大阪出張中の吉田です。11月23日㈷に気合を入れた行事をするので、その段取りに来ています。登壇するフィリピン人のデルフィン氏と1997年に出会わなければ、オイスカで仕事を続けていなかったかもしれません。今年は7月に大水害、9月に地震があったフィリピン北部アブラ州・南イロコス州が舞台です。

 <11/23(祝・木)>「災害のデパート」フィリピン北部での37年間の挑戦とこれから【地球環境を考えるトークイベント2023 秋】

 詳細はコチラ⇒ https://oisca.org/events/e231123/ オンライン聴講もできます。ぜひお申込みを!

 今日は9月17日に見た「いきもの」を写真レポートします。この時期は「日本野鳥の会の定期観察日的な位置付け」と三浦さんから聞いていたので、秋の渡り鳥の存在も気にしながら。写真は撮れませんでしたが、ツバメが多数、セッカ?の鳴き声、猛禽類はトビのみ。哺乳類・爬虫類は見れず。3日前にタヌキ親子を見ましたが、最近はキツネもキツネの糞も見ません。内陸側に隣接した畑には、ハクビシンが来るようになったそうです。

 写真の並びは、見つけた順で順不同。名前を調べるには、横に浅野さんがいないとダメなので割愛します。

 吉田です。おかげさまで、まだオイスカの管轄内ではマツクイムシ病は出ていません。今年は周辺地域でもまだ発見していません。管轄外の市街地でも目を光らせているつもりです。見つけたら市役所に連絡して、即伐倒・薬剤駆除か焼却処分してもらっています。

 森林組合のみんなと現場で会った時、「シンクイムシがチラホラあるね。広がらないといいけど」と言っていました。2020年に前年・前々年に植えたマツに多数発生し、再生の会の皆さんが剪定鋏で被害部分を切り取って焼却処分して拡大を防いだことがありました。あの時にも及ばない、軽傷中の軽傷だと思っていますが、大発生したら大変です。いま現在の害虫関連を写真レポートします。

 その前に、今年6月は毛虫「マツカレハ」が大量発生しました。とくに内陸防風林では1本のマツに何10匹も。再生の会と松島森林総合が合同で、殺虫剤「スミチオン」を動噴を使って本格的に散布。ボランティアが葛刈りする箇所は、1本のマツに多くて10匹。キンチョールやアースジェットで駆除する程度で済みましたが。結果、無事撃退できました。

 9月17日のオタクの休日で見た、「害」あれこれを。

 番外編。

 ハチの巣駆除。「雨が少ない年はハチが多い」と聞いたことがあります。今年はよく刺されました。とくに私。森林に関わる以上、避けて通れません。いることを皆にはっきり伝え、皆で警戒するだけで、十分効果あり。それどころか、いくつもの巣を駆除。防風柵のボルトを屋根代わりに作ろうとするハチもいました。ちなみに、スズメバチは毎年春先に女王バチを落とす誘引液を仕掛けています。今年も現場では見ません。ただし、アシナガバチを避ける方法は、周知&各自警戒以外、いまのところありません。

吉田です。この夏は落ち着いて歩く余裕もなかったし、このあと1ヵ月現場に来れないので、9月17日にガッツリ全体を歩きました。その感想を何回かに分けて。

「地球沸騰の時代」と国連事務総長が警告したように、今年の酷暑は忘れることはないと思います。それに加えて、仙台管区気象台HPの過去の気象データで見た名取(仙台空港での観測データです)の降水量には驚きました。8月に仙台空港で雨を観測したのは、5日でわずか13.5㎜。「10㎜/日以下の雨は、雨とは言わない」などと佐々木統括が前に言っていました。5㎜以下の日が7月20日~9月3日まで44日も続きました。多湿が困るクロマツには良いのですが。
 
 9月6日には大雨があり、名取の一部にも避難指示が出たため心配しました。米が倒れている様子は目にしました。「オイスカの植樹祭に2016年に参加した」というタクシーの運転手さん(兼業農家)は、「あの大雨のあと、蔵王の麓(海から20km)のスギが潮風で赤く変色したらしい」と教えてくれました。

 名取の海岸林でも、ごく一部の葉が赤くなったと感じました。今年の夏は、気象データの風速を見る限りそれほど特徴的なことはないように見えるのですが。9月6日の後の台風13号は、降水量が少なくても潮風が強く吹く、いわゆる「風台風」だったのかもしれません。

 震災前の名取には、5㎞の海岸線全てに7.2mの高さで設置されました。潮風が陸上に直撃する位置はすこし後退したはずです。敢えて内陸側に配置してわずかに植えたアカマツは、クロマツよりも潮風に弱く変色しやすいと思いました。

