農地再開に向けて

2013年12月3日( カテゴリー: 本部発 )

右が仙台空港。奥が太平洋

右が仙台空港。奥が太平洋


震災で被害を受けた自宅は改修しても、居住禁止区域に指定されて「年度内に立ち退き」という話をよく聞きます。全て取り壊すことが補助の条件です。育苗場地主さんご家族をはじめご縁をいただいた方々は、いつでも会えるという状況ではなくなってしまいます。同じ自治会だった人も移転先の自治会に入ります。震災直後、名取とのご縁を受けたとき「コミュニティーがバラバラになってしまう」という訴えを聞き、それも立案の重要なキーワードとなりました。「第一育苗場に行けばみんなと会える」「大きな目標として将来の励みとなる」そんな場にしようと思ってプロジェクトを進めてきました。
この写真は、第一育苗場から程近い一軒からの朝の風景です。左上が第一育苗場です。
オイスカ海外事業部の藤井君と、インドネシアからの農業指導を学びに来ている研修生OBと、かわるがわる4日にわたってホームステイさせていただきました。しかし、この家も2月に立ち退きになるそうです。息子さんが昔アメリカに1年間ホームステイしたそうで、いつか我々に対しても何か役に立ちたいと思って受け入れてくださったとのことでした。この方とは出張の度、仙台空港などでお目にかかっていたし、ご主人も4月の床替に加わっていたと聞きました。ご夫妻からはいつもと違う角度から色々な話を伺うことができました。
農地整備事業は津波の影響が少なかった内陸から進められ、写真でご覧のとおり、
波打ち際から約2kmのこの地区まで進められております。
もうすぐ第一育苗場を越えて、海岸林背後のビニールハウス団地にも迫ります。
減反廃止に舵が切られましたが、当地は見るからに大規模農業経営が進むように思えます。
しかし、地下水の塩分の影響が今も尾を引いています。
波打ち際から1.4kmの第一育苗場は作業に使える水脈を掘り当て、数本の井戸を掘ることが出来ましたが、
海岸に近くなればなるほど水が問題になっています。
沿岸部の例にもれず、宮城南部は地下水が高く、第一育苗場は1~2m掘るだけで水に当たります。
昔から排水に悩まされ、周辺地域は水路が多く、排水ポンプ場をいたるところで目にします。
昔は深田で知られ、「苦労するから嫁に行かせたくない」という話もあったそうです。
水はいくらでもあるのに使えないというのは皮肉です。
今年、海から10km以上離れた地区では、この地区では珍しく反当り9俵のお米の収穫があったとのこと。
作柄は豊作のようです。(ちなみにどんぐりは不作)今後沿岸部の水田はどうなるでしょう。
復興には10年はかかると言われていますが、一歩一歩前進していると思うのです。
「名取耕土」と再生の会のTさんが言うような、そんな将来の姿にするための一翼を担おうと思うのです。

視察対応から得ること

2013年12月2日( カテゴリー: 現場レポート )

11月22日、今日は視察対応の日。

左:須崎かん県議、右:原よしのぶ県議

左:須崎かん県議、右:原よしのぶ県議


午前中はわざわざ愛知県より犬山市と名古屋市地盤の県議会議員の若い先生(といっても私より少し年上)がお二方。出会った第一印象はフットワークが軽い、というより早い。これぞ「きびきびしている」。1時間半という限られた時間を意識している感じをまず受けました。すなわち、これは「案内の甲斐がある」。とにかく話を最後までよく聞いてくださって、リアクションが絶えない。耳で聞くというより体で聞いている感じ。来訪のきっかけは、太田猛彦先生に愛知県議会議員に講演をして頂いたこととのこと。一連をアレンジした甲斐がありました。
我々にとっての貴重な人脈財産になるように思えました。
午後は、宮城県の各地方振興事務所よりそれぞれ農林関係の次長さんが合計8名。
私には予想外のアドバイスあり。
DSC_0062

マツノザイセンチュウ抵抗性クロマツの
コンテナ育苗の視察の模様


「宮城県のあるところで、海岸林植栽をしたばかりの現場で、ある日突然、片っ端から伐られてしまった」と。伐られた時期からして、「門松」にしたようで。驚いているのは私だけ?「そうやってひと儲けする奴もいるんだよなー」と佐々木統括。門松にするためのマツを植えているのは昔見たことがあるけど。しかし、山ではない、海岸のどこからでも入れるあの現場では、防ぎ様がない。心配事は尽きない(笑)
人に会えば会うだけ、貴重な情報が得られますね。人脈や情報は命です。地元新聞の記者さんからのアドバイスの通り、「一期一会」の気持ちでお迎えできるよう、心を整えたいと思います。。
 

防風ネット設置完了

2013年11月29日( カテゴリー: 現場レポート )

CIMG0647広葉樹のための育苗場拡張部分と事務所周囲への防風ネット作設が、前田建設工業㈱のご支援と社員さんのご協力の甲斐あり、そして最後は11月19日に、名取市海岸林再生の会18名の手によって完成しました。これから事務所横にもビニールハウスを設置しますが、これも同社のご支援です。
これからもう、蔵王からの冷たい西風が始まっており、事務所の机を一日に2度ぞうきん掛けする季節。クロマツだけでなく、事務所も、ビニールハウスも防風ネット様々です。
育苗場候補地探しで初めてここに来たのは2011年11月26日。
29日にはほぼ合意に至りました。あれからもう2年経つんだなあ。
CIMG0642

温かい場所・宮城県名取市!!

