平成27年度広葉樹補植

2015年10月24日( カテゴリー: 広葉樹, 現場レポート )

当プロジェクトでは、平成26・27年度植栽地に限って、ごくわずか広葉樹を植える方針です。
波打ち際から400m程離れ、多少塩害が緩和される植栽対象地があるからです。
平成28年度以降は、もう適地がなく、新たに広葉樹を植えることはありません。
佐々木統括や、清藤参事、森林組合、再生の会は一様に、
「海岸林では広葉樹は難しい」と震災の年にはすでに言っていました。
私自身もそう思っていました。
海岸林内陸側と農地の間に、現在は草地の様になっている元の植生を維持したゾーンが
幅30mで残されているので、それと接する海岸林の最も内陸側に、広葉樹をわずかでも植え、
将来、母樹となり、そのゾーンに種子が広がり、実生で育つことをイメージしました。
そして、将来自主的に作成する予定の、仮称「宮城南部海岸林再生マニュアル」に記録し、
後々に残す方針です。
平成27年度広葉樹の春植栽は4月18日に行いました。
樹種はヤマザクラ202本、コナラ40本、クリ40本、ケヤキ22本。
2年間、我が育苗場で育てた苗304本をボランティアの方にほぼ半日かけ、
苦労してもらいましたが9月の時点で、わずか52本(生育率17%)
先端は枯れ、根元から萌芽し、なんとか生きていると言える状態。
枯損木の大半は、一度開葉したものの、その後3か月続いた異常乾燥、
特に6月下旬までに枯れました。
平成26年度は432本植えて、秋の時点で106本しか生き残りませんでした(生育率25%)
2年連続、春植え70%以上枯損。これにはみんなびっくりしています。ここまで悪いとは。
クロマツはこの環境下でも限りなく100%生きているのですから。
従って、昨年と同様、補植しました。

左からウワミズザクラ・オオシマザクラ<br />(南相馬市の上原樹苗から購入)、ヤマザクラ(自前生産)

左からウワミズザクラ・オオシマザクラ(南相馬市の上原樹苗から購入)、ヤマザクラ(自前生産)


10月17日(土)に、例によってプロのスパルタ指導のもと、ボランティアの手でリベンジを。春に自分自身が苦労して穴掘りし、当日枯れたものを目の当たりにした人もいました。
去年以上に、万全の準備・実施体制で臨みました。今回の補植樹種は、ウワミズザクラ146本、オオシマザクラ59本、ケヤキ80本、ヤマザクラ2本。
一部、異常に水捌けが悪い場所は、存分に溝切りした上、ヤマハンノキを植えることも検討しましたが、最終的に見送りました。
強烈に硬い土壌で40cm四方の穴掘り、培養土・堆肥など用土の撹拌、水運びも含め、5時間70人工。
この場所の厳しい作業の詳細は、後日続報します。

何人でもどうぞ!

2015年10月23日( カテゴリー: 本部発 )

明日、大阪マラソンを前に控え、ランナーの激励を兼ねた
活動報告会を大阪市内で開催します。
大阪近郊の皆さん、ぜひご参加ください!!
チラシPDF
日 時 :10月24日(土)  18:10~19:15(17:50受付開始)
場 所 :ドーンセンター (大阪府立男女共同参画・青少年センター)
      セミナー室2 (大阪市中央区大手前1-3-49/天満駅から徒歩3分)
       http://www.dawncenter.or.jp/
主 催 : 公益財団法人オイスカ
参加費 :無料 *会場に募金箱を設置します。ご協力ください
お申し込み:↓こちらのフォームにてお申し込みください
https://ssl.form-mailer.jp/fms/0728a6fa335810
osaka

今回は120名を超えるボランティアさんにお越しいただけるということで
事前に森林組合にもお願いし、指導員を派遣してもらいました。
心強いのは元宮城中央森林組合の職員で、今は松島森林総合を立ち上げている
佐々木勝義さんの存在。
DSC_0325当日のボランティアさんへの技術指導はもちろんですが、前日の広葉樹の掘り取り作業(育苗場に植えてあるケヤキなどを海岸に植えるため掘り起こし、伸びすぎている枝や根を切るところまで)を森林組合の皆さんにご指導いただきました。

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皆さん、真剣に佐々木さんの説明を聞いています


 
 
 
 
 
 
 
 