 海岸林再生に関わって間もないころ、静岡の遠州灘のクロマツを勉強に行きましたが、海から見ると、葉がすべて枯れているように見えて驚いたことがあります。でも、浜風の風下から見ると青々して枯れていない。「これが本当の海岸林なんだな」と思ったものです。
 
 今日は、潮風の影響による変化などを写真レポートします。赤くなった葉でも、頂芽はしっかりしています。来春には何事もなかったように青々とするでしょう。私たちの名取の海岸林も、本当に潮風に向き合う一人前の高さになってきたんだなあと思いました。

 下の写真、まずは海側最前列の写真から。

 以下は、一歩内陸側のマツ林にて。

 下記は最内陸側にて。クロマツは順調な生長。そのおかげで潮害から守られ、海岸林最後列では実生の広葉樹の種類が増えました。

 吉田です。このプロジェクトには、2012年以降のボランティア受け入れ業務の大半を、スタッフとともに歩んでくださり、われわれが「レジェンド」と呼ぶ大槻壽夫さん(81歳)という大きな存在があります。そして、大槻さんを筆頭にした宮城県民を中心とするリピーターチームは、名取海岸林再生の誇るべき財産と思っています。「名球会」じゃないけど、あと10年後には大槻さんのように参加日数200という方が何人も!となるでしょう。

 このコロナ禍で、他県からのボランティアは激減し、宮城県民の若者も一気に減り、2020年には270人、2021年は313人、2022年は878人と、コロナ禍前の1,878人と比べ大きく落ち込みました(2023年は上半期で868人)。その間、宮城中央森林組合、松島森林総合、名取市海岸林再生の会のプロの施業は淡々と続きましたが、オイスカならではのボランティア人海戦術によるクロマツ林内の葛枯殺などは滞りました。ですが、リピーターチームは腕に磨きをかけた3年になりました。今年はとくに、平日休日を問わない公募ボランティア日以外の支援企業・労組ボランティア日にも、大槻さんとともに駆けつけてくれる県内外のリピーターが明らかに増加。1開催日平均で指導者的存在のリピーターは4.2人。際立った今年の特徴です。いまのところ怪我なく、事故なく、厳しい夏を乗り越えつつあるのは、この皆さんの影の支えだったと思います。

 この皆さんの存在に甘えることなく、引き続き、抜かりなきように頑張ります。しばらく来れなかったリピーターさんの再訪も楽しみにしながら。

 吉田です。モタモタしていてブログを書くのが遅くなりました。

「地球温暖化の時代は終わり、地球沸騰の時代が来た」と国連事務総長が世界に警鐘を鳴らしました。今年は本当に厳しい現場の夏でした。8月末になったら、すこしは手加減されるかと思って期待していましたが・・・「また今日も酷暑かー、なんとか風だけは吹いてくれー」と気をもむ私をよそに、集まった電力マンたちは覚悟が決まっていて、ケロッとしているように見えました(気のせいですか?)。

 今年は本当に雨が少なく、名取の農家からは雨を望む声がより一層聞こえてきます。東北電労の新潟からの参加者の方は、「米が本当に心配。私たちも水田への水供給に協力しているんです」と話してくれました。個人的な思いですが、私は親戚に電力マンが何人もいて、子どもの頃、夏休みに長逗留しているときに、夜の大雨の中、出動していく姿を覚えていますし、インフラを仕事としている人たちには、なんとなくいつもシンパシーを感じています。海岸林は海岸防災林。インフラと思っていますので。海の近くの発電所にはそれとセットで海岸林がありますし。名取のボランティアにおける、宮城を除き新潟を含む東北電力管区6県のボランティア数は、決して多くはありません。めったに会えない青森、秋田、山形、新潟の方たちに来ていただけるということも嬉しく思っていました。

 今回は東北電労として節目の10年目となる、最後のボランティア作業でした。他の企業・労組などの方たちに対しても当然いえることですが、コロナ禍がありながらも、しっかり続けてくださったことに心から感謝しています。10年経てばお互い状況は変わります。一度立ち止まって見直し、継続するかどうか、もし継続するならどうするとイイか、「一度白紙に戻って考える」という考え方に、とても共感します。もしも何らかの形で名取で再出発となったら、これは本当に光栄です。

 いつもそうしてはいますが、作業一辺倒だけではなく、これまでの成果を見ていただくことも一日の日程に組み込みました。全部はお見せ出来なかったので、頑張っていただいた場所のいまをBefore&After的に紹介します。精度の高い撮影場所、撮影方向でなくてごめんなさい。

以下、左の写真とだいたい同じ場所の、最近の写真です。だいたい。

【後日談】おかげさまで、閖上のあの場所3.2haのクロマツ林内約2.3haに繁茂した葛の刈り取りは、7月1日京セラ労組の手で着手し、9月3日に第一三共(株)東北支店の皆さんの手で無事終わりました!本当にありがとうございました。まぎれもなく苦労しましたが、今年の主戦場も、会心の出来です。

