仙台トヨペットは、「海岸林再生プロジェクト」が始まる前から
オイスカの活動に支援を続けてくださっている企業さんです。
東日本大震災では自分たちも店舗などがその被害に遭いながら
「自動車整備など本業を通じて地域の復興に貢献しよう」と
力を注いでこられました。完全に復旧するまでの約1年、
その過程では、全国からたくさんの支援を受けたのだそうです。
毎月プロジェクトに寄附をしてくださっているほか、仙台市内で開催の写真展の会場に、現場でのボランティア経験豊富な社員さんが終日説明に立ってくださったり、毎月開催されるボランティア活動には新入社員の皆さんが参加してくださったりと取り組みはさまざま。
CIMG5348印象的なのは、日頃事務をしているという女性新入社員の皆さん。この春高校を卒業したばかり! という若者もいて現場は華やかに!
4月のボランティアでは、すぐに砂埃で真っ白になってしまうプロジェクトの車両を隅々まできれいにしてくださいましたし(まだ寒い時期。冷たい水での洗車は大変なことなのです!)、5月のボランティアでも鍬を手に、ひたすら慣れない作業に没頭していただきました。
作業終了後、疲れは隠せないものの「楽しかった」と皆さん口にしてくださいます。他部署の社員と普段と違うことに集中して取り組み、それが海岸林の再生につながっているということへの喜びを素直に語ってくださる皆さん。 若者の力がプロジェクトの大きな力になっています。

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疲れたけど楽しかった~!!

広葉樹苗畑の床づくり:5月16日 播きつけ、床替え床は一般苗畑に準じて床幅1mで
6床を設け、化成肥料(8:8:8)を50g/m2を施した。
掘り取り山出し:5月16-17日、前年播種苗について苗長35cm以上を山出し・海岸林現地植栽用とし、コナラ、クリ各150本出荷した。徒長苗、直根については20cm前後に剪定した。
現地植栽苗:5月17日海岸林植栽地に植えた苗の調査を5月24日おこなった。なお植栽には培養土を一植栽穴に3lを投入し、基本的にコナラ、ヤマザクラ、クリ3本並びで同じ樹種が重ならないように並木上で1.8m(3000本/ha)間隔で約450本植栽した。
調査結果は以下のとおりである。新葉枯れは25%~31%で見られた。これは開葉後の植栽であったためである。今後回復の調査を行う必要がある。ヤマザクラが購入苗で2年生苗である。1mを越す苗長であったので1m以下に剪定した。植栽時の苗高、根元直径も表、図のとおりである。
無題

床替え本数および生長:以下のとおりである。5月17日

無題2

床替え苗の苗長m根元径は以下のとおりである。
無題3.

ポット苗の床替え苗は成長は落ちるものの、土付きであるため.新葉の枯れも無く、
時期を選ばず植栽可能となるため、ポット育苗も検討する必要がある。

今年度の広葉樹播種:今年の播きつけは5月17日に以下のとおり実施した。

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写真-1 海岸林広葉樹植栽樹高測定


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写真-2 海岸林広葉樹植栽根元径測定


 

クロマツのこと

2014年6月1日( カテゴリー: 本部発 )

広報の林です。
プロジェクトがスタートしてからというもの
ついついマツに目がいってしまいますが、まだまだ
マツのこと少しも知らないんだなぁ~と思うことだらけ。
先日、清藤先生と一緒に地方出張する機会があり、
そのときにいろいろ教えていただきました。
「マツ科マツ属」のクロマツの学名はPinus thunbergianaといいいます。
先生は「よくマツの名前を挙げさせるとカラマツなんていうのが
でてくるけどカラマツはマツ属じゃないんだよ」といわれました。
私はカラマツすら思い浮かばないほど植物のことを知りません。
(あとで調べるとカラマツは「マツ科カラマツ属」なのだそうです)

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だいおうしょうの長い葉! まさに松の大王です!!