お兄さんである佐々木廣一現場統括からもよく聞くのですが、
震災後の海岸林再生という大きな事業は、技術の伝達という点において
非常に重要であるということを実感させられます。
日本の森林率は約70%。植えることよりも切って使うことが求められている今、
森林組合の皆さんも日常の作業は間伐や下刈りなどがほとんどで植えることは
ほとんどありません。そんな中、海岸へのマツや広葉樹の植栽の技術を
佐々木さんのようなベテラン技術者が若い人に伝えていく場がこのプロジェクトなのです。
ボランティア当日は佐々木さんに広葉樹の補植の指導をお願いしました。
厳しい環境の中、生育が難しい広葉樹ですが、
佐々木さんは「植える以上は何としても根付かせたい」との思いで指導をしてくださっています。
「もっと穴を深く!」とか「これじゃあ深く植え過ぎだなぁ」とか「もっと土を細かくして」とか
いろいろな指示が飛びます。前回の植栽の時はボランティアの方々から「親方厳しい・・・・・・」
との声が聞かれましたが、今回は聞こえてきませんでした。
皆さんが一生懸命やってくださっているのをみて鬼の佐々木もやさしい親方になったのかもしれません(笑)。
植栽チームの皆さん、そしてご指導くださった佐々木さん、ありがとうございました。
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10月21日、昨年に続き、宮城県庁の職員研修として、
約0.3haに1,720本の宮城県産抵抗性クロマツを「秋植え」しました。
生産者はわが第一育苗場、再生の会です。
これ以上ない秋晴れ。
これぞ本来設計された通りの山砂。
これまで2年の土壌から、大きく修正されている。
一鍬植えしたくなるし、出来なくもない。
プロなら実質6時間で500本は確実に植えるだろう。
掘ると、思った以上に、水分を保っていることも分かった。
森林組合も、再生の会も各4人参加。
種蒔きから2年、苗を育ててきた再生の会は、掘り取り・出荷だけでなく、
珍しく静かに、夢中で植えていた。私にとっては何とも言えない嬉しい光景。
(ちなみに、今日の昼休みの話題は、旅行と忘年会計画と今晩の宴会の話題で持ち切り)
県庁職員の方は顔見知りの方が何人も。
なかには、宮城県庁唯一の震災前からの知人も。
その方は、当プロジェクトの初動も初動のころ、
震災直後の宮城県庁職員全体が置かれている困難な状況を教えてくださった。
応援職員として最前線に派遣され、森林とは全く別の被災地の様子を、日々伝えていただいた。
私にとっては、その方から2011年の県庁との初会議のタイミングを、
間接的に示唆いただいたと勝手に思っています。
「父親が亡くなってねー。ちょっと落ち着きました。来年は家族で植樹祭に参加したい。
子ども連れでも大丈夫?」と言ってくださった。
吉田:「親父さんの分まで家族皆さんで是非!その前にセリ鍋行きましょう!」
「私、東京農大の学生時代、(オイスカの30日ボランティアで)
フィリピンのヌエバビスカヤに行きました。」と女性職員が声をかけてくださった。
吉田:「シプシプ(やっかいなブヨ)刺された?バンブーハウス泊まった?トイレ・風呂は川?」
と質問攻め。時々、学生時代オイスカの現場に行ったという方に会いますが、これは職員名利。
Sさん(女性)は、ガチで植えていた。
さすが、オイスカ担当。いつでもどこでも一生懸命。
うちの海岸林チーム女子と会ったら、気が合うだろうな。
みなさん、植栽後のお世話は任せてください。
皆さんが植えている間、モニタリング自主調査地を新設。樹高と根元径は取りました。
平均すると苗の高さ26cm、根元径は8mmでした。
佐々木統括:「10㎜ぐらいに太らせて植えかったなー」
毎年1月頃、HPで調査結果を公開します。

「やっぱり腰で植えるって感じだよね」と再生の会のHさん

「やっぱり腰で植えるって感じだよね」と再生の会のHさん


「私、来年度亘理町の現場受け持つんです」(女性)と言われまし た。今回の研修が他の市町村で役に立てば嬉しいです

「私、来年度亘理町の現場受け持つんです」(女性)と言われました。この研修が他の市町村で役に立てば嬉しいです

吉田からも報告があった通り、今回のボランティアは“森林土木系”のハードなもの。
特に広葉樹の補植のための穴掘りはとてもとてもきつい仕事となりました。
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座り込んでいるのは疲れたからではありません。40センチの深い穴を掘るのに、底の方の土をかきだすにはこのくらい体を低くしないと大変なのです。1本のスコップを2人1組で使い、交代しながら穴を掘っていきました。土がやわらかければいいのですが、硬いため本当に苦労しながらの作業となりました。
皆さん、翌日体大丈夫でしたか??どうもありがとうございました
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パヤパヤ草