 吉田です。今回のブログは、主に海外からいまも寄付をくださる日本人・外国人の寄付サイト「Global Giving」に転用するつもりで、総括的に近況を報告します。

 まずはじめに、2011年の東日本大震災以来、Global Givingを通じて、世界各地から「海岸林再生プロジェクト」にご支援いただいていることを御礼申し上げます。市民参加型の事業の進め方で、最強の海岸防災林として再生を目指す私たちのプロジェクトは、第2次10ヵ年計画(2021-2030年)として歩みを止めることなく続けております。全長5km×幅200m、総面積100ha、37万本のクロマツ海岸防災林は、極めて順調に育っています。

 「地球温暖化の時代は終わり、地球沸騰の時代が来た」と国連事務総長が警鐘を鳴らし、日本では「観測史上最も暑い夏」とも報道されました。まさにそれを体感しながら、2011年の震災以来、最も過酷な現場での作業が続いています。

 日本では、6月から9月末は真夏の盛りであり、「下草刈り」「つる切り」「除伐」という保育作業を徹底させる時期です。もし私たちのプロジェクトでこれを怠ると、植えたクロマツは雑草や、「葛」(Green Monster)などのつる性植物、ニセアカシアなど外来種系の雑木などに駆逐され、100haの海岸防災林として再生させることはできません。

 これから冬に向かいます。冬は間伐です。植栽初年度に植えたクロマツはすでに7mを越えています。間伐は今期で3年目で、約50年かけて6回伐ると、最強の海岸防災林の完成です。そのときは樹高が20mになっていますが、震災前の海岸林と異なるのは、間伐によって得られるはずの、地中の根周りの広さと深さです。そして、枝と葉の多さ、幹の太さです。再び津波が来たとしても、クロマツならではの真価を発揮し、粘り強く、減衰効果をを発揮するはずです。森林総合研究所や名古屋大学大学院の専門家が、2017年に調査を継続しています。

 毎年、林業のプロが3チーム、プロならではの仕事をお願いしています。地元に雇用を創出し続け、適正な管理をし続けるその原資は、皆様からの寄付のおかげです。これまで約11,000人の雇用を生み出しました。そして、8時間従事ボランティアによるボランティアならでは、オイスカならではの人海戦術です。これまで約12,000人が参加してくれました。コロナ禍前は年間約1,900人でしたが、2020年には年270人まで落ち込みました。ですが、昨年は最盛期の45%まで回復し、今年は半年で半数まで回復しました。コロナ禍前に復活したと言えます。

 わたしたちの最大の難関は、愛される海岸林となることと、次世代への伝承です。人々は海から離れた場所に移転し、海岸林は身近な存在ではなくなり、何のためのマツ林なのか伝えることがとても難しい状況です。いまの高校生は、すでに震災の記憶がない生徒もいます。平気で大型ごみを捨てる人も少なからずいます。「絆」という言葉は、完全に過去のものになったと感じます。震災直後、地元の警察官が語った、「震災前の首つり自殺か、不審火の森」のような姿にだけはしたくありません。アフターコロナのいま、次世代へのアプローチは永久に続ける必要があります。全年代が平均的で、男女も均等、常に若い世代の人の姿もある歩み方を継続し、国内外の無数の人の手でつくられた最強の海岸防災林を目指します。

 

 

 

正しい休憩

2023年9月4日( カテゴリー: 現場レポート )

本部・啓発普及部の林です。
ここのところ、暑い中でのボランティア活動が続いています。
休憩時間は、水分補給はもちろん(昨年までは暑い日は1日2リットルほど飲んでいましたが、
今年は3リットルなくなることも……)、塩分も摂取しようと塩タブレットを
口にしたり、できるだけ日陰を探して座ったり、風に当たって体を冷やしたりと、
皆さんそれぞれに体を休めています。

昼休みにはしっかり食事をとるのも大事ですが、ちゃんとお昼寝をしている姿も見られます。

午後の作業に向けてしっかり充電。正解!

午後は海からの風が比較的強く吹いてくるので、日陰でなくても風に当たるときもちいい!!
中には吉田のアドバイスに従い、風を一番感じられる防潮堤で涼む方も。それも正解!