先日ある庭園で「大王松(だいおうまつ/だいおうしょう)」を見た際、葉が3本ありました。これまでブログでも紹介したことがありますが、クロマツの葉は、根元で2本がくっついているため“枯れて落ちても二人連れ”などといわれています。
先生に「大王松は葉が3本ですね。ほかにも3本のマツはありますか?」と聞くと「二葉松(にようまつ)、三葉松(さんようまつ)、五葉松(ごようまつ)とあって・・・」と説明してくださいました。
思わず笑ってしまったのは自分の勘違い。“ごようまつ”とよく耳にするのに私の頭の中の漢字変換は“御用松”だったこと。なんだか高貴なマツを想像していたのに・・・・・・(笑)。
 
 
DSC_0141

見えますか?? 赤紫の小さな花が!


それから花のこと。
ここのところ現場で頂芽(ちょうが/マツの一番先端部分です)に花らしきものをよく見かけます。赤紫の、マツボックリの形の小さな花。
花といいながら、花だという確信が持てなかったので、清藤先生に聞いてみました。
やはりこれは花で、2年目にマツボックリになるのだそう。確かに頂芽の根元に茶色の小さなマツボックリがついているのを見かけました。花と同じ形だったので、なんだろう??と思っていたのです。
謎は解決! 今年頂芽の先端についた花のそのまた先に頂芽が伸び、来年はここが頂芽の根元になるのです。
マツの生態、おもしろい!
           ↓ 拡大しました。わかりますか??
matsuhana
 

5月20日から25日まで仙台市内にある東北電力グリーンプラザで
写真展を開催しました。 6日間の来場者は975名。
たくさんの方に見ていただくことができました。
CIMG5437明るく広い会場。一枚一枚順番に説明をしっかり読みながらゆっくり歩を進めてくださる方が多かったので、質問されない限り、できるだけお声がけせず、ご自身のペースで見ていただくことにしました。ご年配の方の中にはカバンから眼鏡を取り出される方も多く、説明の文字はもっと大きくしないとなぁと反省してみたり・・・。
震災直後の写真は、名取市内のものだけではなくお隣の岩沼市のものなどもあります。現在は仙台にお住まいだけど出身が名取や岩沼だとおっしゃる方もいらっしゃいました。思い出の地がどんなふうになってしまったのか今も自分の目で見られないという方も。
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写真に思いっきり顔を近づけて、知人宅周辺がこんな風になってしまったと何かを確認するように見ている方も。
全国で写真展を行っていますが、やはり皆さんの反応はさまざま。地元で開催するとご自身が被災されている方も多く、その想いもさまざま。
写真パネルはニコンさんのご協力によってつくられました。これからも多くの方に見ていただきたく、全国で写真展を開催したいと思います。
 

広島で活動報告!

2014年5月30日( カテゴリー: 本部発 )

5月28日、広島の平和記念公園内にある国際会議場で
オイスカ広島県支部主催の環境講演会が開催されました。
CIMG5477清藤参事が「海岸林再生プロジェクト」の報告をし、会場には写真パネルも掲示されました。
平日の昼間の時間帯だったにもかかわらず、200名の方々が参加されました。
東北から離れた地域では特に震災の記憶が薄れていくのが早いのではないかと危惧していましたが、かえって皆さん冷静に、正しくプロジェクトの意義を捉えていただき理解を深めてくださっているのかなぁと感じました。質疑応答の時間も、林業や森づくりに関心を持った方から専門性の高い質問が出されていました。
遠方ゆえ、なかなか支援者の皆さんに現場までお越しいただくことはかないませんが、CIMG5490こういった機会に直接お礼とプロジェクトの進捗をお伝えすることができるのは大切なことだなぁと感じます。
ご参加くださいました皆さん、運営にご協力くださった皆さん、ありがとうございました!

初めまして

2014年5月29日( カテゴリー: 本部発 )

初めまして、浅野です。
オイスカ本部で4月からアルバイトをさせてもらっています。
基本は事務所で海岸林再生プロジェクトの事務関係をしています。
CIMG5312現場で何かがあるときは、名取まで行っています!
今月の第3土曜日ボランティアや植樹祭にも行かせてもらいました。
現場に行って、再生の会の方やボランティアの方と一緒に作業したりするのが本当に楽しいです!
楽しいだけではいけないこともありますが、楽しくなくてはできないこともあるかな…とも思うのでいろいろなことを楽しんで取り組めたらいいな。と思います。
これから、よろしくお願いします!
CIMG5303