2015年10月19日( カテゴリー: 現場レポート )

ボランティア前日のこと。
森林組合作業班がニセアカシアを刈る作業にあたってくれていました。
DSC_0195ここでも吉田は彼らとのコミュニケーションを密にしています。
会話を聞いていると「ニセアカシア刈るように言われたんすけど、パヤパヤしかないんすよ」とおにいちゃんたち。
パヤパヤ?? ニセアカシアではなく、パヤパヤが生えてる??
どんな雑草なんだろう??
そのかわいい響きに思わず笑ってしまいました。
よく聞けばパヤパヤとは草の名前ではありませんでした。
東北の方言でぱやぱやは、「小さく細いものがまばらに生えている状態」を指すのだそう。
つまり、「ニセアカシア、まだ小さいのが少し生えてるだけですけどここも刈るんですか?」と彼らは聞いていたわけです。
ぱやぱや。
やっぱりかわいい響き。髭の生えたごっつい風貌のおにいちゃんたちが使うと
そのアンバランスがますます愉快で、いっぱい笑ってしまいました。
私もいつかその場面に出会ったらさらっと使ってみたいものです。
「雑草ぱやぱやしかおがってなくてよかった~」とか?
(訳:雑草、小さいのが少ししか生えてきてないからよかった)

大阪マラソンまで残り一週間となりました。
チャリティランナーの久我さんからメッセージが届きましたので紹介します。
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私は大坂で行われるマラソンでチャリティランナーとして走ることになりました。
チャリティランナーは寄付先団体を決めて、寄付を集めて、その団体の活度を支援するものです。
私はオイスカを支援することにしました。なぜなら私はオイスカ高校の卒業生で、
オイスカがこれまでどんな活動を行ってきたかは以前から知っていましたし、
現在は宮城県名取市で「海岸林再生プロジェクト」ということで
クロマツの植林が行われていることも知っていました!
私はオイスカを支援して走るということで、海岸林再生を行っている現場を一度見て、
実際に見て、活動を体験したほうがいいと思い、8月にボランティアに参加しました。
実際現場で広大な面積への植栽をしていることに驚き、またクロマツを育てるのに
どれほどの苦労をしているのかが身をもってわかりましたので、
より一層オイスカを応援し、マラをンを走ることで期待に応えられればと思っています。
それから私のチャレンジを応援し、ご寄付にご協力してくださいました皆様、
本当にありがとうございました!

                                            久我

昨年1年間でボランティア1,402人。今年は10月末現在で1,598人。
11月にあと100人が来てくださいます(ご視察は含みません)。
今年も今のところ、病気や怪我人などもなく。
「9月の彼岸までに」の一心で草と闘いました。
異常乾燥を心配したり、多雨・多湿による根腐れを回避すべく溝切りなども。
夏場は人が足らず、ギリギリでしたが、やれることを存分にやり遂げました。
植えた苗木は抜群の生育。
2年連続、植えたクロマツは99%以上の活着。
来年初夏までにドーンと伸びるでしょう。
多くの皆さまのおかげです。心から御礼を申し上げます。
10月17日(土)ボランティアの日。
毎月来てくださる三菱UFJニコスを中心とするMUFG、UAゼンセン、仙台トヨペット、
ニコングループ、名取市役所のほか、東京海上日動火災保険の仙台支店自動車営業部、
高島屋&労組、アサヒビールHD、第一三共、オイスカ長野県支部が団体参加し、
個人参加も含め、122人が8時間従事してくださいました。
今回の業務のテーマは「森林土木」。
宮城中央森林組合の作業班6名と、松島森林総合の佐々木さんのプロの指導体制のもと、
これまでのボランティア受入でも、トップ5に入る厳しい仕事。
当日の仕事内容は
・コンテナの除草(約30,000本分)
・広葉樹300本補植 *土壌が非常に硬く70人で実質5時間を要した。
(バーク堆肥と培養土の撹拌、水・土・苗運び、40cm四方の穴掘り、植栽)
・広葉樹植栽地周辺0.8haの溝切り(排水作業。20cm掘り)
・クロマツ秋植え0.3ha・1,500本の植栽箇所マーキング、植栽地の礫除去
・約20haの葛刈り(最終点検で2.5km歩く)

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溝切りをするベストドレッサー賞の三菱の二人。
服装がしっかりしている 人は仕事もできる。