正しく休むこと、無理をしないことが暑い中の活動で大切なこと。
吉田は「作業を先に進めるのも大事だけど、みんなが無事に活動を
終えられることが大事」と、無理をしないことを呼び掛けています。
救急車のお世話にならずに済んでいるのは、皆さんの心がけのおかげ。

まだしばらく暑い日が続くと思いますが、ボランティアに参加される皆さん、
無理をせず、しっかり休みつつ作業してください!
どうぞよろしくお願いいたします。

昨日は、全国の第一三共の皆さんがボランティアに来てくださいましたが、
今日は東北エリアのボランティアさんの活動日でした。

まずは育苗場での説明から。いつも通り苗木を抜いて菌根菌が
しっかりついているのを確認。この菌から必要な栄養をもらってマツは
貧栄養地でも元気に育っていけるということを説明します。

今日は小学2年生の少年がお父さんと一緒に参加してくれ大活躍。
防風柵を移動させ、溝に繁茂するクズをみんなが刈っている間、
「僕はここをきれいにするから」と防風柵に絡みついていた
クズを刈り取ってきれいにしてくれました。
スルスルと柵を登って手際よく作業する様子は職人さんのよう。
リピーターさんが解体してくれた防風柵をみんなで林外に運び出す際は
近くでみんなの様子を見守ってくれていました。

上の作業地は閖上の一区画の西側。海から離れているのであまり風が吹いてきません。
7~8月に作業をしたところからまた元気にクズが出てきているところをもう一度
刈り取る作業を徹底的に進めてもらいました。右の写真のように、前回、根元を刈って、
除草剤をかけたにもかかわらず、脇の方から新しい芽を伸ばしてくるクズ……。
半分腐った状態になって根元が枯れ始めているものもあるのですが、残ったところから
このように青々とした葉っぱやツルを何本も伸ばしているのですから生命力の強さに驚かされます。

皆さん除草剤を手に、地面にはいつくばって、一所懸命にクズと闘ってくださいました。

ハチの姿を見かけたものの、誰もさされることなく、無事に作業が終えられました!

参加者の中には、本社が募集していたボランティアの方は、抽選から漏れてしまい、
今回東北エリアでの活動の方に参加をしてくださったと話してくださる方がいらっしゃいました。
また、かつて閖上を歩いたことがあるという方は、その時には海岸林についての知識もなく、
そこにあった松林が目に入っていなかったと振り返ってくださいました。
まず知ってもらうことがやはり大事なのだと実感。知り、関心を持ったら行動につながるはず。
そして、企業さんが社員さんにボランティアの機会を提供することは、
「何かしたい」という思いを持った皆さんの背中を押す大きな力。とても大事なことだと思います。

全国の、そして特に東北エリアの社員さんがまた活動に参加してくださること、期待しています!
小学2年生の少年にとっても、大変だったけど、将来「あそこでお父さんと作業をしたなぁ」と
少しでも記憶に残る1日になっていたらうれしいです。また来てね!!

今日は第一三共、UAゼンセンの皆さんと地元を中心としたリピーターの皆さん51名での活動でした。
9月に入り、空が高くなり、秋の気配……かと思いきや8月とさほど変わらない暑さ。

事務所集合後は、育苗場で苗木の説明。

閖上(プロジェクトの最北端)での作業の前に北釜(プロジェクトの南端)の視察。
防潮堤から海を見たり、説明看板を使っての吉田からの説明を聞いたり。
初参加の方も多く、しっかりプロジェクトについて理解をしてもらいました。

作業は定番のクズ刈り。かなり太いクズが繁茂しており、このお二人は協力して
こんなに太いクズを刈り取ってくれました!

いつもの吉田の指示通り、「よつんばい」の姿勢で、皆さん頑張ってくれました。
防風柵の中に入り込んで刈りにくいところを徹底的にやっつけてくださった方も。

皆さん、暑い中どうもありがとうございました!

そしていつも通り、ボランティアさんの指導役を担ってくださったリピーターの皆さん、
最後に道具の片づけ・メンテナンスもきっちりしていただきありがとうございました!

バカの季節

2023年8月28日( カテゴリー: 現場レポート )

本部・啓発普及部の林です。

現場の最寄り駅、美田園駅から歩いて事務所に向かう途中、エノコログサをはじめ、風に揺れている道端の草に秋を感じました。
「草が秋の草になってきたね~」と吉田に話しかけると、「バカの季節だなぁ~」と。

確かに!!
夏の間に出会わなかったので、すっかり忘れていましたが、これから厄介度ナンバーワンのアレチヌスビトハギをはじめ、作業着に容赦なくくっついて、なかなか離れてくれない草たち、通称「バカ」たちが出てくるのです。

こちらがバカがついた状態の写真。これがなかなか取れないのです……。

バカが生えていることに気が付いたとしても、これが服につかないようにと気を付ける術はありません。コーデュロイ生地にはつきにくい上に、ついたとしてもとれやすいということが分かりましたが、そんな作業着はなかなかありません。
バカの季節と聞いて、ちょっとだけ憂鬱な気分になってしまいました。

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