今日で今年度の植栽は終了します。
15ha、7万5千本。
5月24日の植樹祭で植えた1ha、5千本を除くと
そのすべては森林組合や林業会社の職人のみなさんの手で植えられました。
繰り返しになりますが、貧栄養や厳しい乾燥、寒風などに耐え、
クロマツがしっかり根付いてくれるよう、手早く、正しく植えることが
求められるため、ボランティアの手ではなくプロの手で植えているのです。
どんなふうに植えるのか、ご紹介します。
 
まずは地被物(チップ)を取り除き、
40㎝四方のチップをかき分け、地表を露出させます
image2[2]
露出させた地面に鍬をまんべんなく打ち込んで、よく耕します。
この時、土塊があればできるだけ砕き、柔らかくするとともに、
土中にある石なども取り除き、植穴を掘ります
※穴は20㎝四方、深さは20㎝程度
image5[1]
準備完了。やっと苗を植えるところまできました。
気を付けなければならないのは深さ。
唐鍬で土を押さえ、 コンテナ苗の土表面が
地面より2cm低い位置で 止め、片手で支えながら
土を7分目まで入れます。
image6[1]
image3
苗木を上に引き土壌と根の密着を十分にし、
さらに土で覆います。この時、チップが混入しないように注意。
image7[1]
苗の上部を手で持ち、まっすぐにしながら
根元を体重をかけてよく踏み固めます
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チップで苗木の根元を覆い、凹地にならないよう
注意します。チップは乾燥防止効果があります!
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見ると簡単ですが、やってみると難しい!
職人さんはこうして1日に300本も植えるのです。

ふたつのカンプウ

2014年5月27日( カテゴリー: 現場レポート )

広報室の林です。
5月24日、植樹祭に参加してきました。
とてもいいお天気で事故もなく無事に終えられたこと、
本当にうれしく思っています。
これまでいつも現場では強風を体験していたので、
当日の穏やかな天気にはただただ感謝! でした。
今日は、少しさかのぼって5月の16・17日に
ボランティア活動に参加の皆さんと一緒に
現場で 実感したカンプウについてご報告します。
過去、ブログにも出てきましたが現場はふたつのカンプウとの闘いです。
「寒風」と「乾風」。しかも「強風」。
両日とも「強風注意報」と「乾燥注意報」が出ていました。
防潮堤の上から植栽現場を見学している時のこと。
ある男性ボランティアさんが「いたたた・・・痛い! 痛い!」と。
短パンをはいていたその方、砂が飛んできて痛いというのです。
以前、仙台の国有林での植栽地を見学した際、
「飛砂で苗がやすりで削られたようになった」との話を聞きました。
成人男性が痛がるほどの砂が、あんなに小さなクロマツに
四六時中吹き付けているのかと思うと、かわいそうに思えてきました。
DSC_0064その風のすごさを何とか写真に収めたいと思いながら、どんな写真を撮っても腕のなさを嘆くものばかり。
これは少しだけ分かってもらえるでしょうか。育苗場のネットが強風で大きく湾曲し、しかもそこにたくさんのゴミがピタッとはりついています。
プロジェクト担当の吉田によると、虫が風にあらがえず、このネットにはりついているのを鳥が食べに来るのだそう。
現場で活動をした翌日は、どんなに気を付けていても顔が乾燥してガサガサになってしまいます。
土壌の水分も相当持っていかれてしまうのだろうなぁと。
植樹祭の日、カンプウは吹きませんでしたが、いつも通り顔はガサガサに。これからの季節は地温の上昇でも乾燥することでしょう。
小さなクロマツたちが、カンプウにも乾燥にも負けずに
すくすくと育ってくれることをただ祈るばかりです。