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遺跡の発掘調査のような大穴


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4人がかりで水運び


 
 
 
 
 
 
 
 
 
初めて来訪された方が多く、このボリュームを回せるか、こなせるか、納得・満足いただけるか、いつものように緊張しましたが、無事、全て終わりました。
詳細はこれからブログでレポートします。
いつもの事ですが、慣れない仕事、過酷な仕事、さまざまな不自由に耐えてご尽力いただきました。
本当にありがとうございました。

大事な仕事

2015年10月16日( カテゴリー: 現場レポート )

広報室の林です。
明日のボランティア受け入れに向けた準備のため
いつもより一日早く名取入りし、朝から吉田と現場を回りました。
DSC_0273先月のボランティアの日に風邪をこじらせ、シルバーウィークを寝て過ごしたのですが、その風邪にいつまでもしつこくつきまとわれ、体は重だるく咳も出ます。不安なまま現場入りしました(めずらしく前日のビールをガマンしたほど)。
マスクをしてちょっとだるい体でなんとか動いていましたが、吉田はそんなことお構いなし。「気のせい、気のせい」と階段の修繕に向かいます。雨の水と一緒に流れてきた砂が階段下に堆積してしまうので、この砂で土のうを作り、砂の流れを止めるのです。
ゼイゼイ、ハァハァいいながら土のうを作り、上に担ぎ上げていきます。ほんの数袋の作業でしたが疲労困憊。明日のボランティアの受け入れ、大丈夫だろうかと不安が募ります。
そして車で移動。
植栽地の盛土の工事をしている現場のおじさんたちが休憩しているのを見て、吉田は「ちょっと適当にしてて」と私に告げ、車を降りてあいさつに向かいました。
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いわれた通り、周辺のマツの生育状況などを見ながら、適当にしていたのですが、“ちょっと”では戻ってきそうにありません。私もおじさんたちにあいさつをして会話が聞こえる程度の距離から撮影をさせてもらいました。
 
会話を聞いていると、おじさんたちは工事をしながら、なぜ植栽地に溝を掘るのか、
何のためにこのようなもの(今座っているもの)を置くのかよく理解していなかったようで
自分たちのやっていることは無駄なのではないかと思うこともあったのだそう。
排水のために溝が必要なこと、座っているものは防風柵で、
適度に風を通すことで防風効果を高めていることなどを説明すると
「なんでも一つひとつ意味があるんだな」と納得し、
次から次へと疑問に思っていたことを質問し始めたのです。
DSC_0158「(盛土の表面に敷いてある)この木のクズなんかもきっと意味があるんだね」「なんで海岸端のマツは大きくならないの?」等々。
吉田がじっくり質問に答えていくと「次から魂入れて作業すっから」と。
無駄かも知れないと思いながら作業をするのではなく、すべてクロマツがよく育つように考えられたその意味を理解して、魂を入れてくれるとおっしゃってくださったのが本当に嬉しかった。
おじさんたちはクロマツにとても愛着を感じてくださっていることも分かりました。
枯れている苗を見ると「まだ生きてるかな、また青々とした芽を伸ばすかな」と
そっと見守ってくださっているのだそうです。
以前吉田が盛土工事を担当する責任者の方が植樹祭に参加してくださったことを
ブログで紹介していました。こちら→http://www.oisca.org/kaiganrin/blog/?p=10695
工事に関わる方、苗を育てる「名取市海岸林再生の会」、その苗を植える森林組合、
その苗のお世話をしてくださるボランティアの皆さん。みんながクロマツのためを思って
お互いの仕事を尊重し合い、ベストを尽くしていくことがプロジェクトの成功につながるのだと
この日改めて感じました。そのためにはいろいろな方としっかりコミュニケーションをとること。
おじさんたちからは「ホント、勉強になったわ、ありがとう」とおっしゃっていただきました。
この日一番の大仕事、無事終了!

CIMG8687今さらですが。
先月のボランティアの日の前日のこと。
半袖で作業をしていたスタッフが蚊の大群に襲われ、こんなことに・・・・・・。暑いからといって半袖はいけませんね。
次回のボランティアの日は乾燥した砂埃が舞う可能性も。暑くても風が吹くと寒く感じたり、飛んできた砂が肌に当たると痛かったり。
いろいろなことが想定されます。長袖長ズボンでご参加くださいね。
砂埃が舞うときは花粉症対策のゴーグルなんかが役に立つそうです。100円ショップでも売っているとの情報も。
今一度服装や注意事項などご確認ください!
http://www.oisca.org/kaiganrin/2424

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