「ボランティア活動をしている第一育苗場の苗木の成績が良いとお聞きしたが、コンテナ苗はどうなんでしょうか?」と聞かれたことがあります。
植栽地全体をランダム調査し、枯死は1.6%と良好な成績であったことはすでに報告しました。オイスカでは単に植えるだけでなくその後の活着生育状況も把握するように努めています。
そのため植えた苗木のモニタリングを実施しています。今年の植栽地15ha内に、苗木の違い、場所の違いを考慮して11か所のサンプル調査プロットを設けています。すでにブログで紹介したように7月18日と19日にボランティアさん3人組で3グループに分かれて11か所を調査しました。
今回は植えた苗木によって枯損はどう違うかを見てみましょう。完全に枯れている個体だけでなく、新しく伸びた梢の枯損苗(先枯れ)も厳しく枯れにカウントしてみました(実際はその苗が必ず枯れるとは限りませんが)。
結果はグラフのとおりです。
モニタリングは50本を詳しく調査していますが1本枯れると2%になります。2%程度なら問題ありません。今回の調査から全体平均は2.8%になりました。その原因は苗木の出どころにありました。第二育苗場産の露地普通苗の枯損が平均11%と高いことが明らかになりました。第一育苗場産は露地普通苗で1%、抵抗性苗は0%と好成績です。抵抗性コンテナ苗は1.5%でした。
なぜ第二育苗の苗に枯れが多かったのでしょう。
何本か枯れた苗を引き抜いてみると根が短い。
10cm-15cmと第一育苗場より短く切断されていることがわかりました。
しかも苗自体伸ばし過ぎの感があり、地上部の蒸散を支えるだけの水分供給は
地下部の根でまかない切れなかったことが大きいと考えられました。
ではボランティアさんに質問された露地苗とコンテナ苗の比較はどうでしょうか?
統計的な有意差はありませんが第一育苗場の露地苗がコンテナ苗より若干枯死が少ない結果でした。
理論的にコンテナ苗は、根の切断時のダメッジは軽減され空中切断されるため、根が過度に伸長せず必要な分根・白根も確保されているので活着は良いはずですが、地上部との関係もあります。
次回生長との関係ではどうなのかを報告します。