緑化技術担当の参事を務める清藤です。
4月30日付のブログの中で
「・・・盛土の土は採取した場所によってさまざま。
大きな石がごろごろしていたり粘土質だったり砂地だったり……。
硬いところは植えるのに手間がかかりますが、柔らかいところは作業がはかどります。
“1m毎に硬さが違う”“粘土はきつい”(作業員さんの声)・・・」と植栽地の土壌の状態を伝えました。
少し詳しくその土壌を解説します。
盛土は凝灰岩質といわれています。
礫、粘土、砂ということから恐らく新生代水成岩地帯、
一般に標高500m以下の丘陵山地を造った土だと推測できます。
「礫」は土層の深さ1m以下から掘られた基岩の部分です。
「砂」はその上層の60~100cm部分の柔らかく砕けた基岩鉱物砂の集合体です。
「粘土」はさらに上の40~60cmの気候に支配されてできた層です。
クロマツのようなマツ類の生理的特性をみると、根の張り方は細根では表層部にかたより、
支持根となる太根は深いところまで達します。
土壌の水分・養分の要求量は、スギ、ヒノキに比べ低く、
土の中の酸素要求量(好気性)は、スギ、ヒノキに比べて高いです。
こう考えると土壌からみたクロマツの適応地は「土の空隙」が鍵になるでしょう。
そのためには土壌の物理性を把握する必要があります。
「土壌」は「土壌の粒子」と、小さな粒子が集まったその「すきま」からできています。
土壌の粒子は砂・粘土などの無機物と腐植からできているので専門用語では「固相」と呼びます。
すきまは「空気」と「水」から出来ていて、それぞれ「気相」、「液相」とよばれており
これらの総称として「土の三相」と呼んでいます。
ではその三相はこの盛土ではどの様になっているか、
その分析の結果を次に図示しました。

よく発達したスギ林などの柔らかな土壌では、
固相、液相、気相の割合は、30,40,30%程度になります。
アカマツでは50,20,30%程度といわれております。
今回の結果は63、10、27%でした。
固相が多くなっており最適とはいえません。
固相に粘土が多いと空隙も少なく、根の再生と働きが悪くなることから植栽木の成長を遅らすことになります。
空隙は土壌の気相で知ることができます。
気相の割合は十分ではないものの予想していたよりも高いことがわかりました。
固相の多い部分、気相の不足部分は、植栽時に耕して植えることにより改善することも可能です。
現在、植林に当たっている方々は、活着するようにと丁寧に植えている状況をみると、土壌改善にもつながっているでしょう。

5月24日、「海岸林再生プロジェクト」初の植樹祭が開催されました。
何度もブログでお伝えしてきたとおり、植栽はプロの手で行う
というのがこのプロジェクトの基本的な考えです。
ただ、「名取市民の森」をつくるためには、どうしても市民の
参画が欠かせません。これから10年、20年と続いていく森を育てる活動に
主体的に、継続的に関わっていくのは地元の方々です。
そこで、宮城県民・名取市民の方々に植栽を体験していただこうと
植樹祭を企画しました。全国の支援者の方々の中には、木を植えたいと
思っていらっしゃる方が多いのは承知していますが、まずは地元、という
考えで参加者募集は宮城県内でしか行いませんでした。
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当日集まったのは約350名。
普段は強風で砂が舞う中の作業となるのですが、この日は風もなく快晴。
10班に分かれて作業が行われました。
CIMG5404親子で参加してくださった方もいらっしゃいました。(下の写真も親子です。4月のボランティア活動日にも親子で参加してくださり、高校生の息子さんが「また来たい」と感想を話してくれましたが、本当にまた来てくれました!ありがとうございます!!)
植林なんて初めてだという方も大勢いらっしゃる中、指導員としてついてくださった森林組合の方に「参加者の皆さんの植え方、大丈夫でしょうか?」と確認したところ、「ここは土がやわらかくて作業がしやすい。みんなきちんと植えてくれているので、根付いてくれると思います」との言葉が返ってきました。
 
 
 
CIMG5401しかも、皆さん真剣に作業にあたってくださり、予定していた時間よりだいぶ早く作業が終了。ケガ人が出ることもなく植樹祭を終えることができました。
名取市の佐々木市長も最初から最後までご参加くださいましたし、いつもプロジェクトにさまざまなご指導をくださる東京農業大学名誉教授の太田猛彦先生も奥さま同伴で来てくださいました。
 
作業が終わるころ、空には虹が!
太陽の周りに輪ができ、その下に弧を描くような虹が出ていました。
強風も吹かなければ、虹までがこの植栽を天も祝福してくださっているような
そんな気持ちになる植樹祭でした。植えられた5千本すべてが根付いてくれる気がします。
参加してくださった皆さま、指導にあたってくださった森林組合の皆さま、
ありがとうございました。
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