2013年11月28日( カテゴリー: 現場レポート )

四国研修センターの吉田智子です。
PB20034511月19日~21日の3日間、研修生と一緒に宮城県名取市で行われている「海岸林再生プロジェクト」の視察に行ってきました。視察では育苗場の見学、苗の草取り、北釜耕会の方の畑で小松菜の片付けや播種をさせていただきました。
期間中は北釜耕会の会長櫻井さんの家にホームステイ。震災の話や農業についていろいろとお話を聞かせてもらいました。
初め震災の話をどう切り出そうかと考えていた私に、櫻井さんは震災の写真を持ち出し説明をしてくれました。津波から逃れた後、仙台空港で2日間の滞在。その後3ヵ月の学校での避難所生活。仕事をしなくても食事の援助があり、体を動かさないあまりなんと体重が10㎏増えたそうです。避難所生活や仮設住宅での生活は何もしなくても生活ができるけれど、「農業をもう一度したい」という強い想いから震災1ヵ月後に農業を開始しました。
PB210439震災後、農業をしなくなった人もいる中で、3人で立ち上げた北釜耕人は「小松菜」を栽培しています。視察期間中、一緒に「小松菜」の片付けや播種、機械の操作もさせてもらいました。農作業中は農業に対する熱い想いが伝わり「仕事に対するプロの技」を見て、話して感じることができました。すごく刺激を受けました。
そんな北釜耕人の3人のお父さんを支えるお母さん達も素敵な女性です。収穫と出荷準備はお母さん達の仕事。雨が降ろうとレインコートを着て収穫する姿はたくましく、家に帰れば手際よく食事の準備をし、研修生に本当のお母さんのように接してくれました。
 
 
PB210521櫻井さんの家ではお孫さん(2歳の女の子と4ヵ月の男の子)も来てくれました。2歳のお孫さんと「恥ずかし~!!!」と言いながらも一緒にアンパンマンダンスをするお母さん。私達もまぜてもらい一緒にダンス。楽しい時間を過ごしました。初対面の私達に対し、何の壁もなく、すぐに溶け込めるように研修生の国について質問したり、フィリピン台風被害の心配をしたり、本当に温かい家族でした。「日本の家族」の温かさを感じることができました。
震災の被害にあっても前へ前へと進む姿は、人の心を動かします。今回の視察で研修生も私も3日間以上のものを得ることができました。「後ろをむいてもしょうがない!前に進もう!」という気持ちをもって、これから前に進んでいきます。
皆様、本当にお世話になりました。
ありがとうございました!!
PB200392

昨日に引き続き、今回の体験研修の報告です。
今回研修生は、海岸林再生の現場を視察するだけでなく、
被災地域の方々の家にホームステイをして、
日中は一緒に農作業をしながら今までの経験をじっくり聞く事ができました。

四国に比べて寒かったですが、農作業は慣れているのでテキパキとこなしていました

四国に比べて寒かったですが、農作業は
慣れているのでテキパキとこなしていました


今回お世話になった農家の方々は北釜耕人会という組織を被災後に立ち上げられた3家族の方々でした。今の時期はあまり農作業が忙しくないとの事でしたが、どんな作業でも体験させて欲しいとお願いをし、小松菜作付けの準備、収穫、資材片づけ等の作業を一緒にさせて頂きました。当時のお話を聞いていると、とても今の状態を想像できない程の惨状だった事と思いますが、農家の方からは
「自分達は元々農家だったから、何としてでも農業を再開するという強い気持ちをもってこれまでやってきた。まだまだ復興は途上だけれども、自分達が先頭に立って歩んでいきたい」
という言葉がありました。
今回の参加者の中にはフィリピンの研修生がいました。今月、猛烈な台風30号が直撃した惨状に胸を痛めながら今回の研修に参加していたと思います。前日の被災地視察に続き、被災者した農家の方々の取り組む姿勢、特にその気持ちの部分を学ぶことができて良かったと研修生達は一様に話していました。
今回参加した研修生達は日本での研修終了後にそれぞれの国へ戻っていきます。
東北の名取での被災者の思い、そしてその後の歩みを学べた今回の研修が
現地の人達と共有される日が来るのを願っています。
 

海外事業部の藤井です。
11月19日~21日まで、四国研修センターの研修生4名と
引率指導員1名が海岸林再生プロジェクトでの体験研修を行いました。
今回の研修の目的は、海外からの研修生に名取市海岸林再生の会と
オイスカの取り組みを学んでもらう事で災害に対する知識を深める事と、
それに参加する農家の方々との交流でした。
今回、研修に参加した研修生は、インドネシア男性1名(農業指導)、
フィリピン女性2名(国際ボランティア、家政)、
パプアニューギニア女性1名(国際ボランティア)の計4名。
研修期間は2泊3日で、初日は四国から夜行バスを乗り継ぎ仙台入りするという強行軍でしたが、
期間を通して現地の方々との交流を通じて多くの学びが得られた事と思います。
私は、今回の研修のサポートという立場での出張でしたが、期間中に印象に残った事を書きたいと思います。

