場所で、自然に生えてきたものです。 海に近い部分に植えられたクロマツの、「身を挺した犠牲」のおかげで クロマツに守られながら広葉樹は大きくなったのです。
写真の場所は、波打ち際から遥か内陸ですから、背丈の高い順に、 高:クロマツ、中:ヤマザクラ、コナラ、低:アオキ、ヤブツバキ、ヒサカキ。 下草も多数。4段構成。いい森でした。
宮城南部沿岸部の「極相林」(植物遷移の行き着く先)はヤブツバキなどです。 潮風の影響を受けにくい海岸林の内陸側では、長い年月をかけて クロマツ→広葉樹とゆっくり遷移するのでしょう。
私には、森づくりはスケールの大きな子育てに思えます。 大きくて、長い気持ちで森づくりを見据えたいと思います。 拙速に遷移を進める考えはありません。
出張の大半は新幹線で移動しています。
仙台駅から仙台空港アクセス線に乗り換え、仙台空港駅に。
空港内の事務所でのアポイントには少し余裕が。
「そうだ。設置されてるかな?」
するとすぐ目に入ってきました。
先日、空港関連会社の社長さん、部長さんと、仙台空港アクセス鉄道㈱に行き、 プロジェクトについてじっくり説明させていただきました。
時間を下さったトップのお二人は、海岸林というより、従来のオイスカの海外協力を ご存じで、空港駅、美田園駅、杜せきのした駅への、海岸林再生プロジェクトの「ご寄附のお願いチラシ」設置をしようと決めてくださいました。
「チラシはどんどん無くなるというわけじゃないけど、 地元の人には、まず知ってもらわないとね」
名取市内には、酒屋さん、美容室、市役所、市民会館、駅前駐車場など
すでに置いていただいていますが、まだまだ。
でも、協力者が増えるのは嬉しいですね。
現在チラシを設置できているのは、北海道、宮城、東京、神奈川、埼玉、
富山、山梨、長野、静岡、愛知、奈良、兵庫、香川、愛媛、広島、福岡。
もちろん、「点」でしかありませんが。設置個所は、宮城がダントツ。
広島、愛知、香川には割と多く設置できています。
東京は少なく、まだまだ努力不足。
設置個所と、寄附者数は明らかに比例しています。
初お一人様、名取出張 第2弾 「the 第2育苗場!」
国際協力ボランティアの木村です。
初お一人様、名取出張の第2弾です。初めて行ってきた第2育苗場について書きたいと思います。
第2育苗場はあまり広くはなく、点在しているのが特徴です。
第1育苗場から車で20分ぐらい。田んぼのど真ん中にあり、たどり着くのに苦労しました(汗)
今回は再生の会メンバーの高梨さん、森さんのインタビューが目的でしたが、
もちろんクロマツの様子も見てきました!
ここでは、少し趣向を変えてマツの育苗に取り組んでいました。
森さんは「マツの育苗は野菜の苗を育てるのと同じ」と考え、自ら、土の配合を調整し、それを写真に収め、記録しながら育苗をしています。
また、これからの草取りの作業が欠かせない季節を前に、発芽した苗の近くにもみ殻を播き、草を抑えたり、コンテナ苗が発芽しなかった場合に備えて、 小さい種苗箱に予備を作っていたりとさまざまな工夫をされていました。
そして高梨さんから面白いことを聞きました。
「木村君みたいな苗が必要だ。マツも人間もライバルがいて競争して強くなっていく。だから、コンテナ苗よりも露地播きで競わせて強くて、太い苗を作らないといけない。マツの種は貴重だが、間引きをして捨てる覚悟も必要だ」とおっしゃっていました。育苗でも植林でも間引くことが増えるとなると多くの種が必要になります。コスト面では大変ですが、しっかりとしたマツの苗、そして海岸林を作るには「捨てる」覚悟も必要だと知りました。
今まではまだ、春到来という気があまりしませんでしたが、 さすがに6月。市内でも半袖の姿を見かけます。
仙台空港駅から降りると、目に緑(雑草)が飛び込んできました。
防潮堤・盛土工事も、目を見張るほど進んでいます。
育苗場に来るたびに、草取りに精を出す地元の皆さんの姿。
6月3・4日は終日10人態勢で。
床替移植のストレスに、マツが対抗できるよう、 活性剤を撒いたことが雑草を助長しているのです。
これから10月頃まで、一にも二にも草取り・観察です。
雇用時間数は昨年の6倍以上の見込みですが、 その大半が、畑の使用面積が広がったことに伴う、草取りです。
視察いただく方にも、短時間でもお願いし、
なりふり構わずということになるかもしれませんね。
吉 田:草取りするとき、注意しなければいけないことは?
Mさん:「草と一緒にマツも抜けたり、浮いたりするんだよね~
それを忘れたままにしないことだなぁ。ただそれだけ。
やっぱりしっかり植えてあげることだね~」
仙台の他団体の海岸林再生の仕事も拝見しましたが、
それぞれの団体ごとにさまざまな肥料が撒かれていました。
すでに苗の周りから、草が出ていました。
まとめレポート⑤ 収支概況
平成24年度の収支概況を少し早目にお伝えします。
寄附金・民間助成金収入総額は約8,500万円(平成23年度約5,500万円)
育苗実務初年度の支出総額は約3,000万円(平成23年度約1,500万円)
そして、今後の大規模な海岸林植栽と育林に備えるため、内閣府に提出した計画である
「特定資金準備金」として、計画通りの5,000万円を積み立てることができました。
2年間の活動レポートと収支報告は、当法人決算理事会後、6月下旬までにHPにて公開いたします。
今年度は震災の風化に正面から向き合うことになるのは間違いありません。
これは元より覚悟していたこと。
そのなかで、育苗事業について被災地住民の就労の観点で言えば、
雇用時間数は6倍以上増、育苗使用面積で言えば約6倍増、
雇用者として関わる人の数も既に増えております。
そして、平成26年度からは本格的な植栽が開始されることでしょう。
その上、平成28年頃から県有林の植栽が開始され、事業量ピークを迎えると想定しており、
種苗組合の一翼を担う我々には、育苗においても最大の期待が寄せられることでしょう。
キャッシュフローとの闘いはまさに現実化することになると思います。
先を見て、先を見て、必死に資金獲得も行います。
これまでの多くの皆さまのご厚情に深く感謝するとともに、
今後、信頼を裏切らぬよう、日々の実務を着実に行ってまいります。
道のりは長いですが、必ずできるんだ!と、毎日強く思い続けて。
これからもご支援のほど、よろしくお願いします。