震災当時の写真を食い入るようにみる研修生達

震災当時の写真を食い入るようにみる研修生達


今回、仙台到着後に最初に現場視察をしたのは海岸林再生の会の鈴木英二会長のご自宅でした。現在、ここにはこの1軒のみが残っているだけで周りには住宅はありません。会長自ら津波に襲われた当時の写真を見せながら説明をして下さいましたが、そこには多くの住宅のある集落に襲いかかる津波の様子が写されていました。当時を思い出させる写真を食い入るように見る研修生達、そしてその写真を見ながら私も一緒に無言になっていました。そして、現在の復興の話になった際に会長から
「当時失われた人や物が戻る事はないけれど、その後は前を見て一生懸命に歩んできた。でも何よりも悲しいことは、この集落で助かった人達が二度と一緒の場所で住むことができないこと、
自分達のコミニティがバラバラになったことなんだよ」

という話がありました。
その夜に男性研修生と私がお世話になったホームステイ先の住宅も
名取市の危険区域に立っており、間もなく新たな場所へ引っ越しをされるとの事でした。
現在も被災者の方々の苦しみは続いています。
自分達の育ったふるさとを失った悲しみの一端を研修生達は理解し、
そしてその活動の意義を学べた事と思います。
 

先週の続きです。
被災地を車でまわってみました。
名取市の閖上です。
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ここは、名取川の河口です。
日曜日とあって釣り人が多いこと。(海側です)
 
 
 
 
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名取川の防波堤(今日は天気もいいし、釣り日和ですね)
 
 
 
 
 
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まだ工事中ですよ。(でも日曜だしね。工事のおじさん達もいないしね)
 
 
 
 
 
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閖上中学校です。(海から近いところ)
 
 
 
 
 
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校内に入ることができました。
地震が起きた時間です。
当時を思い出します。
ここは、まだ時間止まっているみたい、そんな印象を受けました。

来年の手帳

2013年11月22日( カテゴリー: 本部発 )

クロマツお助け隊としてプロジェクトを応援してくださっている「めぐろのY子」さん。
昨年に続きオリジナルカレンダーやダイアリー(手帳)の売り 上げの一部をご支援いただけることに!
note実は私も注文し、一昨日手元に届きました!!
注文締め切り前に皆さんにお知らせしようと思いつつ、間に合わなかったことを悔やんでいたところ、なんと本日より再販されるとのこと。卓上カレンダーと壁掛けカレンダー、それからダイアリー(3種類あります!私は「楽園の鳥」を選びました~!!)
ぜひ皆さんもこの機会にY子カレンダーで海岸林の再生にご協力ください!
http://www.kakimacho.jp/shopping/diary/

こんにちは、名取事務所の菅野です。
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蔵王の山に雪が・・・寒くなってきました。
近隣を車でまわり、被災地を見てきました。
まずは岩沼市。千年希望の丘。登ってみました。夕方だったので人がまばら
頂上には記念碑がありました。(来年3月には、近くに震災慰霊碑が完成予定)
岩沼市の津波犠牲者は157人(市民150人と市職員7人)
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工事完了したみたいですね。(千年希望の丘より)
震災前は、海水浴場近くの駐車場だったと市内に住むおじさんから聞きました。
 
 
 
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海が見たいと思い仙台市荒浜に・・・見えました。海近くまで入れたのはここだけかも。
 
砂浜の中にも工事用の道路がありました。ホッとする風景です。
 
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震災前はどこもこんな堤防でした。
 
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未着工のところ。向こうは仙台新港かな。(仙台市荒浜海岸)
 
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こんな近くに家があったなんて・・・まだ基礎の部分もそのまま。
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海からわずか50メートルあるかなぁ慰霊塔がありました。
また続きは来週報告します。
 

ごほうび

2013年11月20日( カテゴリー: オタクの休日, 本部発 )

広報室の林です。
先々週、海岸林オタクの休日を報告しましたが、
またこの週末もオタクに同行し、浜松の海岸林を視察してきました。
一度視察に出るといろんなポイントで車から降り、観察と記録をし・・・が繰り返されます。
海岸林オタクの興味は尽きませんから放っておけばいつまでも続きます。
そろそろ暗くなってきたし、寒くなってきたし、お腹もすいたし・・・と思いつつ、
繰り返される観察につきあっているとポツリポツリ・・・。
そのうちざぁ~~~~~っと雨が降ってきて
「よし、じゃあ今日はここまでにしよう」と雨のおかげでやっと区切りがつきました。
雨の中、東京に向かって出発すると正面に大きな虹が!
なんだか一日頑張ったごほうびをもらったようなうれしい気持ちでした。
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